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78話:容疑者は全員

俺と相楽はその不良と共に妹さんの病院へと向かっている。残りのみんなにはとりあえず歌ってたりしてくれと言ってきたがまあそんな雰囲気では無いだろう。すまないと今謝罪しておこう。


「なあ」


「ん?」


「なんで助けてくれようとしてるんだ?お前、俺とは初対面だったのに」


「俺からすればかつて襲った女に頼むってどんな神経してんだよって言いたいがそこは堪えて、勘だ。俺の勘がお前を助けろと言ってたんだよ」


「そうか。その勘に感謝しねえと」


俺の予想が正しければこいつには見張りが付いてるはず。だが俺ですら見つけられてない。何故だろう。他にも色々考えてはいるが答えは出てない。


「相楽、見張りを探してみてくれ」


「分かった」


こいつなら俺では分からないこの国の術式も探知に引っかけられるだろう。


だが、何もひっかからないまま着いてしまった。人間か式神か・・・その辺だろうと踏んでいたが。


面会予約を申し込むも家族以外は無理と言われてしまった。そこまで危篤なのかと思いながら俺は指示を出しといた。


「スマホで妹さんの様子を撮ってきてくれ。こっそり服の隙間とかから」


「え?良いのか?それ」


「俺達が入れない以上それしか俺達が協力する方法は無い」


「分かった」


相楽と二人になってから俺は一層の警戒を強める。


「ねえ」


「あ?」


「怖いよ」


「・・・すまん。でも仕方ないだろ、頭の方の原因が呪いによる物だと判明した以上、この病院に出入りした俺とお前以外の全員が容疑者なんだから」


「それを確認する為に歌を?」


「ああ」


「というより、彼女達に協力を仰げば?」


「ベラ達か。なんか最近俺を避けててな。嫌われたんじゃなかろうかと思ってる」


そう。最近あいつらは俺の前に姿を見せない。向こうが俺と接するのを嫌な以上、協力を仰ぐのは不可能だろう。


腹痛の原因が分からない以上、容疑者特定は困難を極める。それを知る為にも動画を撮ってきてもらうのだ。セキュリティ強行突破でどうにかするのは最終手段で良い。あ、良い子はダメって言われたことを無理にどうにかしてやろうと思うのは褒められないからあんまり真似すんなよ?


帰ってきたので早速病院の外で見せてもらう。どうやら麻酔で寝ていたらしい。


「ん?この赤いのなんだ?」


「どこ?ってこれ?皮膚炎?のように見えるわね」


「ハダルに聞けば分かるか?いや、なるべく頼らない方向で行きたいし」


「詳しいの?」


「ああ。あいつは薬学に精通してるから」


「な、なあ。妹は助かるのか?」


「腹痛の原因が分からない以上なんとも・・・そういやお前名前なんて言うんだ?」


「俺か?須崎 城聖だ」


「なら城聖って呼ばせてもらう。助かるかどうかは分からない。だが、皮膚炎の原因を突き止められれば分かるかもしれない。だから今日はこれで帰る。また何か分かったら連絡するから連絡先交換しようぜ」


「そうだな。俺も調べてみる。主治医にも聞いてみるよ」


「いややめておこう。もしこの動画が見つかった時が面倒だ。それにその主治医も怪しい人物の一人だし」


「そうなのか。分かった」


こうして解散してカラオケに戻った。


「今戻った。楽しくやって・・・はなさそうだな」


「それはそうでしょう。先輩デリカシーに欠けてます。流石に引きます」


「あー、あれは悪かったよ」


察してくれなんては無理だ。能力者でしか気付けない呪いなんてものを素人が気付けるはずがない。まあ、俺の秘密を知ってるから何か意味があるって事は分かってほしかったが。


「で?どうだったの?」


「とりあえず面会は断られたから頭の方しか原因は分からんかった」


「え?ちょ、ちょっと待って!会ってないのに原因分かったの?」


「そんなに変か?聞いた情報からこんな感じかなーって推測しただけだが」


「桐生君・・・凄いわ」


そんな感じで話を進める。その後やっぱりお開きになった。


帰り、香坂と相楽から聞かれた。


「こうやって色んな人を助けてきたの?」


俺は答えた。


「俺の力が必要だっていう人は出来る限りな」


俺は勇者、勇ましき者として生きてきた。俺にとっての勇ましさとは()()なんだと思う。自分が正しいと思う事で誰かを救ってきた。だからこそ、あなたのお陰で助かりましたとかお前さえいなければと憎まれた事もある。


都市機能の為に存在する悪もある。必要悪とそうでない悪の区別は旅の終わりまで出来ていなかったと今は思う。許容してはいけない悪を潰すのはなんら悪くない。たいていが潰した方が良いものが多い。だが、綺麗な何かを作る為に汚れる何かがある。それが民衆に大きく影響していないなら潰してはいけないのだ。悪を潰したことで町が貧しくなることもあるからだ。


土御門との一連のやり合いも同じ。元々はあまりに利己的な都合で妖狐を虐げようとすることに憤ったのがきっかけ。そして組織ごと壊滅する事になった。今無職となった元構成員の家族は俺を恨むだろう。現にとんでもない怪物を召喚して大暴れしようなんてクソ組織、潰れて良かっただろうが、そのせいで日常を失った人たちがいる。だから俺は考える。


他にやり方は無かったのか


こんな事を考えるってのは若い証拠だ。まだ大人になりきれてないな俺は。


逆を返せばまだ子供、まだ間違えられる。だから俺はこの世界でこれからも人を助ける。


俺が大人として諦めを知るまで

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