↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
92/106

どちらを優先するべきか⑧

すごく嬉しそうに見えるけれど……何だか、裏があるような笑顔だ。

俺がそのことに気づくこと前提で、話したような気がする。

うーん。

ミカエル兄様はやっぱり、俺の動向を楽しんでいる感じがした。

俺が抵抗したところで、ミカエル兄様の手のひらの上である。

そう思っていると、ミカエル兄様は意外なことを告げてきた。


「もちろん、ザナフェルが今まで出会ったことがある人たちの中に、ダナー商会の者がいるというのも、あながち間違いじゃないよ」

「なっ!」


その断言を聞いて、生きた心地がしなかった。

何しろ、その発言は、俺が今まで出会ったことがある人たちの中に、ダナー商会の者がいることになるからだ。


「それって一体……?」

「それは言えないよ」


とても含みのある即答だったから、俺は怪訝そうな顔をした。

視線を向けると、ミカエル兄様はすべてを把握したような顔をしている。

つまり、その問いの答えも持っているんだけど、言えないってことなのだろう。


これって、俺がどう出るのか、楽しんでいるんだろうな。


そう思いつつ、引く気のないミカエル兄様に、俺は観念して口を開く。


「じゃあ、王宮にいるダナー商会の者は、儀式の間にいた人たちとか?」

「はい、正解! 今日は冴えているね、ザナフェル!」


あっさり白状したミカエル兄様に、俺は動揺の色を隠せない。

だが、ようやく、ダナー商会の者を知ることができた。

初めて、リリアーナ王女に憑依した時、儀式の間にいた人たち。

建国祭でも見かけた、あの聖職者たちが、ダナー商会の者だったということになる。


「あの人たちが、ダナー商会の者……。それって、リリアーナ王女に憑依した俺が、ザナフェルだということを、彼らは知っているんだよな」


理性よりも先に、直感が結論を出した。


「……ということは、今世の俺のことも知られているのかもしれないな」


予想はしていたけれど、改めて口にすると、その事実が重くのしかかる。


「ライル、どうしたの?」

「実は――」


俺は小声で、母さんに事情を話した。


「その人たちが……」


俺の話を聞いて、母さんも困惑しているみたいだった。

だけど、俺の混乱を、母さんが半分背負ってくれたおかげで、少しだけ落ち着きを取り戻す。


「母さん。今はみんなを救う方法を考えよう」

「ええ。ライル、頑張りましょう」

「うん」


俺と母さんは顔を見合わせて笑う。


「……それにしても聖職者たちか。『天使覚醒』の日。思えば、あの日からすべてが始まったんだよな」


各地の街々の教会で一斉に、狂乱の天使を呼ぶ鐘が鳴り響いた日。

あまりにも美しいその音色に、吸いこまれてしまいそうだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。