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真珠の姫君~海に捧げる子守歌~  作者: とも
第一章 緩やかな時
16/36

~緩やかな時~15.

どのくらいそうして過ごしていたのか。マリエッタが先に切り出した。

「そろそろ、行かなくちゃ」


途端に、ウィルが彼女の手を握りしめた。

「……また、会ってくれる?」


……!マリエッタの鼓動が早鐘を打つ。

今、きっと私、ゆでダコみたいになってる!!


こんな暗闇の中でも、それが見えるのではないかと心配になり、思いっきり顔を背けた。


な、なな、何でこんなにドキドキするのぉ~?


その理由はさっぱり分からなかった。手を振りほどくことができない。もう会ってはいけないのだと告げようとすると、舌が痺れたようになってしまうワケも。


それでもマリエッタは、なんとか口を動かした。

「ごめんね、もう、会えないわ」


そう言葉にすると、彼女は急に悲しくなった。

ーーもう、会えない……。

握られた手を持ち上げ、一度だけ彼の手の平に頬を預けた。

ポトリ、ポトリ


ウィルの手に、人魚の涙が真珠となって落ちる。

「さようなら」


飛沫も殆どあげず、人魚の娘は波間に身を踊らせた。

陸から離れながら、先程のウィルの言葉を思い出す。


ーーマリエッタの歌を聴くとホッとするーー

他に逃げ場もない少年。何故か彼女の心を乱す彼の声。

たまらず、水面から頭を出した。まだそれほど離れてはいない。


もう会えない。人魚と人だもの。深く関わってはいけないのだ。


どうして涙が出るの……?

初めて沸き上がる感情に、戸惑うしかない。

逃げるようにその場を去ることしかできなかった。

でも、ウィルは私の歌を聴くとホッとすると言ってくれた。


彼女はその場でもう一度歌った。

たった一人の観客の心を癒すためにーー



読んでくださってありがとうございます(*^^*)

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