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93話:休み終わり・・・

ちょっと短めです。

「ん・・・6時半か・・・まあ丁度いい時間に起きられたな」


眠りから覚めても俺の心は曇っていた。


休みが終わったからではない。來妃の件だ。昨日はあの時、頭に血が上りすぎて到底褒められない言葉を使ってしまった。それに


「なんで俺から引き離す必要があったのか。ここも不透明なままで終わっちまったし」


そう、何故あの女が俺と來妃を引き離そうとしていたのか。一番知らなければならない事を追求しないままでこっちから切り上げてしまった。


戦略的観点で言うなら・・・0点だろう。


とは言え、収穫はあった。


まず一つ目はああいう澄ましたような女性は信頼に値しないという事。女は秘密を着飾って美しくなるだったか?正直面倒なだけだやめてくれ。そんな美しさより他に磨く美しさがあると思う。


そして2つ目は俺が知らない所で俺に関する何かが動いているという事。勇者は辞めます!なんて言ったが復職の日は近いかもしれない。


「まあ、あの女にあれ以上問い詰めても答えられないの一点張りだっただろうから無理やり終わらせたことについては間違いじゃなかった。だが・・・もうちっとストレスへの耐久値上げないと」


別にあの女にアバズレと言った事を悔いている訳ではない。ただ、この現実世界でどんなに相手が間違っていても、どんなにクズな女でもこれは最高級の侮辱だ。俺が社会的に死ぬ。


「ともかくこのまま弱体化するのは危険だな。最低限戦闘力が落ちないように鍛え続けないと」


そう言って俺は來妃が元いた場所に戻った事を説明する為にリビングへと向かうのだった。


























「おはよう、母さん」


「あら蒼矢、おはよう。早いわね。生活リズムはしっかりしているようで良かったわ。お姉ちゃんも見習わせないといけないかしら?」


「まあ部活も休み期間中あったらしいし仕方ないでしょ。それよりさ、來妃の事なんだけど」


「え?來妃?何それ」


「・・・え?いや、ほら、一緒に住んでた」


「??」


キョトンとした顔でこっちを見る。俺の額に手を当てる。


「熱は・・・無さそうね」


「いやそりゃ元気だけど」


「まあ良いわ。ご飯あと少しで出来るから着替えていらっしゃい」


俺は困惑した。確かに昨日までは屋根の下で一緒に暮らしていた相手を忘れてしまっている。母さんが認知症になったのだろうか。何かのドッキリか。俺の滑舌が悪かったのか?


どう考えても違う。さっきの反応は・・・本当に知らないんだ。


その後いろいろ質問してみたり姉貴や詩歌を含めた來妃を知る全員に聞いたが覚えていたのは俺、詩歌、ハダル達4人。


姉貴に聞いた時には


「あんた勇者だったからって痛々しくなりすぎてない?脳内彼女なんて作ってんじゃないわよ」


と言われてしまった。だからこそおかしい。ここまで完璧に忘れてる人がいれば鮮明に容姿から好物までちゃんと覚えてるのもいるし謎は深まるばかりだ。


とりあえず朝飯を食べて姉貴、詩歌と家を出る。


「あーあ、夏休み終わっちゃったね。後1ヶ月伸びないかな」


「それってエンドレスになる奴じゃ・・・」


「確かにな」


正直そんな話は頭に入ってきていない。何故忘れているのか。その事だけで頭がいっぱいだった。一度俺の元を離れる事を承諾した俺が心配する義理は無いのだろうけど、流石にここまで忘れられるというのはあまりに可哀想だ。もしもこれが異能の力によるものなのだとしたら・・・勇者じゃなくなったとはいえ俺の守りたい人に危害加えるなら容赦なく叩きのめすとしよう。


そう言えば・・・父さんはどうだろう。まあ母さんも姉貴も、一緒にいる時間が長い人ですら忘れてるんだ。望み薄だが賭けてみる価値はある。


姉貴とは学年が違うから途中で別れる。そのタイミングで電話してみるとするか。


























うちの始業式、終業式は教室で集まってから一斉移動なんて事はしない。教室に置かれている名簿に○を付けてから体育館へ行くという方式を取っている。教室へ着いても誰もいないなんてザラだ。


人がいない。これから電話をしようと思っている俺には良い環境。という訳で早速かけてみる。


「お仕事の準備しているんじゃないの?」


「ま、歩いても行ける場所らしいし大丈夫だろ」


2コール目で出た


「もしもし。どうしたんだ?蒼矢」


「あー父さん。一個聞きたいことがあるんだが良い?」


「構わんぞ」


「そんじゃ遠慮なく。父さんはさ、來妃って覚えてる?」


「ん?あの小学生くらいの女の子だろう?勿論覚えているとも。幼いころの沙羅とはまた違った可愛さがあるなーって思ってたよ」


「覚えてんの!?」


「耳!耳壊れる!覚えてるに決まってるだろ。知らない間に出来たとは言え家族なんだから」


「そ、そうか。來妃さ、母親が迎えに来たんだよ」


「・・・そうなのか。ま、來妃ちゃんが幸せならそれで良いけどな。わざわざ伝えてくれてあんがとな」


「こっちこそ突然電話したのにありがとう。そんじゃ仕事頑張ってください!」


「な、なんだ?いきなり丁寧になりやがって。お前もな。夏休み明け頑張れよ。そんじゃ」


そうして電話を切る。詩歌も驚いていた。


「お父さん、覚えてたね」


「ああ。これで本格的に分からなくなってきた。來妃を忘れるその条件が」


「私も妖狐だからそこそこ強いし、強さに比例する・・・とか?」


「うちの親父がそんな強かった記憶は・・・無いんだけど」


「なんでだろうね・・・」


大きな疑問を持ちながら俺達は体育館へ向かった。

現実世界での言葉遣いにはくれぐれもお気を付けください。

どうしても怒りしか湧かない相手には暴言使いたくなりますがそこは抑えて・・・

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