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気がついたら別の場所へ⑦

「逃げられちゃったか……」


それを見つめるミカエル兄様は穏やかだった。

ミカエル兄様のことだから、ここで追い打ちをかけると思っていたから意外だ。

レオさん、何か掴めない人だったな。

そう感じていると。


「だけど、彼が逃げたその先には、罠が仕掛けられている。どうなるのか、楽しみだ」


前言撤回。

ミカエル兄様のやり口は、前世の時と変わっていないみたいだ。


「私の前で、ザナフェルを口説こうとした度胸だけは認めるよ。次に会う時に、五体満足で会えることを期待しているね」


俺に声をかけたこと、絶対に根に持っている!?


ドカアァァン!


程なく、レオさんが向かった先で爆発音のような音がした。

やっぱり、俺に……リリアーナ王女に声をかけたのが運の尽きだったんだろう。

魔法で探ってみたけれど、幸い、命に関わる罠じゃなかったようだ。

ただ、後味の悪さだけが残る。


「ハイヒール……」


俺は小声で、回復魔法をつぶやく。

レオさん、巻き込んでしまってごめんなさい。

でも、やっぱり、リリアーナ王女とは明らかに年齢差があると思う。

俺はしみじみとそう感じたのだった。







レオさんと別れて、再開するのはお祭りに向かうこと。


ダナー商会が関わっているお祭り。


ダナー商会は、表向きは普通の商会。

だが、裏では商品の優先的な仕入れや値段の吊り上げを仕向けてくる者たちだ。

さらに国の御用達商会でもあり、雇い主の依頼を遂行する裏稼業もしている。

うまく相手の懐に入って、雇い主にとって、有利な情報を引き出す。

ろくでもない商会だった。

ただ――。


『ミカエル様、ザナフェル様、いつもありがとうございます。今後も、ダナー商会をよろしくお願いいたしますね』


俺たち天使には絶対服従していて、ミカエル兄様の命令には忠実に従っていた。

今世のミカエル兄様は、ネーア王国の第一王子、ヴェルディ様だ。

……もしかしたら今も、彼らはミカエル兄様に協力しているかもしれない。


「このまま、お祭りに向かってもいいのかな……」


胸に走った痛みを振り払うように、俺は頭を横に振った。


「胸騒ぎがする……。でも……」


ふと、悩みの種を思い出す。


ミカエル兄様の憑依の魔法で、この場所に呼び寄せられた。

この状況で、自分にできることは何だろう。


その答えはもう見えていた。

アナスタシア様たちを陥れようとした者を捜さなくてはいけない。


(もう、ルリア様とアナスタシア様が苦しまなくてもいいように……。一時的なしのぎじゃなくて、根本的な解決策を見つけないと)


俺は決意を新たにする。

だけど、今も、ダナー商会は影で動いている。

決して、気を抜くことはできなかった。

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