演奏の力は効果抜群④
「魔物がほとんど出なかっただけではなく、能力を底上げした。演奏を聞いただけで、そんなことがあり得るのか」
ヴァイル様がもっともなことを口にしたけど、それは言ってはいけない言葉。
案の定、冒険者さんたちが我が意を得たりと笑みを深くした。
「おおっ! これも、吟遊詩人様たちの演奏のおかげだ!」
「いや、偶然なんじゃ……」
「いえ、間違いなく、吟遊詩人様たちのおかげです……! すごい! 奇跡だ!」
そうこぼした俺を見て、冒険者さんたちが嬉々とした表情で否定してくる。
確定事項で攻めてくる冒険者さんたちの歓喜に、俺たちはもはや、困惑するしかない。
「……そっか。改めて、礼を言う。君たちの演奏がなければ、ここまで順調に調査は進んでいなかっただろう」
「いや、俺たちはただ、演奏をしただけなので……」
スタン様の言葉に、俺は首をぶんぶん横に振る。
むしろ、ここまで順調に事が運びすぎていて、戸惑っている始末だ。
「ライルくん、アイリス様、ありがとう。君たちがいてくれて心強いよ」
「……その、お役に立てて良かったです」
感謝の言葉に、俺は堪えきれなくなり、顔を赤らめる。
そこで、ヴァイル様が考え込む素振りを見せた。
「……なるほど。この地に、彼らを呼び寄せたのも頷ける。たとえ、支援魔法を使っても、あの森に入って、ここまで魔物が出てこないというのはあり得ないからな」
他の人が使う支援魔法とは、効果が段違い。
何となく、当たり前のように使っていたけれど、天使の力はそこまで超越した力なのだろう。
「特別な演奏か。今後、彼らの演奏を利用しようとする輩が出てきても、おかしくないな」
「ああ。それは、私も危惧していた」
ヴァイル様の懸念に、スタン様は深刻そうにうなずいた。
「ライルくん、アイリス様、君たちに護衛をつけようと考えている。どうだろうか」
「護衛!?」
突然の提案に、俺は動揺の色を見せる。
護衛がつくと、俺の天使の力のことがバレる可能性が高い。
ここは、何とかしてごまかさないと。
そう思ったのだけど、そこで思わぬ横やりが入った。
「いや、俺たちは……」
「スタン様。その護衛、私たちがしたいです!」
「ぜひ、俺たちにさせてください!」
俺たちの護衛に、冒険者さんたちが次々と立候補してきたのだ。
まるで俺たちのことを崇拝しているみたいに、みんな、恍惚の表情を向けてくる。
「その、俺たちはこのままでいいので……」
妙な居心地の悪さを感じつつ、何とか断りを入れようとするものの。
「君たちは随分、親しまれているな。みんな、君たちの護衛の候補になりたいようだ」
「ええっ……!?」
思わぬスタン様の発言に、俺は目を白黒させた。




