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8話:約束

「ここは・・・どこだ?」


俺は寝ている筈だ。なのに、神殿っぽい場所に立っている。


「疲れているのは分かってるんだけど僕の話を聞いてもらえるかい?ソウヤくん」


「誰だ!」


全く気配など無かった。いや、俺が察知出来なかった?だとするならこいつは・・・強い。


「あーごめん。警戒させちゃったね。大丈夫。僕は君に危害は加えないよ。何と言っても恩人だからね」


「おん・・・じん?えーと、俺はあなたを知らないんですが」


「うわ、いきなり堅苦しいな。勇者としての力は健在そうだし、警戒するっていう勘も鈍ってなさそうだからそこは良いって事にしとくかな。そろそろ本題に入ろう。まず、僕は君が召喚された世界の神に相当する者だ。今日は世界を救ってくれた礼をしたくて君の夢に介入してるんだよ」


は?夢に介入?え、何それ怖い。廃人にする事も可能なんじゃね?それ


「あーやったことはないけど出来るんじゃないかな。あ、心は読めるから本音で喋って大丈夫だよ?」


「大丈夫だよ?いや、怖いだけですよそれ。で、神様が元勇者にお礼って何をするんですか?」


「元か・・・そこは訂正したいけど置いといて、お礼はソウヤくんがしてほしいなーって望むことを叶えられる限りで叶えてあげようって思ってるんだけど」


「え?こっちから指定するんですか・・・特には無いですけど強いて言えば、教えてほしい事があります」


「お、何だい?あ、それと疲れちゃうからタメでおけ」


おけなんて言葉知ってるのね。流石神っすわ。


「なら遠慮なく。なんで魔族と人間は戦い始めたんだ?双方ともに話が通じる人は多かった。でも、俺が和平を主張するまで歩み寄るなんて選択肢はあいつらには無かった。何か訳があるんだろう?」


「ソウヤくん、鋭いね。そこに疑問を持てるってだけで君はまともだと言えるよ。さて、理由だね。少し長くなるけど良い?そして複雑だ」


「構わねえ。知りたいって言ったのはこっちだ。逆に頼むってお願いするよ」


「そうかい。なら話してあげよう」


「あれは、ざっと550年前まで遡る。当時あの世界を運営していたのは僕と他二柱の神の計三柱でやってた。それぞれ名はイーヴァースとローリエ。このうち、イーヴァースの方は戦いの神、ローリエは生命の神という役割を主に担っていてね、僕は人の生き死にではなく物質とか植物の管理言ってしまえば自然の神をしていた。ある時、大国同士で戦争をするという状況に陥ってしまってね。何人もの犠牲者が出るという未来が予測できた僕らは、自然を守るという目的も兼ねてある行動に出たんだ。そして、それが魔族と人間の争いに発展するきっかけになってしまったんだ」


「なあ、まさかとは思うが、人類共通の敵を作ってやれば人間同士で戦わなくなるなんて考えたんじゃねえだろうな?」


「本当に聡い子だ。その通り。後になって僕は神託を出すという手があったって気付くんだが後の祭りだったよ。結果として、人間同士の戦い以上に泥沼かつ凄惨な戦いの火種となる魔族を戦いの神イーヴァースが作って地上に誕生させた。イーヴァースの部下を一人その役目を与えてね。最初は人類みんなで協力し合ってたんだ。

でも、ここで僕たちの予想しなかった事が起きるんだ。人間が争いはじめてその為に森やら鉱物やらを奪い始めた。ここで僕たちは間違えた、愚かな事をしたと気付かされた。僕達が制御しきれる状態ではなくなってしまったんだ。そしてイーヴァースは地上に降ろした部下に引き上げるように指令を出したけど、なんでこんな遅くなってから言うんだ。もう俺には守るべき同胞、仲間がこんなに出来てしまったのにと泣きながら言われてしまった。そして責任を感じ、無力さを嘆いたイーヴァースは自害。ローリエは一気に増えた死人の処理に数百年もかかっている。僕はイーヴァースのやっていた仕事を引き継いだら地上まで頭が行かなくて気付いた時にはこんな状態さ」


「で?どうにかしようと召喚したのが俺って訳か?」


「そうであり、そうではない。君は当時のユーラ国王。君も知ってるだろう?娘のライラちゃんとは真逆のあの傲慢おじさん。彼が異世界人を戦力増強に使おうと召喚されたんだ。僕はそんなことが行われたら今度こそ平和から遠ざかってしまうって思ってね。その召喚にこっそりととある条件を付けたんだよ。その条件が[他人の事を思いやれる人で、無駄な戦いを好まない人]ってね。その条件に合致したのが君だった。ある意味賭けだったよ。そして君はそれに加えて真面目で何より優しかった。お陰でローリエも後3ヶ月程で元の状態に戻れる程に死者が減ったと言ってた。君は、間接的にだけど僕達神の愚かさの尻拭いをしてくれてかつ神を救ったあの世界にとって本当の英雄さ。だから、こうしてお礼に望みを聞きに来てる。異世界に干渉するのは疲れるんだけど」


「そんな経緯があったんだな。ま、俺には当時の事なんて知らないから、そっちが猛省してるんなら俺に何か言う資格は無いだろ。ただ、もう2つだけ叶えてほしい望みが出来た。名前教えてくれ。ダチなのに知らないなんておかしいだろ」


「そうだね、名乗ってなかったね。僕はリントヴルム。リンって呼んで。それともう一つは?」


「それは・・・」








それから少し雑談をして蒼矢は夢から覚めていった。リンは一人で思い返している。


「ソウヤくんとライラちゃんってやっぱり相性良いと思うんだよね。どっちも優しくて、救世の英雄と王女ってそれぞれ地位があるのにそれを必要以上には振りかざさないし、最後は驚かされちゃったな。まさか違う世界にいるのに二人とも同じ願いを口にするとはね」


両者共にリンに望んだことは『彼(彼女達)が困っている、必要としている時には世界を渡らせてほしい。そして、困った時には頼れるようにしてほしい』だった。


「僕達は間違いすぎた。だからこそ世界っていう背負うには大きすぎる物を彼らに託してしまった。その役目を果たしてくれた彼らには最大限の支援をしていかないと。そしてソウヤくんの世界も過ちが多すぎる。今回の召喚が彼の未来の糧となってくれれば良いな」


そう言い残して彼はローリエの元へ向かっていった。






アラームが鳴る。起きて登校の準備をしないと


「ふぁ~。そういや、なんか忘れてるような・・・夢の内容が濃すぎて思い出せねえ」


いつものルーティーンでパソコンとスマホを見るとパソコンの通知が156件も来ていた。


「あーーーー!!ゲームの約束すっかり忘れてた。ヤバい!即謝罪しないと」


元勇者は朝日に誓う。約束をすっぽかさないようにしなければと。

イベントの周回も忙しくてボーっとしてる暇がないw

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