玉座の間
これでプロットのストックは1つだけです。
今日もなんとか投稿できました。
帝国には俺と同じ地球人がいる可能性が高い。
しかも俺と違って、科学者かそれに近い知識を持った人物だ。
敗北の二文字が脳裏を掠めた。
「ヒデキ殿、確かに想定外の事ではありますが、我々に敗北はありえません。ヒデキ殿には6大魔法があるのをお忘れですか?」
「え!?ですが今回は使用禁止では?」
「敵は私の予想を上回る戦力だったのです。戦力の温存は可能な限りであり、絶対ではありません」
「確かにそうでした」
エバートンが冷静に意見してくれて、俺は落ち着を取り戻した。
俺とエバートンの問答の間に、皆は自分の武器に雷撃の魔法を纏わせるのを終わらせていた。
「さあ、準備完了です。玉座に間まで進みますよ!!」
前衛と雷獣、ライサンダーがアイアンゴーレム担当、他は帝国兵を攻撃。
とにかく敵の数が多い。
だが、アイアンゴーレムが俺の世界の技術で作られていて返って助かった。
魔法の補助があるにしても、アイアンゴーレムは俺の世界のロボットに過ぎない。
電気系統に支障が出れば、ゴーレムは只の木偶人形だ。
ここから速攻で玉座の間まで・・・と思っていたのだが、そうはいかなかった。
帝国兵はともかく、アイアンゴーレムが次から次へと押寄せて来る。
これはどこかで魔術師がアンアンゴーレムを増産しているに違いない。
探し出して倒さなければ、きりがないどころか、こちらが消耗してしまう。
『不可視』で先行しようかと思った矢先、ベッツとローラの声が聞こえた。
「俺が「私が、魔術師を探してゴーレム量産を止めます」」
未だ姿を消す効力は継続中だった。
声だけが聞こえ、ベッツとローラは行動に移ったらしい。
となれば、こちらは目の前のアイアンゴーレムと帝国兵を倒し続けるだけだ。
・・・だけなのだが・・・帝国兵が駆けつける数は減ってきたのに反して、アイアンゴーレムの数は、増えて来ているように見えた。
「こいつら、切りが無いぞ!!ベッツとローラはまだ魔術師をヤれないのか!?」
セルゲイが根を上げるのだから、その状況たるや、推して知るべしだ。
雷獣も引っ切り無しに電撃を放っているが、アイアンゴーレムに恐怖と言うものはない。
5連射できるクロスボウを射た後は必ず突進して来る。
広い通路一杯に広がって攻めて来るので、倒れたゴーレムが積み重なり、バリケードのようになって俺達は進めなくなってしまった。
当然の事だが、敵もこちらをまともに攻撃できない。
「ヒデキ殿!6大魔法はまだですが、それ以外の魔法は解禁します。ブラックミストで、この瓦礫の山を消して下さい」
「はい!!了解です!!」
俺は急ぎブラックミストの魔法陣を表示させ、魔力を込めた。
狙いは眼前に積み上がっている、壊れたアイアンゴーレムの山だ。
すぐに黒い霧が発生し、その山を覆い隠す。
暫くすると、霧は消え、同時にアイアンゴーレムの山も消え去っていた。
お互いのバリケードが消えると、再び戦闘が始まった。
俺は解禁された魔法の中から、チェインサンダーを選び、アイアンゴーレムを攻撃する。
チェインサンダーは実に効果的で、アイアンゴーレムを中隊規模で攻撃して行動不能にした。
30分ほど経過すると、帝国兵は全く姿を表さなくなり、アイアンゴーレムだけが光に集まる虫のように、俺達に攻撃を仕掛けるために集まって来ていた。
6度目のブラックミストを発動させ、お互いの攻撃が中断していた時、ベッツからエバートンにホットラインが入った。
「魔術師を倒しました、数は4人。ローラと2人ずつ倒して作戦終了しました」
「そちらの場所は玉座の間の二つ手前の部屋です」
「敵に注意して、こちらの到着を待つように!」
「了解!!」
ホットラインが切れて、少し経つとブラックミストも晴れた。
再び戦闘が開始され、アイアンゴーレムを屠ってゆく。
2時間ほど経過するとアイアンゴーレムの数が減ってゆき、ついには全てのアイアンゴーレムが残骸をさらしていた。
俺達はエバートンのナビで玉座の間へと向かう。
途中で帝国兵と数度交戦したが、小隊規模だったので簡単に倒して進むことができた。
玉座の間までの通路は複雑だったが、エバートンの正確なナビで迷うことは一度も無くベッツとローラに合流した。
「ベッツ殿、ローラ殿、ご苦労!!」
2人の足元には4人の魔術師が骸になっていた。
「この先ですな?結界で侵入不可能な玉座の間は?」
「そうです、帝国兵は入れるのに俺は一歩も入れませんでした」
「ふうむ・・・やはり帝国兵以外は全て弾く結界ですか・・・実に興味深い・・・」
エバートンの考察は半分正解だ。
俺は結界が張ってある部屋の天井近くにある、大きな瞳のような印が気になっていた。
印の中央には、赤い宝石のような物が埋め込まれている。
俺の考えが間違っていなければ・・・
「エバートン参謀!今からこの結界を解きます」
「ヒデキ殿、あまり王城を破壊するのは・・・」
「大丈夫ですよ、あの印の中央にある赤い宝石を壊すだけです」
「宝石?ああ、あれは魔石ですな・・・あれが結界を?」
「まあ見ていて下さい」
俺がファイヤーキャノンの魔法陣をスマホに表示させていると、
「あれを壊せば良いのですね」
ゴールド・エクリプスのシーナがナイフを投擲して、さっさと壊してしまった。
「多分、これで結界は機能しないはずです」
「本当だ!!ヒデキ!凄いな!!」
セルゲイがさっさと中に入っていた。
「なるほど・・・ヒデキ殿・・・あれはヒデキ殿の世界の技術ですかな?」
「恐らくですが、顔認証システムを応用しているのだと思います」
「顔認証システム?」
「そうです、予め顔を登録しておき、それ以外の者は一切入る事が出来なくなります」
「ヒデキ殿の世界では、そのような事が出来るのですか?」
「最近になって普及してきた技術です」
「その技術をこちらの世界で応用するとは!?ぜひその人物に会ってみたいものですな」
エバートンに顔認証システムを解説しているうちに、玉座の間の入り口に着いた。
でかい扉が自然に開いて行く。
自動ドアにしているのか・・・
「ドアが・・・魔法で開いているのか?」
ある意味そうだが、自動ドアの原理の応用だろう。
さあどんな人物が出てくるのだろう?
「ようこそ!!まさかアイアンゴーレムの弱点を的確について来るとは思いませんでした。エバートン殿だけでは、ここまで来ることが出来ないと思っていましたが・・・やはり、いましたか、私と同郷のものが!」
玉座の間は、玉座がある以外は研究室になっていた。
壁は計器が並び、色々なモニターにデータが常に流れている。
そのモニターのいくつは、王城の外や中を映していた。
翼竜とメカドラゴンの戦いが映っていて、まだ決着がついていないのが分かる。
他のモニターは城内の通路や、各部屋を映し出していた。
玉座の横に鎧を纏った男が立ち、左右には4体のアイアンゴーレムが立っている。
そして玉座には、おおよそ玉座には相応しくない衣装を纏った男が座っていた。
男は50代前半で痩せ型の体型に面持ち、髪の毛は俺と同じ黒髪だった。
その男の着ているものは、研究者がよく着ている白衣だった。
「ここで全て見ていたのですね?何故アイアンゴーレムを他のゴーレムに変えなかったのですか?あなたほどの知恵者・・・我々の攻撃が雷によるものだと分かったはずです」
エバートンは、完全に研究室になってしまっている玉座の間を興味深か気に見ながら、その男に尋ねた。
「攻めて来たのがエバートン殿なら、そうしましたが、私と同郷の者が攻めて来たとなれば、会ってみたくなるのが人情でしょう?そこのあなた、私の名前はミタ タケオと言います。
あちらでは、某企業でロボット工学の研究をしておりました。こちらではミタと名乗っています」
ミタと名乗った男は、俺を見て自己紹介をした。
結構軽い奴だった。
明日も投稿予定です。




