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演奏の力は効果抜群③

あの後、魔物の跋扈する森に冒険者さんたちが向かい、しばらくして、調査から帰ってきた。

ほどほどにしたはずの支援魔法は、それでもしっかり効果があったらしく、負傷者はほとんど出ていない。

冒険者さんたちが、周辺の調査から無事に帰ってきた、その夜。

夕食後に、報告会が開かれた。

参加者は、討伐に参加した騎士さんたちと冒険者さん、そして俺たち吟遊詩人だ。


「ライルくん、アイリス様、急ですまない。君たちにも、報告会に出席してもらいたくてな」

「そうなんですね」


スタン様に言われたとおり、いつも使っている居間に集まると、しばらくしてリンクス領の領主、ヴァイル様がやってきた。


「待たせてすまない。さあ、始めよう」


席に着いたヴァイル様が促し、報告会が始まる。

報告を行ったのは、スタン様の護衛騎士さんたちの一人だ。

まずは、出発式に俺たちの演奏があったことや、周辺の調査に多くの冒険者さんたちが参加したことなど、護衛騎士さんは淡々と報告した。


「あれ……?」


俺はふと、首をかしげる。

報告内容は、事実に即しているけど、省かれている内容もあったからだ。

もしかしたら、報告には必要ないと判断したのかもしれない。


「森の周辺調査についてですが、遭遇した魔物はあまり強くありませんでした。もっとも、出ると言われていた小型の魔物は一度も、姿を見ておりません」

「小型の魔物は出なかったのか?」

「はい」


魔よけの効果の影響なのだろうか。

今のところ、小型の魔物は出ていないらしい。


「そうか……。中型の魔物はどうだ?」

「中型の魔物も、ほとんど出ませんでした。中型の魔物に遭遇したのは一度だけです」


ほとんど、魔物と遭遇していないと聞いて、俺は心底焦る。

何故なら、魔物が出なかったのは十中八九、俺がこっそり使った、魔よけの効果のせいな気がするからだ。

ほどほどにしたはずなのに、待ち構えていたのは『ほとんど出なかったという事実』。

この状況はまずい。

絶対にまずい。

だが、そんな俺の動揺を露知らず、護衛騎士さんはさらに踏み込んだ話を始めた。


「その遭遇した班も、中型の魔物を一振りで倒してしまったそうなのです」

「そんな、すごい冒険者たちが参加していたのか」

「いえ、それが……彼らはこの調査に参加している冒険者たちの中で一番、弱いらしいのです。冒険者ランクも、最低ランクのEだそうで……」


予想外の事実に、スタン様は一拍して動揺を抑える。


「それなら何故、彼らが中型の魔物を一振りで……」

「何でも、吟遊詩人様たちの演奏を聞いた後、いつもの数十倍、力を発揮できるようになったと」


身を焼かれるような焦燥。

俺は息を吸う時間すら惜しくて、頭がくらくらした。

これは間違いなく、やばい方向に向かっている。

それに気づいたからだ。

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