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どちらを優先するべきか④

その答えはもう見えていた。

アナスタシア様たちを陥れようとした者を捜さなくてはいけない。

そして、苦戦しているローゼンさんたちを救わなくてはいけない。


(もう、みんなが苦しまなくてもいいように……。一時的なしのぎじゃなくて、根本的な解決策を見つけないと)


俺は決意を新たにする。

だけど、今も、アンデッドドラゴンとダナー商会は脅威を振るっている。

決して、気を抜くことはできなかった。


「あらかじめ、言っておくけれど、どちらも救うって選択肢はないからね」


ミカエル兄様は、俺の考えを見透かしたように微笑んだ。


「森の奥にいる、冒険者たちを救えば、ダナー商会の暗躍は止められない。逆に、ダナー商会の暗躍を止めれば、冒険者たちを救えないよ」

「………それは」


ミカエル兄様の言葉は、俺の瞳を揺らがせるのに十分すぎた。

行き詰まって手も足も出ない状態。

それを踏まえて、ミカエル兄様はさらりと告げる。


「もっとも今は、私が目の前にいるから、ザナフェルはどちらも選べないだろうね」

「……っ」


その言葉の端々に、戦慄を覚えることすら忘れて。

俺は目の前のミカエル兄様に、ただただ、意識を奪われた。

ミカエル兄様は、一つも嘘は吐いていない。

すべて、明白な事実なのだろう。


今もダナー商会は影で動いている。

陰から操り、世界の転覆を企んでいる。

それでも――。


「天使は如何なる行動も、世界に対して『可能性』を紡ぐ。蓄積された力は、やがて世界を変える可能性にすらなるのかもしれない。天使とは、そういう特別な存在だ」


ミカエル兄様の言葉が、こびりついたように離れない。


「転生を繰り返したって、同じく奇跡や絶望を紡ぎだせることだろう。それはきっと。ずっとずっと昔から不変のことなんだ。この世界に初めて、私たちが誕生した時から、ずっとずっと――」


息が詰まる。

心の隙間に滑り込んだみたいに、どうしてもミカエル兄様の言葉の意味を意識してしまう。


「この場から逃げようとしても無駄だよ、ザナフェル。二人で一緒に、世界を蹂躙することは、既に確定事項になっているからね」


ミカエル兄様の容赦ない即断に、俺はぎくりと身を固くする。


「さあ、どうする? 私の提案を受け入れるか、それともすべてを諦めるか。ザナフェル、この意味、分かるよね?」


不意打ちのように笑った顔がきれいで、俺は思わず、たじろぐ。

それでも、俺は意を決して尋ねた。


「アンデッドドラゴンを復活させた上に、俺たちの足止めをしている。それってやっぱり、ダナー商会と関わっているからだよな?」

「うーん。彼らは利用できそうだったからね」


ミカエル兄様は、動揺する俺の様子から、望む答えを引き出せたらしい。

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