↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/120

71話:大江山へ

短いです。

俺は今動けない。部屋で寝ている。


その訳は


「やっべ、食い過ぎた」


「えっと・・・大丈夫?」


「ダメ。うぷっ」


「みんなから美味しいよって言われたの片っ端から食べてたもんね」


「上品に食べれば問題無いって思ってたけど別の所に問題が」


「蒼矢ってやっぱ馬鹿だよね」


「うるせえ姉貴」


昨日、あれだけ食べられたから大丈夫って思ったのが馬鹿だった。


全部でご飯14杯。最高級のお米って事もあり、美味しすぎて食べちまったんだ。


この後山に繰り出す予定なのに何やってんだよ俺・・・


「ま、動いて消化すっかな」


と言って起き上がる。起き上がれるなら問題ねえじゃんって思うかもしれないけど辛いものは辛いのだ。


それにこんな弱ってる所はこれ以上見せらんねえ。誰かに俺は監視されているようだから、いつでもやりあえるぜって所を見せとかないとこっちが負ける。


父さんは言ってた。この国は平和だって。でもそれは嘘だ。毎日のように醜いとしか言いようのないビジネスと言う名の戦いを繰り広げているのが日本だろう。仮面を付け、如何に人の欠点をあら探しするか。それを防ぐために同じことをする。それを拒絶して成功した者が果たしてどれだけいるだろうか。本当の平和なんて人間が動く以上不可能だ。平和じゃないからこそ経済は動き、人間は自分を高める。俺には欠如しているが、異性から良く見られたいとか言う欲望の為に努力をする高校生だってざらにいる。


同じことだ。こいつは弱い。こいつは脅威と見るのすら馬鹿馬鹿しいと判断されてしまえば戦場に立つ以前に敗北が確定する。戦いとは元来何かを奪う、守るために起こるものだ。負ければ奪われる。今回は相手が何を考え監視してるのか分からない以上隙を必要以上に見せてはいけない。


詩歌も気付いているようで背筋が伸びている。もし俺じゃなくて詩歌が召喚されていたら、妖狐という珍しい種族故に囚われるか、俺以上の強さになっていただろう。俺が短期間で育てたにしては想定より強くなってくれた。


23時、この時間になったら大江山に向かうと詩歌には伝えてある。妖狐の事を知りたければ行けと言われたから行くのだが、何故酒呑童子が頭領をすると言い伝えられる魑魅魍魎の巣窟にそれが隠されているのだろうとちょくちょく考えていた。


時間になるまでは家族の時間を楽しみたいと思った俺は紙に文を書き窓から投げ捨てる。これを呼んでくれれば監視は消えるだろう。


結局寝る時になるまでカードゲームや談笑、夜景を見ながら語るとかしかしなかったのだが。


皆寝静まったのは22時40分頃。少し早いがゆっくり行けば良いかと思って詩歌に念話を送る


『準備は良いか?』


『早くない?まあ準備は出来てるけど』


『いや、早めに行動するに越したことは無いと思ってな。今から隠密をかける。良いよって言うまで動かないでくれ』


『うん』


かけ終わる。これで母さん達にはバレない筈だ。ちなみにだが來妃は連れていかない。何かあって確実に守れる自信は1人しか無いからだ。


『よし、動いて良いぜ』


『おっけ。分かったわ』


こうして部屋を出る。


フロントに行くと何やら人が集まっている。


「明日までに間に合うか?」


「いや、厳しいかと」


「しかし、楽しみにされている方も大勢いらっしゃいます」


「どうしたものか・・・」


施設関係者じゃない以上関わらない方が得策だろう。そのまま扉を開けようと思ったが


『流石にバレるか』


『だね。裏から出る?』


『いや、なら開いてる窓から出よう』


そう言って2階に戻ると1つだけ開いてる窓があった。詩歌を抱えてそのまま外に出る。


少し速足で夜の街を二人で歩く。靡く風が心地いい。詩歌に目をやると少しだけ微笑んで隣を歩いてる。


このムードは恐らく告白とかには持ってこいだろう。でも俺にはそれをしようなんて考えは一ミリも無い。俺はこの世界で恋愛をする気は無い。俺が異性受けの悪い男だという事を知っているから。だからだろう、ライラを好きになったのは。あの世界で俺の過去をある程度打ち明けても全てを肯定せず否定もしなかった彼女が、俺には光に見えた。悪い事を悪いと、酷い事は酷いと、良い事は良いと言ってくれて、彼女が、彼女のような女性が、俺の切望する彼女なんだろう。


会話はあまりなく、気付けば山の近くに来た。酒呑童子がいると言われる山。近づいただけで分かる。()()()()()なのだと。昼と夜では顔を変える場所。それが大江山なのだと分からされた。かと言って恐れる訳では無い。俺なら、俺と詩歌なら問題無い。


「行くぞ」


「ええ」


山の入り口では一人の鬼が灯篭を持って立っていた。


「お待ちしておりました」


「あの紙は読んだという訳ですね」


「はい。拝見し、あなた達が何を求めこの地に足を踏み入れるのかは把握しています」


「そうですか、であれば山に入りたいのですが」


「そう焦らないでください。九尾へと至った妖狐、その九尾へと導いた人間。果たしてどれだけの物か。試させていただきます」


「入山試験って訳ですか」


「簡単です。ある質問をさせていただきます。それの返答次第です。片方のみ合格であればお一方だけをお招きいたしますのでその辺はご理解を」


「・・・詩歌、行けるか?」


「質問次第かな」


「だろうな」


「という感じです。試験を受けます」


「承りました」


その鬼は目を閉じる。目をゆっくりと開いて


「今からお二人でどちらかが倒れるまで戦い続けてください。尚、倒れた者は入山を禁ずる。これが酒呑童子様より仰せつかった試験の内容です」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。