第2話 モグランと盗賊団の友情
数日後、村に悪名高い盗賊団「シャドウ・フォックス」が現れた。
リーダーのロークは、かつて王国軍を何度も出し抜いた実績を持つ狡猾な男だった。
彼らは村の宝物庫を狙っていたが、エレネが彼らを見つけると、目を輝かせて近づいていった。
「わあ、すごい冒険者の方たちみたい!たくさん旅をしてきたんでしょうね。お話聞かせてくれませんか?」
ロークは呆気にとられた。
これまで誰も彼にこんな風に話しかけた者はいなかった。
警戒しながらも、なぜかエレネの純粋な笑顔に心を許してしまい、つい昔の冒険話をし始めてしまった。
エレネは3日間かけて盗賊団全員と友達になった。
4日目、彼女は大胆な提案をした。
「ねえ、ロークさん。せっかくみんな仲良しになったんだから、モグランにも会わせてあげたいな。モグラン、とっても優しいんだよ!」
ロークは苦笑した。
「お嬢さん、俺たちは盗賊だ。魔物と仲良くするなんて……」
しかしエレネの熱意に負け、盗賊団は森へ連れて行かれることになった。
モグランは最初、見知らぬ人間たちに警戒したが、エレネが「この人たち、私の新しい友達なんだよ」と紹介すると、すぐに打ち解けた。
驚くべきことが起こった。
ロークはかつて鉱山労働者だった経験から、モグランの爪の手入れのコツを教え始めた。
一方、盗賊団の一人で元獣医見習いのミロは、モグランが最近消化不良気味なのに気づき、特別なハーブミックスを調合してあげた。
エレネの力が発動したのだ。
彼女が仲良くなった者同士は、自然とお互いの良いところを見つけ、協力し始めるのである。
それから一週間後、村は前代未聞の光景を目にすることになった。
かつての盗賊団が、モグランと一緒に村の防護壁の補修を手伝っていたのだ。
モグランはその強力な爪で木材を切り出し、ロークたちは建築の知識を活かして壁を強化した。
「おい、モグラン、その木材、もう少し左側に寄せてくれないか?」
ロークが声をかけると、モグランは嬉しそうにうなずき、正確に指示通りに動いた。
村長は顎が外れそうなほど驚いた。
「エレネ、いったいどうやって……」
エレネはにっこり笑った。
「みんな、本当はとっても優しいんだよ。ただ、それを出す機会がなかっただけなの」




