守りたい未来⑤
いつの時代でも、自分から踏み出さないと始まらない。
何かを待っているだけじゃダメだ。
現状を変えたいなら、自分が動かないと!
だから、俺は母さんたちのために、母さんたちの幸せのために動く!
まずは、ルリア様たちを救わないと!
そう意気込むと、俺は母さんと一緒に、屋敷がある方向へと進んでいった。
グランジ家の屋敷は静かだった。
強いて挙げるなら、その静かさが俺たちの焦りをせき立てる。
「屋敷の人たちを見かけない。どういうことだろう?」
アナスタシア様たち、大丈夫だろうか。
切実な思いとは裏腹に、事態は悪い方へ悪い方へと転がっていってしまう。
このまま後手に回っていたら、アナスタシア様たちを守れない。
心の底から、そんな言葉があふれ出した。
「やっぱり、何かあったのかもしれない」
そう考えた俺は隠密スキルを駆使して、慎重に屋敷の中を進んでいく。
「探査」
勝算はある。
その根拠がこれだ。
天使の力。
前世では、忌み嫌われていた俺の天使の力が、大切な人たちの守るためにつながっている。
天使である俺が、隠密スキルを使えば、たとえ目の前で会話しても、相手に気づかれることはない。
「よし、錬成」
不意を突かれることを想定しているため、俺は錬金スキルを使って銀色の盾を錬成した。
この盾には、持っている者の身を守ってくれる効果を持たせている
「母さん、これを。不意を突かれても、この盾が守ってくれるはずだ」
「ライル、ありがとう」
これで、母さんの身の危険は減ったはず。
錬金スキルを駆使したおかげで、俺たちは最悪の事態に対する保険を手に入れた。
天使の力は尋常なものではない。
万能すぎて、いささかオーバーキルのような気がするけれど。
ルリア様たちを救うために、全力を尽くすだけだ。
それを終えた後、再開するのはアナスタシア様たちの捜索。
「ライル、私は信じているの。この世界には生きる希望があふれているって。私はライルのそばにいることしかできないけれど、それでもあなたの力になりたい。ルリア様たちもきっと、同じ気持ちよ。だって、みんな、ライルのこと、大好きだから」
母さんは小さな頃から、ずっとそばにいてくれて、どんな時でも笑ってくれて、ずっと力になってくれた。
俺のかけがえのない、大切な家族だ。
「私たちはどんなことがあっても、ライルの味方だから」
「母さん……ありがとう。俺も、母さんたちのことが大好きだ」
はっきりと自信を持って口にすると、それは自分の胸にすとんと落ちてくる。
俺には、大好きな人と大切な人たちがいて。
やっぱり、今のこの生活が大切で、大好きなんだと実感する。




