大切な人たちを守るために①
つまり、天使の結界で守られている国は、恩恵を得る代わりに、俺たち天使の従属国となっている。
そんな国の一つ、ネーア王国は大陸で三番目の国土を有し、天使ザナフェル……つまり、俺を敬う神聖国家。
そのお祭りっていうと、もしかして――?
俺が抱いていた危惧は現実のものとなった。
「これって……」
俺は、その光景を目の当たりして愕然とする。
お祭りは教会の近く、街の中心地で行われていた。
厳かな服をまとった聖職者たちの中心に、それは開催されている。
そこには初めて、リリアーナ王女に憑依した時、儀式の間にいた人たちもいた。
「天使ザナフェル様……感謝いたします」
彼らは一心に祈りを捧げていた。
周りの人たちも、熱心に無事、平穏に過ごせたことを感謝している。
天使ザナフェルに。
……つまり、俺を敬うお祭りが開かれていたのだ。
「天使の加護に感謝し、来年の幸せを願う建国祭。名目は、天使ザナフェルに感謝を伝えるお祭りだよ」
ミカエル兄様は、動揺する俺の様子から、望む答えを引き出せたらしい。
メイン会場に近づくに連れて、どんどん人が増えていく。
夜遅くなのに、会場内はすごい人だかりだ。
「この街で、こんなお祭りが開かれていたんだな」
「建国祭。この時期にしか、開かれていないお祭りだからね。ザナフェルはまだ、この街の教会に行っていなかったから知らないよね」
俺の疑問に、ミカエル兄様がかいつまんで説明する。
「何で、それを……?」
俺の反応に、ミカエル兄様は満足げに微笑む。
これって多分……知っていた。
いわゆる、確信犯なんじゃ!
俺が困惑していると、ミカエル兄様は優雅な仕草で手を差し出してきた。
「じゃあ、ザナフェル。早速、建国祭を楽しもうか」
「……えっ?」
ミカエル兄様にエスコートされたまま、メイン会場に足を踏み入れる。
貴族の人達が、散歩に使う場所でもあって、中は歩きやすいように整備されていた。
周りを見回せば、他にも貴族らしい人たちの姿が見える。
「ザナフェル。『これは絶対に見たい』とか、『行きたい』っていう催し物はある?」
「ダナー商会について知れる場所かな」
「それは言えないよ」
とても含みのある即答だったから、俺は怪訝そうな顔をした。
視線を向けると、ミカエル兄様はすべてを把握したような顔をしている。
つまり、その問いの答えも持っているんだけど、言えないってことなのだろう。
「それって、彼らと内通しているから?」
「内通とは人聞きが悪いね。私はいつだって、ザナフェルのことしか考えていないよ」
俺は仕方なく、催し物について考えてみる。




