一騎打ち
急に外出することになり、急ぎ投稿します。かなり荒いです。
「俺の名はヒグチ ヒデキ、あちらでは某商社マンだった。こちらでは魔術師で冒険者をやっている」
玉座に座るミタは俺の自己紹介をニコニコ笑いながら聞いていた。
「あなたはスマホを旨く使いましたね。見事です」
「それはどうも・・・エバートン参謀がいなければとっくに死んでいましたけどね」
「実に良い組み合わせですね。うらやましい」
「それはさておき、あなたは帝国側、俺は王国側、敵対勢力になっている訳ですが、決着をつけますか?」
俺はスマホにチェインサンダーを表示させ、身構えた。
「まあ、落着いて下さい。せっかく会えた同郷じゃありませんか。戦わずに済ませませんか?」
「王都を返していただいて、帝国軍が全面撤退していただけるなら、考えないでもありませんが・・・」
「うーむ、ダメですかね?ハンス・ゲルト殿?」
「な、何をおっしゃっているのです!?ダメに決まっているではありませんか?」
ミタの問いに、横に控えていたハンス・ゲルトが慌てて否定した。
「帝国軍総司令ハンス・ゲルト殿がダメだと言う事なので、もう少し妥協していただけませんか?」
「総司令だとぉ!?てめえを殺せば、終りだろうが!!」
総司令と聞くや否や、セルゲイがハンスに切りかかる。
セルゲイの剣がハンスへ届く前に大きな音がして、セルゲイの剣は弾かれた。
「何ぃ!?」
「さすがに防御結界も張らずに、あなた方を招き入れる訳はないでしょう」
「結界かよ、このヒデキの魔法なら結界の中でも攻撃できるぜ。エバートン参謀の魔法陣でも!!」
セルゲイが俺の方をちらっと見て、ミタに凄む。
「そうでしょうね。ですが私や総司令を殺せば終り・・・とはなりませんよ」
「何故だ?」
「私を殺しても、外にいるドラゴンは暴れまわりますし、全てのゴーレムも暴走して王都を蹂躙します。居住区は壊滅状態になるでしょうね。そのように命令してありますからね。私が死ぬか、このボタンを押せば、暴走が始まります」
「居住区の住民が人質ですか・・・なるほど・・・実に合理的です。皆攻撃は控えるように」
エバートンが冷静に命令した。
「さすがはエバートン参謀。実に合理的思考のお持ちです。私も帝国に拾われた義理がある以上、全面降伏して撤退する訳には行きません。落としどころを考えましょう。私とヒデキ殿の勝負で決めませんか?私が作り上げた4体のゴーレムとヒデキ殿の魔法陣で勝敗を決するのはどうでしょう?」
ミタの提案にエバートンはすぐに答えた。
「ではこうしましょう。ヒデキ殿が完全に勝てば、帝国は全面撤退。休戦協定を締結。但し、侵略による賠償金は王都居住区の住民の解放で相殺。ミタ殿のゴーレムが勝てば、我々は一時撤退します。但し住民の安全は保障する事。可能性は低いですが引き分けた場合、王都は返還していただきますが、代わりに、一都市を帝国に譲りましょう。この条件でいかがですか?」
相変わらず立て板に水のような弁達である。
「なるほど・・・エバートン殿はヒデキ殿の勝利を確信していますね・・・その根拠を見てみたい・・・いいでしょう!!その条件で!!」
「ミタ殿!!勝手なことをされては「では、ここで2人とも殺されますか?こんな防御結界など、あの2人には無意味ですよ」
「くっ!!キ・許可します」
敵さんも意思統一がなされたらしい。
こうして見ている限り、ハンス・ゲルトは傀儡に近いな。
「それと王城をこれ以上破壊したくありません。勝負は城外で行いましょう。それに増援が来る前に決着をつけないと、話がまたややこしくなります」
「エバートン殿!!敵に情報を与えては!!」
「あの壁に映されているものを見て下さい。増援がここまで到達する前に、どうせ露見します」
デトレフさんの忠告も最もだが、エバートンが事を急ぐのも理解できる。
ダミアンが到着してしまうと、揉めるのは必至だからな。
「とにかく一騎打ちで決着。お互いに矛を収めましょう。居住区以外のゴーレムとドラゴンを撤退させて下さい。こちらも召還したゴーレムと翼竜、雷獣を呼び戻します。ヒデキ殿、お願いします」
「はい!!」
― ― ―
王都郊外
俺達は教練場に移動していた。
エバートン他、皆は武装を解除して、俺とミタから少し離れている。
アイアンゴーレムは居住区とその近くで完全に停止している。
ミタかハンスが死ぬと、動き出して居住区の住民を皆殺しにするようにプログラムされているらしい。
俺とミタとの勝負で、この戦争は終結する。
正確には俺の魔法陣と、ミタの造った4体のゴーレムとの勝負だ。
負ける気はしないが、どうもミタの余裕の顔が気になる。
一応、保険をかけておこう。
「ミタさん、あなたはゴーレムに戦わせるので、ノーリスクだ。俺は自身が戦うから、かなり危険が伴う。ですから補佐をつけますよ」
「補佐?」
「エリー!!」
「はい!!ヒデキ様!!」
エリーが走って来て俺の横に立つ。
「妻のエリーです。魔術師ですが、当然補佐だけで、ゴーレムに攻撃はしません」
「黒髪?あなたも?」
「それは秘密です。それより補佐をしてもよろしいですか?」
エリーが出自を誤魔化して、確認した。
「いいでしょう!!では、始めましょうか!!」
俺はスマートフォンでスーパーノヴァの魔法陣を呼び出す。
エリーは魔力回復ポーションを両手に持ち、俺の肘に腕を絡めた。
ミタはリモコンのような物・・・いやリモコンだろう・・・を持ち出している。
「エバートン殿!!開始の合図を!!」
エバートンは頷き、右手を高々と上に挙げ、さっと振り下ろした。
「始め!!」
俺は速攻でスーパーノヴァを1体のゴーレムへ放つ。
予想していたが、大きな魔法陣が出現してスーパーノヴァを消滅させた。
反撃に備えて、指輪の防御結界を発動させるが、反撃は来ない。
4体のゴーレムは驚いたことに、それぞれ変形をはじめる。
1体は左腕、1体は右腕、1体は下半身、1体は上半身に変形した。
当然のように4対が合体をして10メートルを超えるゴーレムになってしまった。
あまりの予想通りのビジョンについつい、見入ってしまった。
「本当は6体で合体させたかったのですが、色々と不都合がありまして。4体合体にしました」
こいつ・・・俺より前の世代のオタクか!?
まあ、科学者と自衛隊員はオタクが多いって言うからな。
「なら3体合体にすれば良かったのでは?」
「それはそれで、問題があるのですよ」
なんとなく分かるが・・・
とにかく、このでかいゴーレム・・・いや、ロボと呼ぶことにしよう・・・を倒す必要がある。
スーパーノヴァが1体のロボに弾かれたとすると、生半可な魔法では倒せないだろう。
合体したロボは身体の調整が終わったらしい、予想通りの攻撃を仕掛けて来た。
予想通りと言ったが、俺だけが予想できたかも知れない。
ロボが目からビームを放ったのだ。
ビームは俺の防御結界に弾かれて、拡散して消えた。
続けてロボは指から、強力な炎を放出する。
口からブレスだと思っていたのだが、指からか・・・
防御結界が再び発動し、炎を消し去る。
防御に回っていると、ジリ貧だ。
俺はエバートンの方を見た。
エバートンは俺の意図を察してくれたらしい。
許可するように頷いた。
6大魔法の発動だ!!
「エリー頼む!!」
「はい!!ヒデキ様!!」
エリーは直ぐに魔力を俺に流し始める。
俺はη(イータ)= 絶対零度を呼び出し、魔力を込めた。
ロボは指からの炎が効果ありと思ったか、連続して炎を放出していた。
よく考ええれば、ミタがリモコンを持って操作しているのだから、「思った」とかはないな。
俺とエリーの魔力を吸収して、η(イータ)が発動する。
久しぶりに魔力の消耗とエリーが流し込む魔力が感じられた。
ロボが放出する炎さえ凍りつき、ロボは完全に凍りついた。
そして・・・その周りの全てが凍りついた。
絶対零度の驚異的な威力だ。
当然のように、合体ロボは粉々に砕け散った。
「信じられない!!素晴らしい!!その魔法!!それがヒデキ殿の、いやエバートン殿の自信の根拠でしたか!!」
「ミタ殿!何を感心しているのです!?これで我々は何も得ずに撤退する事になったのですぞ!!」
ミタの賞賛とハンスの狼狽ぶりが対照的だった。
合体ロボには本当に驚かされたが、終わって見れば、あっけない結末だった。
明日も投稿予定です。




