↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
104/108

守りたい未来④

「ライル……」


気持ちを確かに魔力に込めれば、母さんの唇は微かに緩んだ。

時間を遡るように、最近の出来事から過去の出来事へと思いを馳せる。

そして一番、最初の出会いを思い出したところで、胸の奥からふわりと魔力が溢れ出した。


「多重詠唱。空間の理をねじ曲げ、彼の者の架け橋を創り出せ――ブリッジゲート!」


俺の声が厳かに響き渡る。

転移魔法と空間魔法を同時に詠唱し、発動させることは極めて高度だ。

莫大な魔力が必要なため、魔力切れや制御不能のリスクが極めて高い。

神業的な難易度。

本来なら発動させること事態、困難な魔法だけど、天使として覚醒したからか、容易くできた。


「母さん、行こう!」

「ええ!」


俺は母さんの手を取ると、まっすぐ前を見据えて言った。


「ミカエル兄様、ヴァイル様、ごめん。俺たちは、どうしてもアナスタシア様たちを救いたいんだ!!」

「えっ? ちょっと――」


ミカエル兄様の声を振り切るように、俺たちは魔法で別の場所へと移動した。






ミカエル兄様の意識が逸れている一瞬の隙を突いて、転移魔法と空間魔法を同時に使って逃走する。

天啓のような思い付きだったが、何とかなったらしい。

混乱しそうになる頭を叱咤しながら、周囲を見渡す。

たどり着いた先は、グランジ家の屋敷から少し離れた場所だった。


「グランジ家の屋敷が見えるな」

「どうやら、少し離れた場所に移動したみたいね」


俺の言葉に、母さんが穏やかに微笑んだ。

無我夢中で魔法を使ったからか、少し座標がずれてしまったみたいだ。

さすがに、ここだと目立つので、屋敷の方へと移動する。

その間、ミカエル兄様が現れることはなかった。

だが、不意を突いたとはいえ、俺たちがいる場所は察知されているはずだ。

慎重に歩を進める必要がある。

澄んだ空気をゆっくりと胸に吸い込んで、先程の出来事を呼び起こす。


『もしかして、ヴァイル様はダナー商会の者なのか……?』

『はい。その通りです』


先程のヴァイル様の言葉が、微かに尾を引いて消える。


ヴァイル様が、ダナー商会の者だったなんて……。


恐らく、スタン様はそのことに気づいていない。

だけど、ヴァイル様はどうして森の調査を行う依頼を出したのだろう。

思考が堂々巡りをする。

だけど、すぐに情報が足りない、という考えに行き着いた。


「母さん、アナスタシア様たちの身が心配だ。グランジ家の屋敷に戻って、状況を確認しよう」

「そうね。急ぎましょう」


俺の提案に、母さんは噛みしめるようにうなずいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。