敵の実力
残り2時間を切りましたが、なんとか本日中に投稿できました。
目覚めてから朝食を取り、俺達は攻撃前の最後の打ち合わせを始めていた。
「ヒデキ殿には、ロックゴーレム、フロストジャイアント、雷獣を召還して頂きますが、そのタイミングは私が指示を出します。攻撃手段は前回同様に翼竜で上空からの奇襲です。その後に冒険者パーティは降下して、敵の撹乱を・・・ベッツ殿、ローラ殿は時期を見て合流しますので、王城内での誘導をしてもらいます。何か質問は?」
「撹乱って言っても、やることはいつもと変わらないわけだろう?」
いつもの通り、セルゲイが率先して質問する。
最近気付いたのだが、セルゲイは質問する事によって、自分以外のものにも理解させ、全員に共通の認識を持たせるために質問している気がする。
「そうですが、アイアンゴーレムはセルゲイ殿でも1体倒すのに時間がかかるでしょう。相手をするのは、帝国兵だけにしておいて下さい」
「バーサクは使っちゃだめか?」
「はい、今回は色々やる事はありますので、ダミアン殿が到着するまでは、戦闘不能になるのはなるべく避けていただきたい」
「分かったよ、仕方ないな!帝国兵で我慢するか・・・」
「理解していただいて、なによりです」
他に質問もなく、俺達は攻撃前の最終チェックをして、攻撃時間になるのを待つ。
やがて太陽は王城の真上にかかり、俺は翼竜を召還する。
全員が翼竜の背に乗り、翼竜は上空へ・・・
エバートンの指示で、かなりの高度を取って王城へ向う。
すぐに王城が見えて来たのだが、エバートンも含めて全員が驚いた。
5000体以上のアイアンゴーレム、ストーンゴーレムが王都の城壁の外にいたのだ。
いや、10000体はいるかも知れない。
「我々の攻撃を予想し、昨夜のうちにゴーレムを量産したようですな。察するにベッツ殿が結界に触れた時に、何かしらの警報も出されたのでしょう。それにしても一晩でここまでゴーレムを造りだすとは・・・苦戦を覚悟したほうが良いかも知れません」
王都の城内は居住区も巡回に変化はなかったが、軍事区のアイアンゴーレムの数は格段に増えている。
そして王城も外周も、アイアンゴーレムが小隊を組んで、多数巡回していた。
「ここまで戦力を増強しているとなれば、相手はこちらの攻撃を想定しています。それでも出来るだけ想定外の攻撃をします。冒険者の方々は、直接王城に乗り込んで帝国兵を倒して下さい。今から王城の城壁に穴を開けます。ヒデキ殿、フロストジャイアントとロックゴーレムを召還して下さい。フロストジャイアントでアイアンゴーレムを足止め制圧、ロックゴーレムで城壁に穴を開けて下さい。壁に穴が開いたら、皆、城内へ突入します!!」
翼竜が王城の上空に到達し、ホバリング状態になる。
俺はすぐに召還を開始した。
まずフロストジャイアントが出現し、アイアンゴーレムをブリザードで凍らせて足止めを始める。
次にロックゴーレムを召還し、城壁を殴らせたところで、敵に大きな動きがあった。
ベッツが入れなかったという王城の北側、覆っていた屋根が崩れ落ちたのだ。
「一体何が!?」
珍しくエバートンが真っ先に驚いた声を上げた。
「「「何だ!?あれは!?」」」
遅れて見えた城の中を見て、俺たちが声を上げた。
ロックゴーレムは跳ね橋の横の城壁を殴り続けている。
間もなく穴が開くだろう。
が、それどころではなかった。
屋根が落ちた北側の城内から、黒光りしたドラゴンが舞い上がったのだ!!!
「敵にドラゴンを召還できる魔術がいたのか!?」
「いや、違うドラゴンじゃあない!!よく見ろ!!あおのドラゴンは作り物だ!!」
皆が驚く中、俺が珍しく気付いた。
科学が発達した世界からの来た知識のおかげだ。
敵のドラゴンは、どう見ても、黒い光沢のある金属で造られていた。
よく見るとつなぎ目があり、リベットのようなもので接合してある。
この世界に機械工学の知識があるものがいたのか!?
皆が驚いている間にメカドラゴンは俺達の乗る翼竜に向って上昇して来た。
メカドラゴンが翼竜と同じ高さに上昇したと、同時にロックゴーレムが城壁を崩して城内に侵入可能となった。
「皆、飛び降りて城内へ侵入します。重力制御の指輪に魔力を!!」
エバートンが指示を出すと、皆は、ためらい無く飛び降りた。
飛び降りた直後に、メカドラゴンはかなり強烈なブレスを翼竜に放った。
翼竜は俊敏に回避し、お返しとばかり振動波をメカドラゴンへぶつける。
メカドラゴンは回避することなく、防御結界の魔法が発動してダメージを受けることは出なかった。
だが、その間に俺達は攻撃を受けることなく、重力制御の魔法で降り立つことが出来た。
そのまま崩れた城壁の間から、城内へと侵入する。
翼竜へはメカドラゴンを攻撃し続けるように命じておいた。
城内もアイアンゴーレムが多数巡回をしていて、俺たちが侵入すると同時に12体のアイアンゴーレムと6人の帝国兵が攻撃して来た。
エバートンはすぐにスクロールを広げ、防御結界を展開させた。
その直後に帝国兵の魔法攻撃と、剣戟が防御結界に弾かれた。
「皆、アイアンゴーレムには電撃系の攻撃魔法を!!」
エバートンではなく、俺が指示を出した。
俺も雷獣の魔法陣を出して、魔力を込める。
当然のようにライサンダーが得意の魔法をアイアンゴーレムに放った。
雷獣もアイアンゴーレムに襲い掛かり、次々と電撃を流し込む。
またたく間にアイアンゴーレムは倒れ、行動不能になってしまった。
残りの帝国兵はセルゲイやダミアン、デトレフさん前衛勢が切り捨てる。
俺はメカドラゴンを見た時に確信していた。
― 機械工学が使われている ―
ならば、強烈な電撃を使えば、楽にアイアンゴーレムを倒せる。
メカドラゴンには防御結界が施してあったが、アイアンゴーレムの数は10000体を超えている。
防御結界を施すのは不可能だ。
珍しく俺の予想は的中したが、問題があった。
雷系の魔法は特殊魔法で、使えるのがライサンダーだけだったのだ。
「ヒデキよう、雷系と言っても、使えるのライサンダーとお前の雷獣、それにお前のサンダーレインくらいしかないぞ」
「すまん、忘れてた」
セルゲイの突っ込みに、言い返すことができなかった。
本気で落ち込みそうになった。
しかし、エバートンが助け船を出してくれた。
エバートンはスクロールを取り出し、
「いえ、この魔法陣を使って、武器に雷撃の魔法を纏わせましょう!!ヒデキ殿!お手柄ですよ」
「サンダーレインを使いますか?」
「城内で使用すると、王城が破壊されてしまいます。サンダーレインは王都外周にいるアイアンゴーレムの大群に使いましょう」
「分かりました」
「金属に電気が流れ易いの知っていましたが、何故、アイアンゴーレムの弱点が電撃だと気付かれたのですか?」
「翼竜と戦っているドラゴンが作り物だったからです。あれは俺のいた所の技術が使われています」
「!?なんと!!それは確かでしょうか?」
「十中八九間違いありません」
「なるほど・・・そうですか・・・帝国の侵略はムカイの不在だけではなく、切り札となる人物が組したからなのですね・・・ヒデキ殿がこちらの陣営にいるのですから、帝国に同じ立場の人間が現れても不思議ではありませんでした・・・私としたことが・・・迂闊でした」
「俺と同じ・・・ですが俺のいた所の技術では、あんなドラゴンを作るのは不可能ですよ」
「魔法を補助として使用すれば可能でしょう」
「魔法を補助に・・・とすると・・・その敵は俺より遥かに優秀ですよ!!」
俺は一介のサラリーマンだ・・・だが、メカドラゴンを作った敵は、間違いなく機械工学の知識を持った天才だ。
これはヤバイ!!
苦戦どころか敗北まであるのではないだろうか?
俺の心に暗雲が広がった。
明日も投稿予定です。




