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94話:新イベント。勃発

もう一話更新したいなぁ・・・

体育館には既に颯斗と煉牙がいた。


「よ、昨日ぶりだな。羊羹美味かったぜサンキュー」


「僕の知らない所で一体何が・・・ともあれ元気そうだね蒼矢に詩歌さん。ていうか、一緒に来るとか仲良すぎない?」


「颯斗からパソコンを拝借しに家への突撃をしたんだよ。ところでお前らさ?剣道大丈夫なん?」


「うっ・・・」


二人揃って顔色が悪くなる。


「ん?どうした?」


「蒼矢は知らないんだね・・・」


「ぽいな。実はな?剣道担当がこの夏から新たに赴任する先生になるらしいんだが」


「が?」


「その人が剣道六段らしいんだよ。クソスパルタなんじゃないかって噂されてて」


「木刀なんて中学の修学旅行で買って家のオブジェになってるしなぁ・・・振った事なんて無いよ」


「六段か・・・どんだけ凄いんだろな」


そんな話に割って入る声が。


「六段となると称号持ちの可能性もあるな」


「ん?お、堂本じゃん。昨日ぶり」


「ああ。昨日の歌は良かったぞ。まるで心に響くようだった。さて、続きにはなるが六段の中でもその実績などによって練士の称号を与えられることもある。もし称号持ちなら・・・尊敬すべきお方だ」


「ま、称号関係なしに敬意は払うべきなんだろうけど、そこまで言われるなら一回交えたいな」


「お前そんなに剣道やってたのか?」


「いや?剣道はど素人よ。突きとか小手とかの基礎しか分からん」


「それでその発言はアホとしか言えねえわ」


ま、こちとら154連撃とかいう離れ業出来るんで、実際に戦うことになればある程度は応戦は可能だ。


俺のあの戦いを見ていた堂本と詩歌は何故か呆れたような目でこちらを見ている。


「ん?どした?」


「・・・いや、殺さない程度にな?」


「そうね・・・蒼矢なら殺りかねないし・・・なんというか・・・演習で蒼矢と組まされる相手が可哀想・・・」


「おう待て待て待てーい。なんでさも俺が人を切ることに喜びを覚える奴みたいに言われてんだ?」


「いや、そんな事は思っていないぞ?ただ、剣道のいろはも分からないのに六段と戦いたがるかなりヤバい戦闘狂としか思ってないから安心したまえ」


「・・・酷くなってないか?それ」


「まあ強ち間違いとは言いにくいかもね」


そこへ相楽も合流し、姉貴も何故かやってきて楽しそうな集団となってしまった。


他にも夏休みの事とかを聞きあっていたのだが


「ふむ、お前らは無事来ているのか」


「あ、先生お久しぶりです」


「はぁ~・・・おはようございますじゃなくてそっから入るって時点で桐生からは先生とは思われていないって分かるよ。それよりもだ。お前ら伊藤から何か聞いてないか?」


「美奈ちゃん・・・ですか?」


「ああ、実は伊藤の家の周りに柄の悪い男がうろついていると聞いててな。今日もあいつにしては来るのが遅いし、何か連絡とかを貰ってないかなと思ってな」


「あー、なるほど・・・俺はなんもっすね」


「俺もだ」


「私も」


誰もが知らないと答える。


グロニスあたりに調査依頼すっかなと考えた時だった。


「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」


大きく息を切らせて走ってきた東雲が見えた。


「おい、だいじょう」


「みんな!美奈ちゃんを・・・助けて」


「は?どういう事?」


「東雲落ち着け。ここじゃ混乱を招く。あっちで話は聞く。桐生も付いてこい」


「え?俺?」


ま、前に助けたしこの中で頼れんのは俺って事か。とは言え俺一人だと怪しまれるから。


「詩歌。来てくれ」


「うん」


そのまま体育館の裏手へと4人で移動した。





助けてという言葉と激しい息切れに体育館が騒ぎになったのは言うまでもなかった。


















「何!?それは本当か!?」


「はい。ちょっと前からそんなことになってるのは知っていて、東雲グループの力で調べてたんです」


「しかし・・・それは私にもどうする事も出来かねる・・・」


「つまり?ヤクザから金を借りて返せないから利息がヤバいと。そんでその借金のカタとして母娘揃って水商売させられそうってわけか」


「・・・もう母親のほうは働いているらしいのよ」


「あー・・・察したわ。タイムリミットは伊藤の16歳の誕生日を迎えるまでって訳ね。まあ娘が返す必要もそもそもヤクザの金だ。どうせ不法な出所なんだしありもしない気もするけどな」


「桐生。お前は強いから分からないかもしれないが、恐怖に支配されてるとそんな判断は出来なくなる物だ。今はその柄の悪い奴らをどうするかだ。とは言え教職である私が動くことは出来ない」


「つまり俺の出番って事っすね」


「そうじゃない!それではお前が危険に晒されるんだぞ?」


「流石にクラスメイトの為とはいえ、あなたがそんなリスクを負う必要は・・・」


「崎田先生、東雲。こう見えても俺・・・結構強いんだよ。それにやーさんとは言え所詮は人間。恐怖さえ植えつけちまえば・・・こっちの勝ちだ。それに、どうにかしたいけどリスクは負いたくないなんて日和った事ばかり言ってたら何も進展なんてしませんよ?」


「そうなんだが・・・」


「まあ、俺も借りた馬鹿まで助けるつもりは無いっすよ。美奈さえ助けられればまずはそれで良い。法律に則るのはそれからでも良いでしょう。法律法律ばかり言ってて助けたい奴助けられないんなら・・・法なんざ破ったほうがマシだ」


「お前も高校生だ。捕まるぞ」


「ハッ、捕まる?法を犯してる(やから)を放置してる法治国家だなんて笑わせる。それを法治というなら俺は捕まらねえよ。ま、サツに先に手回しときゃ・・・俺が正義になるしな」


「何を言っている?」


「まあ準備してきます。準備が整ったらワンチャン早退の可能性もあるんでそこは伝えますよ」


「まさか!お前一人で」


「ああ、それと東雲。綾奈さんに連絡してくれ。警察はこっちで動かす。情報統制は任せたってな」


「え?う、うん」


「蒼矢」


「ん?どした?詩歌」


「一人だとやっぱり危険よ?」


「・・・そういう事ね。分かった、背中を預けられる奴をちゃんと誘うさ」


「うん。それが良いわ」


そのまま俺は人気がないであろう場所へ向かう。さて、一仕事しますか。
























東雲亜矢が母親に伝えるため消えた少し後の事。


「なあ桜木、お前達何者なんだ?」


「どういう意味です?」


「相手は法外の者共。まだ社会経験も無いお前らがどうしてそこまで物怖じしないのか不思議で仕方がないんだよ。正直に言えば・・・怖い」


「怖い・・・ですか。生徒に言う言葉としてはどうかと思いますがそうですね・・・その怖さに似た不気味さのお陰で先生は一度助かってます。私なんかは彼と結構一緒にいるんで慣れちゃったとでも言うべきですかね。その怖さは正しいですよ。彼の発した剣気は私と真綾ちゃんも経験してますし、先生が巻き込まれないように彼が矢面に立っているんです。今は素直に()()()に感謝しましょう?」


「それじゃ私が不甲斐ないんだ。生徒を守るのは教師の仕事。だから・・・仕事を奪われた挙句ハッピーエンドを許せないんだ・・・それでも怖くて前に進めない。本当に情けないんだよ」


涙が頬を伝う。


「なら・・・強くなればいいんです。彼という盾に守られている今のうちに強くなればいいんです。私がそうしたように。彼が必ずどうにかしてくれる。彼が気丈に、元気に振舞っている間に強くなって彼が落ち込んだ時、彼がいない時に守らなくてはいけない。そんな時にその強さを発揮出来ればそれで良いんですよ。生徒に守られる事を情けないなんて考えないでください。先生若いんですし足りない所を補い合っていく。それで・・・良いじゃないですか」


「・・・まだ仕事もあるし、私は戻る。お前も戻れ。後15分で始業式も始まるしな」


「はい」


先生の目は赤かったが涙は無かった。

現実ではこんなに簡単にどうにかしようなんて思わないでくださいね?蒼矢だから出来る事です。

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