68話:イレギュラー
旅行編に戻ります。
ホテル側が送迎してくれるという事で手配された車に乗り込んだ俺達は和気藹々と話しながらその宿へと向かっていた。
すると突然
「ん?メッセージ?誰だろう」
「お?彼女からついにデートのお誘いかにゃ?」
「姉とか言う面倒な奴はほっといてっと・・・相楽からだ」
「へぇ~、真綾ちゃんからなんだね」
「ああ。夏休みの宿題終わらないからはよ手伝えって来てる」
「・・・文面見た感じだとそんなに急かしてそうって訳じゃなさそうなんだけど」
「ま、旅行なう。後2,3日は無理だと思えって返しとけばいいか」
「そうね。終わらせた宿題なんて持ち合わせていないものね」
「写真でも撮って送りつけてやるか」
「ならあの山でも撮ったら?」
「お、良いなそれ。撮るか」
「写真?撮りたい」
「來妃も興味ありか。良いぜ。それじゃあな」
スマホのカメラだからとっても簡単なんだが、背が小さくて慣れてない來妃には少々厳しいようだ。結果、ブレブレの写真が一枚だけ。てか、俺達と会話してるお陰で口調がしっかりしてきた。元怪物とは言えこの子吸収はや。
さて送ろうと思ったらスマホの画面が落ちた。
「あれ?」
「黒くなったよ?壊れちゃった?」
「いや、電池使い切っただけだろ。宿の方に着いたら送るよ」
「そうね。じゃあどうする?ダウトでもする?」
「は?詩歌マジで言ってんの?あの運ゲー耐久レースやるなんて」
「良いじゃん。來妃ちゃん含めて全員含めてやろうよ」
「こんな観光バス式の車じゃなかったら絶対出来てないんだよな」
「お母さん本気出しちゃおうかしら」
「ダウトって本気も何もあったっけ・・・」
チラッと運転手さん見るとニヤニヤしてる。微笑ましい家族みたいに思ってるんだろうな。
なーんて単純じゃない。常人じゃ気付かないけど、目線が詩歌に行ってる。運転の最中に余所見すんなよって話だが多分可愛い女の子見つけたからついつい見てしまう男の性なんだろう。おじさん、良い事教えてやろう。こいつ高校生やってるけど実際は40越えのB
「蒼矢?なんか失礼な事考えてない?始まるよ?」
「なんも考えてねえよ」
だから怖いわ!!なんで気付くんだよ。女の勘って凄い。これからは気を付けないと。
あれから時は流れ40分。ダウトに決着が付いた。
私はダウトを運ゲーだの耐久だの本気も何も無いみたいに言ってた気がするが前言撤回。うちの母、やべー。母は強しって言葉もマジだったわ。
だって始まって一度も母さんはダウトを言う事無く気付いた時には
「さっきので最後よ?」
と言われ
「・・・・・・え?」
とみんなでハモる始末。
すかさずダウトと言った姉貴が全部回収していち早くあがり。俺も姉貴も雑魚過ぎてこの人の子供なのかって事に疑問を覚えたくらいだ。
そこからは騙し騙されいかに愉悦に浸れるかとの勝負。俺は結局姉貴とタイマンでやりあってなんとか勝った。
ラスト手札を見た時、ここで嘘を付きとおせれば勝ちという札が揃っていた。そこでダウトを言われなかったから終わったものの、あそこでバレてたらマジで泥沼。本当途中から早く終わってって願うゲームはこれくらいだと思う。ま、終わってほしくても負けたくないから言うんですけどね。
そんなこんなで宿まで残り半分くらいというタイミングで休憩する事になった。姉貴情報だと美味いスイーツが盛り沢山らしいので制覇しに行く。姉貴、ナイス。
ちなみに運転手のおじさんはコーヒーを飲みながら遠くを見て黄昏てた。
食べ歩きをしようと思ったんだがここで事件が発生。姉貴が財布を失くしたらしい。宿に連絡とってくるからと言ってどっかへ行った。
いつものようにあいつらに護衛をと思ったのだが、予定変更。あいつらはまだあっちに残ってるはず。確保して車内に配置してもらおう。
『てな訳ですみません。お願いします』
『任された。ちなみにどんなのだ?』
『確か赤い財布だったと思う』
『そうか、見つけたら言う』
『ありがとう、助かる』
「それで?見つかったの?」
「え?念話してたのバレた?」
「長く見てるから雰囲気でなんとなく?」
「隠せるようにならないと・・・」
「私の前では隠さなくても良いのに」
「ねえねえ」
「ん?どうした來妃」
「この先の池、危ない」
「は?どういう?」
「霊、溜まってる」
「・・・浄化すっか。場所は?」
「うーんと、ここ出て少し走ったところにある」
「なら出発してからで良いか」
簡単な浄化だけなら無詠唱で出来るようになった。この国の除霊師さんは相当な準備をするらしい。なんか申し訳ない気持ちになってくるが、気にしない事にする。
『見つかったぞ』
『お、サンキュー』
『今向かうからあんまり動かないでくれ』
『おっけ』
「見つかったてさ」
「やっぱ凄いんだね」
「雑用から何からこなすスーパーインテリジェンスな奴らだからな」
「その言い回しにダサさを感じるのは私だけかな?」
「ダサいは分からないけど凄そうには思えない」
「二人揃って否定か。これじゃダメなんか・・・」
後は車の中に置かれたらさも俺が偶然見つけた体を装ってやれば完璧だ。
瞬間、男達の嘆きが聞こえる。
「は?」 「嘘だろ?」 「間に合わねえよ」
「ん?どうしたんだ?」
「行ってみるか」
「うん」
人が屯ッてる場所は情報案内のディスプレイがある場所。遠目で見ただけで分かるのはここを出てすぐの所で交通事故が起こったらしい。しかも4台玉突きとの情報も。
真実を確かめるべく外に出て上を見る。
小鳥が飛んでるのを見つけた。すかさず
「感覚同調」
こうして鳥の視界から現場を見る事にしたのだ。
そして分かったのは・・・
「これは・・・故意だ」
「え?」
「この事故は偶然じゃない。故意に引き起こされたものだ」
「もうそんな事分かったの!?」
「バカ!静かに!」
「あ、ごめん」
「間違いない。少なくとも2台目は一切のブレーキをかけてないのが分からない程に大破してる。乗車してた人は生きてるか分かんねえぞ」
「でもそれなら急に意識を失ったとかは?」
「あるかもしれないが、追越車線でも無いのにスポーツカーに乗用車でぶつけようと思ったらアクセル全開だろ。意識を失ったにしても普通の車線でそんなアクセル踏むのが普通だと思うか?」
「確かに・・・さっきはそこそこ車いたもんね」
近くに何か無いか探す。すると・・・
「これが・・・原因か?」
「もう見つけたの?早くない?」
「そりゃ上空から見てるからな。來妃、さっき言ってた池ってあそこに見えるビルの少し先か?」
「うん。そうだよ」
「やはりか・・・悪い。ちっとトイレ行ってくる」
「え?ちょっと?」
そう言って走り出そうとした時だった。
「そんなに焦って・・・どうしたんだい?」
「あ?運転手のおっさんこそあの案内の所にいなくて良いのか?」
「さっき見てきたから大丈夫さね。それにどかすならどかすで終わらなきゃ発車出来ないから君も落ち着きたまえ」
「決壊寸前でトイレに行くのに落ち着いてられるかよ」
「そうかい?そうかいそうかい。儂はてっきりこの状況をどうにかする為に動くんじゃないかと思ったんだけどね?見当違いだったかの?」
「そんなに気になるならあんたも来るか?」
「わざわざ連れ立って行く年でもなかろうに。ほれ、はよ戻らんと」
「良い人ぶりやがって・・・言ってやらなきゃダメか?」
「・・・何をだ?」
「そうだなぁ・・・強いて言うなら・・・惨敗の味はどうだった?」
「・・・・・・・・・・やはり気付いておったか」
「当たり前だ。こういうのが正解か?久しぶりだな」
嘲笑うように俺はその名を口にする。
「怨霊師、蘆屋道巌さん?」
次回、やっと父登場!?




