~そして、陸へ~6.
ローラの身体に巻かれた湿布や包帯で隠れているところもあるが、誰かが着せてくれた上質な寝間着は薄くしなやかで、寝るのには好都合だが体を隠すには不向きだったのだ。
けれど、彼はまだ出ていく気はなさそうだ。
何やら真剣な面持ちで、こちらを見つめている。
まさか、……見えて、ない、のよね?
彼女が何度も喉元に手をやるのには、痛みだけではない、ワケがあった。
ーーお前は何も持ってはいないーー
そう言った呪い師が、実は残してくれたもの。
目眩ましの魔法で見えなくはなっているが……。
そこには、金剛石の精緻な細工の首飾りがかかっていた。
「ローラ」
びくりと身じろぎをする。
「気を悪くしないで聞いてほしい。……私は君に、何処かで会ったことがあるような気がするのだが……」
その言葉に、彼女は思わず後ずさる。
ーーバレた?ーー
首を二、三度横に振り、何と言ってよいか分からず顔を俯けた。
ヴァリーは、何て言ってたっけ。
確か、人魚ということを明かしてはならない、と。
でも、それがバレた時のことは、特にふれてなかったような……。
フッと、口から息が漏れるような音がして、彼女は顔を上げた。
するとウィルは、口元に手をやり、やや顔を背けて笑いを堪えていた。
「いや、ゴメン。そんな警戒しないで。我ながら下手な口説き文句みたいだとは思うんだけど……」
その屈託のない笑顔につられて、ローラの顔にも、ようやく笑みがこぼれた。
「あ、やっと笑ったね。その方がいい」
そうだよな……とウィルが一人ごちる。
「やっぱり気のせいか……。君みたいな美人に一度会ったら忘れるわけないよな」
小さな呟きは、少女の耳には届かなかった。
前回眠気に負け変なところで投稿してしまいました…。すみません。
読んでくださってありがとうございますm(_ _)m




