85話:暴露
相当更新遅れました。すみません
さて、夏休みもあと少し、城聖の妹さんも快方に向かっていてめでたい状況。
なのに・・・俺は姉貴と母さんから夜の事を問い質されていた。しかも深夜に。
「蒼矢」
「はい」
「どこ行ってたの?」
「えっと・・・ちょっと野暮用がありまして」
「ふーん・・・私達に何も言わず深夜に抜け出す野暮用ね・・・彼女でもない女に会いに行ってるんじゃないでしょうね」
「それは断じて違います!!」
「じゃあ何しに行ってたのよ。それにあの警察は何?何で詩歌ちゃんは屋根の上にいたの?」
「それは・・・」
あー、ダメだこりゃ。もう誤魔化せない。詩歌にこれ以上迷惑かける訳にもいかないし・・・
「そういえば、來妃ちゃん。彼女も何やら夜更かししてたけど何でかしらね?」
「・・・え?」
おかしい。來妃には何も伝えてないし手伝ってとも言ってないのに・・・
「え?じゃないわよ。あなたが何か言ってなかったらあんな小さい子が日付変わるまで起きてる訳ないでしょ!惚けんのも大概にしなさい!」
「・・・そっか、感謝しなきゃな」
「え?」
「一つだけ聞く。姉貴も母さんも本当に聞きたいか?俺の話を」
「え?そりゃそうよ」
「俺がこの家を出ていくとしても?」
「え?」
「何を言ってるの?」
「文字通りだ。もしこの話を聞くなら墓まで持って行ってほしい。仮に喋られたら・・・俺が死ぬだけではすまないから。それに、俺はこの事を信じられない、受け入れられないと言われるなら・・・この世界から消える」
「はい?何言ってんのよ・・・そんな中二病みたいなこと言って」
「ちなみにだが詩歌はこの話を聞いて受け入れてくれた数少ない本当の友達の一人だ。正直に言って、俺は姉貴、あなたを詩歌以上に信用出来ない。それに、中二病を馬鹿にするかのような奴に・・・言う気にはなれない」
「蒼矢、中二病を馬鹿にするなって言うって事はまさか魔法が使えるなんて言わないよね?」
「・・・言ったらどうする?母さん」
「・・・本当なの?」
「ここで俺が肯定をしたら他言無用、漏らそうとした瞬間に家族の縁を切らせてもらうが・・・それで良いか?」
「縁を切るって・・・そんな事をして生きていけるわけないじゃない!あなたは高校生よ?」
「ま、そう思うか。とにかくだ、見たら戻れねえ。それでも・・・俺の秘密に触れたいか?姉貴もだ」
「私は・・・」
「私は見たいわ。母親として・・・私が息子の事を知らないままなんて・・・イヤだもの」
「私も・・・見る」
「・・・言ったな?その言葉・・・努々忘れるんじゃないぞ」
そう言って俺は魔法を使う。確実に超常であると認識できる物。となれば・・・
「これは・・・」
「ありえない・・・」
「なんで・・・窓がエッフェル塔に繋がるのよ・・・」
「言っておくがこんなのは前座。ヤバいのは国一つ消すような物もある」
「これが・・・蒼矢の秘密」
「ああ、そして俺はこの力を・・・異世界に召喚されて手に入れた」
話せることを話した。詩歌にとっては再確認だろう。ともあれこれで俺が人間をやめたような化け物だという事は知られてしまった。
見せてしまった。もう戻れない。俺は・・・肉親を切る覚悟を現実にしなければいけない。すぐさま、部屋の荷物を纏めようと立ち上がる。
「待って、どこへ行くの?」
「こんな化け物と一緒に住むのは嫌だろ?それに、姉貴が狙われたみたいに迷惑もかける。だから出ていくさ。高校も退学する」
「本当にそれで・・・良いの?」
「・・・構わんさ。俺一人消えたところで世界に何かある訳でもない。所詮は一クラスメイトが忽然と姿を消すだけ。俺に関する記憶だって消せば・・・全てはいつも通りになるだけだから」
「・・・蒼矢が見せたのなら私も」
詩歌は綺麗な九本の尾を見せる。
「・・・狐」
「お姉さんは知っていましたね。でも、私ももういられなくなっちゃいましたから。折角アルバイトも初めたけど・・・私も消えます。元々は一人でずっと過ごしていましたし、あの頃に戻るだけです。私は妖狐って種族なんですけど蒼矢に会う前の私はとにかく弱くて・・・そのせいで危ない人たちに捕まって・・・でも助けてくれた。だから恩返しをしようって思って居候させてもらってたんです。料理とか勉強一緒にやる相手とか。彼はこんな力を持ってて大変だし、人間に擬態するのが得意な私が何かサポートしようって思ってたんですけど・・・今までお世話になりました。バイト代は後日ポストにでも入れておきますね」
「ねえ、來妃ちゃんはどうするの?」
「・・・託されたんだよ。ある人に。俺に育ててくれって言った変わり者に。人の事とか、知識とか感情とか・・・色々教えなきゃいけないから連れていく。なに、女の子一人くらいどうにかするさ」
「・・・このバカ」
「は?」
「なんで私達を頼らないの?」
「は?いやいやそんな目をされたら・・・これ以上俺を助けてとは言えねえよ。そんな怯えたような人にこれ以上何かは頼めない。俺の為にも」
元々は家族を信用出来なくて打ち明けられなかった俺が悪い。そんな事は理解済みだ。俺自身が家族におけていない時点でこうなるのは必然だったか。にしてもいつからだろう・・・ここまで家族との乖離を作っていたのは。何度かこんな事思ったけど全て結局は棚上げにしてきたし、そんな中で家族は家族みたいな事を思ったがそれを自分に適用出来ていない。今こそ向き合わなきゃ。
「・・・いや、本当に頼って良いのか?」
「え?」
「こんな人間やめたようなバケモノでも・・・母さんや姉貴を信じてこれを話せなかった俺なんかが頼っても・・・良いのか?受け入れてくれるの?」
「正直ね・・・私も沙羅もまだこれが現実だっては思えてないの。でもね?あなたはある時を境に無茶をするようになった。スポーツだって出来るようになったって聞いてる。それに何より・・・昔以上に人のを助けられる人になった。こんな変化がその異世界で訪れたと言うのなら辻褄が合うしね」
「うん。前より悲しい目をするようになったのも事実よ。そういう変化に気付いていたから今こうして落ち着いていられる。だから・・・あなたをバケモノなんて思ってないの。少し気が動転してるだけ。確かに蒼矢に傷を負わせたのは私だし、私もお母さんも女だから心のどこかでは怖いと思ってたんだとは思う。でもさ、あの時も言ったけどもう忘れたいの。その傷を埋めるのはとても大変だし、そこまで酷い事になってるなんて思ってもなかったから何もしなかった。そう言えばお母さんにもあまり甘えなかったよね。こんな私達でも信じてくれるなら・・・頼ってください」
真剣な目で見られる。その目に偽りは無かった。本当に気付かなかったんだろう。だから俺が変わるまで気付かなかった。
俺の間違いはただ一つ。母親を信じなかった事だ。何故切り離して考えなかったんだろう。姉は一緒になって加害者となったが母は何か言っただろうか。否定も肯定もしなかった記憶がある。その時に辛いと打ち明けていれば・・・
「本当に壊れちゃったんだね蒼矢。いや、壊したのは私達か・・・目と顔を見れば分かるよ。泣きたいのは。でも、涙は出てこないんだね。感情をそこまで失ってるなんて・・・思いもしなかった。ほんと・・・ごめんなさい」
姉貴は泣き始める。自分がやったことで何を泣いているんだ?今まではそう考えていた。とても合理的で簡単に物事を割り切れたから。
だから・・・だからこそ俺はこの涙の理由を知るところから始めないといけない。俺が失ってしまった自分の事で泣くという現象を。
「大丈夫。あなたは感情を失ってないわ」
「詩歌?急にどうした?」
「あなたは・・・他人に優しすぎるだけ。自分にその優しさが向かないだけよ。だって・・・あの時泣いていたじゃない。蒼矢の為に命を懸けたあの人を思って」
「ああ・・・そういえば泣いたのなんてあの時が久しぶりだったっけな」
「え?どういう事?」
道巌の話をする。もう呪術師の事も話した。この国にはそんな奴が結構いると。
「そんな事に巻き込まれていたのね・・・」
「え?ていうかいつの間に山なんかに・・・」
「前に学校バックレた時に」
「・・・ちょっとお説教が必要かしらね。学校をサボるなんて褒めた事じゃありません!それに、そんな危ない事に首を突っ込むんじゃありません!!」
「すみませんでした!!」
「でもまあ」
母さんは俺を抱きしめる。
「自分にしか出来ない事をしようとするのは偉いわ。それに、よく無事だったわね」
「・・・」
涙は出てこない。でも、申し訳ない気持ちにはなる。
その後色々腹を割って話したら気付けば深夜の3時を回っていた。
「そろそろ寝ないとね」
「だね」
「うん」
「最後に聞かせて?」
「なに?」
「その異世界での冒険は・・・違う世界に行っても良かったって思える物だったの?」
この問いには即答した。自分の本当を見せるように
「ああ!」




