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どちらを優先するべきか①

目の前にいるのは、ただの冒険者たちではない。

能力が格段に上がっている、熟練の冒険者以上の存在だ。

だからこそ、アンデッドドラゴンは動揺を隠せなかったのだろう。


「罪のない者たちの未来を奪った罪、贖ってもらうぜ!」


そう意気込むローゼンさんと対峙する、アンデッドドラゴンには焦りの色があった。

それでも、アンデッドドラゴンはその戦いを放り出すことはしない。

この戦いを投げ捨てることなど、できないように。


それは、恐るべき脅威と運悪く遭遇してしまった事への焦燥か。

あるいは苦難を乗り切り、ローゼンさんたちを討ち取る未来を求める故の矜恃なのか。

――いや、どちらでもあるのだろう。


だからこそ、アンデッドドラゴンは己の力ではローゼンさんに及ばないと知りつつも、挑まずにはいられなかった。

しかし、背負う痛みにどれほどの意味が在ろうものなのか。

その過程で負うた無数の傷は、圧倒的な実力差の前ではただ無為の証左にしかなりえない。

もっともローゼンさんたちを相手に、逃げるという選択肢は取らせてもらえないというのが不変の事実だった。


「ローゼン、ホーネン! 骨格型のアンデッドは確か、瘴気の核が弱点のはずよ!」

「分かった!」

「胸郭の中で燃えている赤い炎――あれが核か……」


リネアさんの助言に、ローゼンさんとホーネンさんが力強く応える。


「行くぜ、ホーネン!」

「うむ!」


接敵と同時に、ローゼンさんは剣を振るう。

ホーネンさんも、獲物を狩り獲る如き勢いで距離を詰め、その勢いも込めた突きを放つ。

反撃を許さない猛追は、その一撃一撃に込めた威力を物語っていた。

そこに畳み掛けるように、他の冒険者さんたちの追撃が重ねられる。

だが、アンデッドドラゴンとて易々ととどめを刺される気は毛頭ない。

アンデッドドラゴンは恐怖に苛まれながらも、辛うじて息をしている。


「くっ……!」


アンデッドドラゴンが放った、闇の炎のブレスが森を焼き尽くす。

激しい炎の渦によって、冒険者さんたちの動きが踏みとどまる。

戦いの熱に侵されながら、アンデッドドラゴンは見境なく襲い掛かってくる。


「さすがに手強いわね……!」


後方で援護していたリネアさんが表情を強張らせる。

眼前のアンデッドドラゴンが激しい怒りを漲らせている事は明白だった。

しかし、その虚勢もそこまでだった。


「これで終わりだ!」


天を轟く威光。

ローゼンさんが振るった、瘴気を祓う加護による強烈な一撃が、アンデッドドラゴンの瘴気の核に暴発的な衝撃を与える。

それが決定打となり、アンデッドドラゴンの身体は灰のように周囲に散っていった。

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