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ブラックよりのカプチーノ  作者: レア役ウマ太郎


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4月12日

 4月12日。浪人が決まってから1ヶ月以上が経った。起きると、13:40だった。コーンフレークにヨーグルトをかけて一人で食べる。窓の外に見える空は澄んでいて、外からは車が走る音が聞こえた。


 この頃は、インスタやLINEを開くと、数少ない友達の入学式や新入生歓迎会の写真が流れてくる恐れがあったため、意識的にSNSを遠ざけていた。そこで生まれた僕の時間が勉強に向かうことはなく、漫画、YouTube、ゲームで過ごしていた。


 うつ伏せで漫画サイトを読んでいると、生配信アプリの広告が目に入った。素人でも配信ができるアプリだ。この手の生配信は過去に好きなYouTuberがやっていたのを見たことがある。暇を持て余した僕は広告のアプリをダウンロードした。


 アプリを開いて最低限のプロフィールを埋めると、さっそく様々な配信がオススメに表示された。配信の一場面であろう画像と配信者の名前、配信のタイトルと現時点での閲覧者数が表示されている。閲覧が1000人を超えている化け物のような顔のオバサンや、同じく閲覧1000人超えのホストのような身なりの男が目に入った。


 画面を下の方までスクロールすると、閲覧者数が一桁の配信者も大勢いた。僕と同い年くらいに見える女性や、運転をしているオッチャンもいた。そんな中、「おにぎり30秒チャレンジ」というタイトルで配信をしている、短髪で猿顔の男が目に入った。


 配信を開く。閲覧者数は僕を含めて8人。猿顔の男は開封したコンビニのおにぎりを持ち、画面を見ながら大声で話していた。


「じゃあいくで。目標は20秒。数えといてくれや」

「よーい、どん」


 男は大きく口を開いたかと思うと、三角のおにぎりの半分を噛みちぎった。ビリビリッと、5枚重ねたコピー用紙を破ったときのような音がした。4〜5回咀嚼したかと思うと飲み込んだ。そして残りのおにぎりを全て口の中に放り込み、また咀嚼を始めた。飲み込んだ時、数回咳をしたが、すぐに落ち着いた。


「おし!何秒だった?」


「18秒?」

「17秒?」

「すごい!17秒だ!新記録じゃない?」


 コメント欄が活発に動き出す。


「おめでとうございます」の文字とともに画面上に派手な演出が流れた。誰かが投げ銭をしたようだ。


「おうおう、ありがとうな。ま、余裕やな」


 おにぎりを早く食べただけで偉そうにしているこの男も、それで騒いでいる視聴者も滑稽に見えた。


「おにぎり食べるの早くてすごいですねww」

 深く考えずにコメントをした。男もコメントに逐一反応していなかったし、他のコメントに紛れると思っていた。


「は?このキム氏ってやつなに?」

 先ほどコメントしていた視聴者が反応してコメントをした。キム氏は僕のユーザー名だ。


「なになに?アンチ?こいつマジつまんないな」

 別の視聴者も反応してきた。


 冷や汗が出てきた。

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