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ブラックよりのカプチーノ  作者: レア役ウマ太郎


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8/9

4月23日

 12:20。目が覚めてリビングに行くと、相変わらず誰もいなかった。どんぶりにご飯を目一杯入れ、ご飯に溝を作ると卵を3個落とした。醤油をどんぶり3周分かける。スプーンで食べながら配信アプリのDMを見た。まだ連絡は来ていなかった。ユーゴさんが、新宿での僕との集合時間が決まり次第連絡をくれることになっていた。


 新宿。行くのは初めてだ。正確に言うと、初めてかもしれない。幼い頃、母と東京へよく出かけ、都会らしい場所へ何度も行った。その中の一つが新宿だった可能性はあるが、やはり新宿がどんな場所か想像できなかった。


 兄のヘアアイロンとワックスを無断で拝借し、美容系YouTuberの動画を見ながら髪をセットした。誰かと会うために支度をすること自体が久しぶりだった。


 14:40。

 「18:00くらいに新宿来れる?」

 ユーゴさんからDMがきた。

 「おけっす!」即返信した。


 服は高2の時に母が買ってくれたものを適当に着た。ジーパンの上に黒いパーカーだったと思う。髪をセットした後でパーカーを着たため、髪がグシャグシャになった。面倒になって、軽く手で直して家を出た。


 電車に乗って新宿を目指す。ユーゴさんと会って、最初何を話すか想像した。心臓の鼓動を感じる。修学旅行前日に感じるようなものではなく、バレーボールの大会でサーブを打つ前に感じるようなものだった。


 新宿に行くためには東京駅で乗り換える必要がある。東京に着いて電車を降り、構内を歩くと、歩きスマホをしようものならすぐに人にぶつかってしまうであろう混み具合だった。スーツを着て忙しそうに移動する人や、キャリーバッグを引く旅行集団が目に入った。ふと、なんらかの集団に属して行動している彼らが羨ましくなった。


 電車に乗って新宿に着いた。ユーゴさんからは「ゴジラのビル集合」と言われている。マップアプリを見て集合場所に向かおうとするが、人が多いせいか回線が悪く、繋がらない。ひとまず一番近い出口から外に出たところで回線が繋がり、早足で「ゴジラのビル」に向かった。選んだ出口が悪く、遠回りになったようで、新宿の迷宮具合を思い知らされることとなった。


 17:55。ユーゴさんに指定されたビルの下に着いた。

 「ゴジラのビル、着きました!」

 DMを送る。

 「ちょうど俺も着くところや」

 返信がきた。


 周りをキョロキョロと確認しながら待っていると、前方から、配信でよく見た猿顔の男が歩いてきた。想像していたよりもデカかった。後から身長を聞いたところ、ユーゴさんは185cmあるようだ。


「ユーゴさんですか?」

 僕から声をかけた。

「おお。キムか!よう来てくれたな。腹減ってない?」

「まあ、減ってます」

「じゃ、飯いこか。てかお前、童貞みたいなパーカー着てるな」l

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