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真珠の姫君~海に捧げる子守歌~  作者: とも
第二章 そして、陸へ
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~そして、陸へ~7.

世の中大変なことになってますね…。

家のトイレットペーパーが、あと二巻きになってしまいました…(´д`|||)

医師に、あまり声を出さないようにと言われたので、ローラは身振りでウィルに話題を変える話を振った。


ーーここは、どこ、ですか?ーー


幸いウィルは察しがいいらしく、すぐに話に乗ってきた。


「ああ、ここ?……えっと、ここはね……」

突然、ウィルの歯切れが悪くなる。言おうか言うまいか迷っているような……。


「まあ、いいか。黙っていてもいつかばれるし。……ここは、王宮だよ」


ーー王宮?

首を傾げる彼女に、ウィルも同じように首を傾けた。

「……ピンと来ないって顔だね」

珍しいものを見た、という表情で、ウィルが思い出したように薬湯を指差した。


「あ、アレ、あったかいうちに飲んだ方がいいよ。冷めるとめちゃくちゃ不味くなるから」


ええっ!……それを早く言ってほしいっ。


もたもたと寝台の上を移動して、ウィルとは反対側の脇に置かれた薬湯に手を伸ばした。

途端、無理な動きに引っ張られて、上掛けがずり落ちる。


ーー!

慌てて上掛けを戻そうとし、バランスを崩して寝台から落ちそうになった。


「……っと、危ない」

後ろから、胴をさらうように支えられた。


あれ?こんなこと、前にもあったような……。

彼女の思考を尻目に、ウィルは掛けてあったらしいガウンを細い肩に着せかけた。

そしてそのまま、寝台の周りを回ると、薬湯を手に取り彼女の両手に持たせた。


薬湯はいかにも葉っぱ~という感じで、物凄い臭いもしていた。量は多くないのだが、ドロリとしたその見た目は、とても口をつける勇気が出ないようなものだった。


ーーこれ、飲まなきゃダメ、かしら……?

たっぷり躊躇しているのを見て、ウィルが小さく何かを言っている。


「……確かに見た目が、なあ」


見つめれば見つめる程に、飲む勇気が失せていく。

器を持ったまま、びどーだにしない彼女に「ちょっと貸して」と言いおくと、その手から取り上げた。


ローラが驚いて見上げるよりはやく、ウィルが薬湯をぐいっと煽った。

目を見開いてその様子を見ていた彼女の顎をくいっと上げると、抗う間もなく唇を塞ぐ。すると、何かが口に流れ込み、喉を通りすぎて行った。


「……はい、おしまい。悪夢は早く終わらせるに限る」




彼女は頭が真っ白になっていた。

一体、今、何が起こったのか、ちゃんと理解できない。

いや、段々解ってきた。


ーー私は、薬湯を飲むのを悩んでいた。そしたらそれを、ウィルが取り上げて自分で飲んで……。そう思ったら実は口に含んでいただけで、実際に飲んだのは、ーーわたし??


そう理解した瞬間、何かが爆発した。


『バ』

カーーーーッ!!と続く筈だったのだが、口を手で塞がれて、声は出なかった。

その代わり、また大量に咳が出た。


「駄目だよ、ローラ。あまり声を出さないように言われたろう?」


だ、誰のせいよ、誰のっ!

「見かけほどは不味くないけど、慣れるまでは飲みにくいからね。……それにしてもあのオヤジ、女の子の薬湯には糖蜜を入れるなんて、ひいきだよな」

まだむせている背中に、話しかけながら優しくさすってくれている。

ポンポンと、彼女の息が落ち着くまで、大きな手が離れることはなかった。


「今はよく休んで。話が出来るようになったら、聞かせてもらうから。ーー少しお眠り」


ローラは、背中をさすられながらフッと眠気が襲ってくるのを感じる。

ーーあ、ダメ。もう寝てなんていらんないのに……!


どうやら薬湯には、眠り薬が混ざっていたようで、意識が急に重くなる。


ローラはウィルの袖口をぎゅっと掴んだまま、ストンと眠りに落ちていった。



読んでくださってありがとうございますm(_ _)m

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