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気がついたら別の場所へ⑧

「ザナフェル」


ダナー商会のことを考えていたからか、ミカエル兄様は再度、お祭りについて触れた。


「お祭りには、ダナー商会が関わっている。ザナフェルが探している人物もいるかもしれないね」

「俺が探している人物……」


スタン様は、ダナー商会はもう、この街にはいないって言っていた。

だが、それすらも偽の情報だったということになる。

スタン様が『誰』から、その情報を入手したのか分かれば、グランジ家を利用した黒幕を突き止めることができるかもしれない。


「ダナー商会は隠れ蓑として、様々な場所に潜伏している。信頼している者が、実はダナー商会の者かもしれないね」


ミカエル兄様は、さらに踏み込んだ話を始めた。


「だが、彼らは目的を妨害したり、正体を暴いてきた者には容赦しない。生かす道がある方が不思議な状況だ」


ミカエル兄様はこれまでの現状から、そう結論づける。


「ザナフェル。彼らのこの街での暗躍は、もう大詰めに入っている。森の奥の魔物を倒してからなんて、悠長なことは言ってられないと思うよ」

「それって……」


アナスタシア様たちの身が危ないってことなのか。

そう考えれば、全てに合点がいく。


ルリア様は、『天使ザナフェルの加護』を持っている。

ありとあらゆる厄災から守ってくれる加護――。


だが、アナスタシア様たちの近くに、ダナー商会の者がいたら、今後も命を狙われる可能性がある……。

加護の力があるとはいえ、危険なのは変わらない。

ミカエル兄様の話は、確かに辻褄が合う。

だが、頭に一つ、嫌な考えが浮かんだ。

ダナー商会は、俺たち天使には絶対服従していて、ミカエル兄様の命令には忠実に従っていた。

彼らが今も、ミカエル兄様と協力関係ではないとは言い切れない。

うーん。

考えることが多くて、何から手をつけたらいいんだろう。

だけど、アナスタシア様たちに危険が及ぶ可能性を看過するわけにはするわけにはいかない、

魔法を使うと、ミカエル兄様に気づかれそうだけど……。

そもそも、俺が魔法を使うこと前提で、話したような気がする。

悶々と悩んでいると。


「ザナフェル」


話の区切りが付いたと見て、ミカエル兄様が話題を変えてきた。


「ネーア王国を始め、主要な都市は私たち天使の加護による結界によって守られている。それは何故か、知っているよね?」

「あ……」


ミカエル兄様のその言葉で、はたと思い至る。


日々、濃くなる瘴気と増加する魔物。


それらから国を守っている理由は一つ。

俺たち天使が国を掌握し、世界を席巻しているからだ。

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