第1話 エレネとモグランの友情
深い森に囲まれた小さな村、グリーンハーブ村に、エレネという少女が住んでいた。
彼女はどこにでもいるような、明るく元気な16歳に見えたが、実はとんでもない特別な力を持っていた。
どんな相手でも、たとえそれが人を襲う魔物であろうと、悪名高い悪人であろうと、エレネは必ずその相手と仲良くなってしまうのだ。
ある晴れた午後、村の外れで事件が起きた。
畑を荒らすと恐れられていた巨大なモグラモンスター「モグラン」が、村のじゃがいも畑をめちゃくちゃにしていた。
村人たちは槍や鍬を持って集まったが、誰も近づけなかった。その時、エレネが現れた。
「ちょっと待って!私が話してみる!」
エレネは武器も持たず、にっこり笑いながらモグランに近づいていった。
村人たちは息を呑んだ。モグランはエレネを見て、威嚇するように牙をむいた。
「こんにちは!私、エレネっていうの。あなた、モグランって言うんでしょ?すごく立派な爪を持ってるね!」
エレネの声は驚くほど優しかった。
モグランは首をかしげ、奇妙そうにエレネを見つめた。
エレネはさらに近づき、そっと地面に座り込んだ。
「実はね、このじゃがいも畑、村のみんなが一生懸命育ててるんだ。あなたもお腹が空いてたんだよね?でも、全部食べちゃうとみんな困っちゃうの」
エレネはポケットから、特別に持ってきた巨大なキャロットを取り出した。
「これ、私が育てたにんじんだよ。じゃがいもより甘くておいしいと思うんだけど、食べてみない?」
モグランは疑わしそうににんじんを嗅いだが、一口かじると、目がぱっと輝いた。
次の瞬間、モグランはエレネの膝に頭を乗せ、気持ちよさそうに唸り始めたのである。
村人たちは目を丸くした。
「またか……」と誰かが呟いた。
これでエレネが仲良くなった魔物は、森のオオカミ王、沼地のトロール、空飛ぶグリフォンに次いで4匹目だった。
しかし、エレネの力はそれだけではなかった。
彼女にはさらに驚くべき能力があった。
仲良くなった者同士を、さらに仲良くさせる力なのである。




