97話:4人の英雄
警察には任せた。さて、そんな俺がやる事と言えば?
え?帰る?まあ一理ある。そうだよな。学生の本文は勉強です!!そんなこと言われたらなんも言い返せない。分かるけども
「着いたで。ここがうちの家だ」
「・・・マジの総本山か」
「俺を軽く倒す癖に日和ってんじゃねえ。そんな奴に負けたなんて言ったら一生の恥や。堂々と乗り込め」
正解は親玉の元への突入でした。てかさ?案内しろとは言ったけど普通に案内してくれたんですが?ほら、それこそ軽く倒したんだからもっと怯えながらとか無いの?
「ほんじゃお言葉に甘えて」
「・・・なあ」
「ん?」
「お前さんは・・・銃弾は見切れるか?親父は射撃の名手なんや。それが出来ないなら・・・戦いだけは避けろ」
「・・・なるほど。大丈夫だ。マシンガンでもない限りはな」
マシンガンでもどうにかするけど。さて、そんじゃ星連会のトップと邂逅と行きますか。
その少し前・・・
東雲亜矢は母から聞いた通り、蒼矢が勇敢にも友達の為に戦いに行ったという危険な状態を阻止するために走り続けていた。もう息は絶え絶え。殴り掛かられて回避もできないだろう。
そうして辿り着いた美奈の家ではとんでもない光景が広がっていた。
「うそでしょ?」
蒼矢は立っている。なんか怒鳴ったり話したりしているが、どうやら一人でなんとかしてるようなのだ。それに警察も結構いる。この状況から察するに・・・
「彼は本当に警察も動かして・・・戦ってると言うの?」
あり得ない。確かに運動神経は良いけど、ヤクザ相手に戦えるほど強いわけではないはず。それに今ガタイの良い男を殴り飛ばした。しかも一撃。
その強さはカッコいい。だが同時に心には何故私ではないのか。という思いもあった。私だって困っている時はある。何故、その時は助けに来てくれないんだろうか。
美奈が羨ましい。美奈みたいに助けてほしい。あんな風に優しく・・・
そこまで考えて思い出した。自分がかつてやった事。まるで手下かのように便利に使っていた過去を。
今までなら落ち込んでいたが今は違う。蒼矢が全員を連れてどっかへ行ってしまうのを見送ってから警察に話しかけに行く。
「警察の方々にご協力をお願いしたいんですが」
彼から託された情報統制をするために。
「ここが・・・会長室」
「ああ。この先に親父が待っている。負けた俺にはもう口出しできん。行ってこい」
扉を開ける。
「随分と待たしてくれるなぁ小僧。年上で目上の敬意を払うべき相手に礼節も出来ないガキに負けたか大谷。おめえ星連のカシラでいながら何負けとんじゃ。お前が腕っぷし捨てたらなんも残んねえってのによ。なあ?」
「すんません。しかし親父、こいつは・・・強いですよ」
「んなもん見りゃ分かるわ。ほれ小僧。幾らだ?」
「は?」
「ヒェッヒェッヒェッ。強いんやろな。そこの喧嘩馬鹿に勝つんだもんな?でもお前みたいなのは金ちらつかせときゃ軍門に下る。ほれ、いくらじゃ?」
「・・・少なくとも、相手を尊重できないようなクソゴミを敬う気はない。そしてゴミの軍門に下る馬鹿でもない。ただ、ある借金の帳消しを頼みに来た。それだけだ」
すぐに間合いをつめる。そして怯んだ隙に背後に立ち首元にカッターを突き付ける。
「・・・早いのぉ。ただの学生に出来る芸当ではない。いったい何者だ?」
「あ?あんたがさっき言ってたよな?自称とは言え目上の人に礼節も出来てないようなガキだ」
「そのようじゃな・・・そこ危ないぞ?」
死角からボウガンが射出される。なるほど、確かにこの速さなら来ると分かってなきゃ避けられない。
とは言え、別に慌てる必要もない。だって
「じゃあな。自称目上さん」
回避行動を取ると見せかけて殴り飛ばす。ボウガンの軌道上に頭が来るように動かして窓の外に放り投げる。ま、腐っても強いんだ。たとえボウガンがぐっさり刺さってても死にはしないだろう。あ、でもここ6階だから全身骨折はしちゃうか。どうでも良いけど。
外は大騒ぎだ。そりゃそうだろう。おじさんが頭にボウガン刺して落下してきたんだ。やべ。帳消しにすると言葉にさせてなかった。まあ良いや。
「大谷、これで帳消しに出来るな?」
「・・・ああ。会長がいなくなった今トップは俺だ。伊藤宏大の借金は帳消しとしよう」
「録音はさせてもらった。違えるなよ?」
「承知だ」
大谷はすぐさまどこかに連絡をしに部屋を出た。俺はそのまま帰る。警察には「違法な利息吹っ掛けてたんで殴り飛ばしてきましたてへっ」って報告すれば良いやなんて考えていると既に建物の外には警察が。
俺の顔を見ると一人の警官が歩いてくる。
「君だな?星連会会長、星野 正義を重体に追い込んだのは」
「ふーん、あの人正義って言うんですね。ま、そうっすよ」
「・・・正しい事をしたと・・・思っているかい?」
「まあ、間違ったことはしてないんじゃないんすか?なんです?何か悪いことしました?」
「良い迷惑なんだよ。君はこの組織の事を知らない。私達警察だって迂闊には手を出せなかった。慎重に事を運んできたというのに・・・全て台無しだ」
「あの、そんな警察の中でオフレコみたいになってる話をただの男子高校生に知っとけってのは無理がありません?そもそも、俺は父親が負ってた借金のせいで人生メチャクチャになりかけてた友達助けただけです。こっちとしてもこれ以上責められるんなら目の前で死にそうな人、困ってる人全員見捨てますけど・・・良いんですね?」
「そう短絡的に考える時点でガキか・・・とにかくだ。これ以上警察の邪魔はしないでくれ」
「はいはい分かりましたよ。ま、邪魔しないために俺はもう何もしないんで。あ、そうだ。名前聞きたいっす。ダチの為に命張る男を叱責した人の名前」
「神崎 源十郎だ」
そう言って離れていく。俺としてもこれ以上ここにいる訳にはいかない。俺はお邪魔虫のようだし。
そのまま空を飛んで学校へ向かう。上から見るとこの街に巣食う悪意がよく見える。今まさに人目に付かない所で強姦が行われているが、それも警察が慎重に事を運んでいる成果だろう。チラッと見えたがかなりいい肉付きだ。まあ欲情した結果だろうとは言えこんな午前真っ只中から盛るとは流石に驚き。
ま、気になるからあの組織が一体何を企んでいたのかを調べるか。という事でハダル達に念話する。
『まあこんな事があったんでね。調べたくなりましたとさ』
『一つ聞かせてください。首を突っ込む為じゃないんですよね?』
『当たり前。ダチ助けてあそこまで怒られるんならこれ以上なんもやりたかねえよ。あくまでも慎重に事運んでる警察がポカやらかした時に情報無いと自衛出来ないだろ?』
『まあ確かにそうですが・・・』
『基本スタンスとして向こうさんから仕掛けてこない限りは何もしないって思ってたがどうやら世間様は仕掛けられても抗ってほしくないらしい。だからこそ隠れる為にも情報は必要さ』
『とりあえず家の周辺には怪しい気配は無いですよ。マスター』
『リッタサンキュ。悪いな。家事とかしてもらっちゃって』
『いえ、それより、この事をお母様には話しますか?』
『帰ってから自分で話すよ。そんじゃ頼んだ』
さて、俺は授業にでも戻るかな。
教室の扉を開けると視線が集まる。詩歌は寝ちまってるが無理もない。
すると担任から声がかかる。
「どうだった?」
「とりあえずチャラにはしてきましたよ。」
「そうか・・・何故注目が集まってるか分かるか?」
「いや、まったく」
「お前、いきなり一人だけ抜け出したり色々不審な行動取ってただろ?さっき、星野とかいう奴の速報が出回ってな。皆感づいたってところだ。それに当事者もいるしな。まあ座れ」
「はーい」
あの視線は恐怖とかに加えて無事に帰ってきたのかっていう驚愕も入ってたのか。このくらいのドンパチなら戦いに入らないから分からなかった。あーやっぱり感覚ずれてる。
「さて、色々桐生に聞きたいことはあると思うが、それよりも先にクラスメイトの為に一人で戦った英雄の凱旋を祝おうじゃないか。安藤、奥山。あれ持ってこい」
「分かりました」
クラス委員ってのは働き者だねーなんて思ってると2Lペットボトルが大量に入った袋を持ってきた。ちょいちょいちょい。奥山さんフラフラやん。
「あの・・・これは?」
「このクラスには4人の英雄がいる。家の力を使って事態の収拾を試みた東雲。それから相楽、堂本もだ。それと単騎で大元を叩き潰した桐生。彼女らのお陰で今回伊藤家は救われた。出過ぎた真似をと怒りたいところはあるが、それを補うほどの功績に祝杯をあげようじゃないか。幸い2時間目は私の地理だ。大いに褒め称え、飲み明かせ。それは私からの奢りだ」
歓喜の声で教室は満たされる。周りの教室には申し訳ないがこの煩さを止めない。
「よっ!先生太っ腹!」
「先生大好き!愛してるぜ!」
「りんこちゃんありがとう!!」
「誰だ今ちゃん付けしかも名前で呼んだ奴は!」
心の底から笑ってる。伊藤もチラッと見たがクラスの奴らがどうにか回復させてくれたんだろう。まあ後で目の前でヤクザと張るほどの大声出したこととか謝んねえとっては思ってたが今謝りに行こうかなと思っていると向こうからこっちに来た。
まだ少しだけ震えてる。
「蒼矢。あのね・・・助けてくれてありがとう。怒鳴ってた時は怖かったけど、それでも・・・白馬の王子様みたいでかっこよかった・・・よ」
面と向かって言われると照れるけどこの震えてる子をどうにかしたくて俺は頭を撫でる。
「どういたしまして。美奈が無事なら良かったよ」
こっから3話は学校の事になる予定・・・




