大切な人たちを守るために②
「うーん。どんな催し物があるのか、分からないけれど……」
思い当たる節が一つあった。
物心ついた頃には、俺は母さんとともにネーア王国の街々を転々としていた。
だから、お祭りと言って思いつくのは一つだけだ。
「お祭りと言えば、やっぱり、屋台で食べ歩きかな!」
「食べ歩きか。ただ、私たちは王族だから、毒味をしてもらう必要があるけれどね」
「毒味!?」
思わぬミカエル兄様の言葉に、俺は唖然とする。
だが、ミカエル兄様とリリアーナ王女は王族だ。
確かに必要だろう。
でも、食べ歩きするにも、毒味がいるって大変だな。
「ミカエル兄様は、ネーア王国の建国祭と言ったら何だと思う?」
俺は敢えて、別の話題を振ってみる。
ダナー商会に関して言えないっていうのなら、建国祭の内容について突き詰めていくしかない。
「そうだね。本来なら、建国祭は夕方までだ。だが、ネーア王国の建国祭は違う」
ミカエル兄様は我が意を得たとばかりに微笑んだ。
「それって一体?」
疑問に思っている間にも、ミカエル兄様はさらに奥の方へと足を進める。
賑やかで華やかな屋台。
数多の新鮮な食材たちが、そこに連ねいていた。
「ザナフェル。まずは屋台を見て回ろうか?」
「……ああ」
うやむやにされた気がするけれど、ひとまずはお祭りを楽しもう。
「串焼きのお肉はいかがですか?」
「温かいデザートも召し上がってくださいね!」
「ぜひ、こちらも!」
さすがに年に一度の大きなお祭りなだけあって、普段はがらんとしているはずの夜の教会の前には、色とりどりの屋台がひしめき合い、大勢の人たちでガヤガヤと賑わっていた。
「それにしても、いろいろな屋台があるんだな。あ……あの串焼きと飲み物、美味しそう!」
「そうだね」
ミカエル兄様と一緒に、目的の屋台へと向かう。
その話を聞いた護衛の人たちが、店員さんから串焼きと飲み物を受け取っていた。
そして、護衛の方が視線を向けた後、先に少し飲み物を飲んだ。
どうしたんだろう?
俺は一瞬、何をしているのか分からなかった。
味見とかしているのかと思ったが、そこではっと気づいた。
『食べ歩きか。ただ、私たちは王族だから、毒味をしてもらう必要があるけれどね』
先程、聞いたミカエル兄様の言葉が、微かに尾を引いて消える。
多分、これ、鑑定と毒味だ!
料理に何か含まれていないか、鑑定スキルで確認して、さらに念入りに毒味にしているのだろう。
俺たち天使は、状態異常を無効化する。
だから、毒入りの料理は無意味だ。
とは言っても、やっぱり、毒入りは怖い。
王族や貴族って、本当に大変すぎる。
「これ、おいしいな」
護衛の人に毒味をしてもらってから、パクっと食べる。
あまりにもおいしかったので、俺はあっという間に平らげてしまった。
満足そうな俺に、ミカエル兄様はくすりと笑う。




