偵察
100話を超えてほっとした訳ではないのですが、プロットのストックが増えません。
それでも、なんとか今日も投稿できました。
何か裏がある・・・エバートンはそう言った。
スハイツが嘘をついているとは思えないので、彼の知らないところで何かがあったのだろう。
つまり王都が落とされたのは、特別な理由があると言うことだ。
エバートンの言っている意味は理解出来たが、裏ってなんだ?
それがわからん。
俺が考えていても仕方がないので、エバートンに任せよう。
スクリーンには、小鳥の視界を通して軍事区が見えている。
ゴーレムと帝国軍の組み合わせでの巡回は居住区と同じだった。
この後王城の方へ小鳥を向わせたのだが、いきなり視界が消えてしまった。
どうやら、小鳥を撃ち落したらしい。
神経質すぎだろう。
「王城の警備は異常ですね・・・何か隠しておきたいものがあるのでしょうか?潜入したベッツ殿の報告を待つしかありませんね」
エバートンは仕方なさそうに言った。
その夜ベッツとローラから連絡があった。
「王城の警備は尋常ではありません。警備は全てアイアンゴーレムが担っています。数にして50体はいるでしょう。今も巡回をしています。ゴーレムは皆、5連射できるクロスボウを携えています。姿を表した瞬間に蜂の巣ですね」
「城の中に入れましたか?」
「いいえ、今日は城壁を徹底的に調べました。明日は城内に入ります」
「そうですか・・・アイアンゴーレムが5連射できるクロスボウを・・・ご苦労さまです。明日の報告も頼みます」
「分かりました!!失礼します!!」
ベッツの報告が終わって、数分後にローラから連絡が入った。
「軍事区は全ての往来に、帝国兵2名ストーンゴーレム2体の小隊が巡回しています。総数は把握できませんが、かなり数だと思います」
「王城のほうへ移動は可能ですか?」
「可能です。1日に1度は王城への行き来がありました」
「では王城へ移動して下さい。王城から攻撃することになりそうです」
「了解です。明日、王城に移動します」
ローラの報告と指示が終り、ホットラインが切られた。
王城から攻撃するとエバートンは言った。
つまりアイアンゴーレムの群れと戦う事になるわけだ。
前回ツーロン、ディリ両都市の戦いでストーンゴーレムの群れに苦戦した。
今回はもっと苦戦するのではないのか?
そう思っていると、考え込んでいたエバートンが言った。
「どうもスハイツ殿が言っていた戦力と違うようですね・・・王都を落としてから僅かの間にここまで戦力を整えるとは・・・かなりの知恵者が帝国にいるようです。楽に王都を奪還できると思っていましたが、少し考えを変えなければなりませんね」
「戦力を隠して勝つのは困難ですか?」
「そうですね・・・ここへ来るまでに打ち合わせで決めた制限は白紙にしましょう。ですが、ヒデキ殿の力を全て見せないという前提は変えません。少し使う魔法陣を増やすだけです。後は、私が魔法陣の術式を組んで、王都奪還を果たします。何を使うかは攻撃までに決めておきます」
「分かりました」
これは6大魔法の解禁もあるなと思いながら眠りについた。
翌朝起きると、エバートンは魔法陣の描き込みを始めていた。
俺はスマホのフル充電にして、フォルダー内の魔法陣を再び整理して、6大魔法が呼び出しやすいようにした。
今日はそれ以外にすることはなく、夜を迎えた。
ローラからは王城の城壁内に入ったと報告を受け、ベッツからは、城内に入ったと報告があった。
「城内の警備は城壁の外ほどではありません。と言うか2箇所以外は、警備兵もほとんどいませんでした。但し玉座の間へ通じる大広間はアイアンゴーレム10体が扉の前に並び、一切の出入りがありませんでした。もう1つ、何の部屋かは分かりませんが、北側の城壁側の部屋の警備は普通ではありませんでした」
「普通ではないとは?」
「頂いた魔法陣の力では、潜入できませんでした」
「何ですって!?どのような警備だったのですか?」
「警備はアイアンゴーレム2体だけで、2回ほど帝国兵の出入りがあったので、それについて行こうとしたのですが、見えない壁に阻まれて一歩も入れませんでした」
「中は見えましたか?」
「いいえ、二重扉になっており、何も見えませんでした」
「中は二重扉?そして見えない壁・・・入れないのは、帝国兵と認識しなければ入れない結界になっていたのでしょう。でなければ、私の魔法陣で入れない結界はありませんからね。それにしても、そこまでして守らなければならない秘密とは?」
珍しくエバートンが5分ほど沈黙した。
ベッツは我慢強く待っている。
「敵の全容を知りたかったのですが・・・仕方ありません、明日攻撃を開始します!!」
「え!?ダミアン殿を・・・王国騎士団を待たないのですか?」
「はい!!作戦変更です。ダミアン殿の到着を待って、内と外から攻める予定でした。ですが、ダミアン殿に申し訳ないのですが、王国騎士団はアイアンゴーレムには通用しないでしょう。結論として、ヒデキ殿と私の魔法陣で打ち勝つしかありません。ダミアン殿には王都奪還後の警備をお願いする事にします。明日の昼、王城の真上に太陽がきた時に攻撃を開始します」
「わかりました!!」
ベッツとのホットラインが切られ、エバートンはローラを呼び出して明日の攻撃を伝えた。
明日は真昼に攻撃開始だ。
作戦会議をするかと思ったのだが、エバートンは魔法陣の術式に入ってしまった。
「皆さんは休んで明日に備えて下さい。作戦は電撃戦です。ヒデキ殿の召還と攻撃魔法、私の魔法陣術式で奇襲をかけて、一気に王都を奪還します」
電撃戦か・・・よくわからん・・・だから寝る事にしよう。
― ― ―
アリベリ王城 玉座の間
玉座に座る男が、眼前に控え跪いているイーゼルト帝国軍総司令ハンス・ゲルトに言った。
「今日、私の研究室入口の結界に接触した者がいた。どうやら密偵が送り込まれたらしい」
「密偵ですか?まさか?この警備の中をですか?」
「間違いない・・・警備の者全員に伝達を!王国軍の攻撃は近いと!!」
「はっ!?伝えます・・・が・・・本当に近いのでしょうか?さすがにまだ早いのでは?」
「相手はエバートン!!こちらの予想を遥かに上回る戦術を仕掛けて来る!!用心しても、し過ぎる事はない!!よろしいな!!」
「はっ!!了解いたしました!!直ちに全員に伝えます!!」
ハンス・ゲルトは立ち上がり退室しようとしたが、玉座から声が追いかけた。
「それとゴーレム製造担当の魔術師に、ゴーレムを増産しおくように命令を!!」
「今からでありますか?」
「そうだ!!今から魔力が許す限り、魔力回復ポーションも使って増産を!!」
「ポーションまで使うとなりますと、ゴーレムは城外に溢れてしまいます」
「溢れさせるのが狙いだ!!外からの攻撃の難易度を極力上げるのだ。そうすればエバートンは内部からの少人数での攻撃を仕掛けてくるはず!!そこを叩く!!」
玉座の男の声はどんどん大きくなり、最後はどなり声に近かった。
ハンス・ゲルトは、またかと言う表情で男の声を聞いていた。
「エバートンさえいなくなれば、この世界を牛耳る事ができるのだ!!」
「御意!!」
「理解したならば、行け!!」
「はっ!!」
今度こそ呼び止められることもなく、ハンス・ゲルトは玉座の間を出て行った。
玉座に座った男は、ハンス・ゲルトの事が退席しても、しゃべり続けている。
「この世界に天才は2人もいらない。ムカイが引退した王国には、もはやエバートンしかいない。エバートンの魔法陣の術式か?私の知識か?白黒をつけてやろうではないか!!」
にやりと笑った男の髪は白髪交じりの黒髪だった。
明日も投稿予定です。




