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56話:來妃も連れて

リンの本気、見せましょう(`・ω・´)

「それじゃ、行くわよ~。いざ海へ~~~」


「お~~~~!」


「いぇーい!」


「お、おーー」


「おー」


「來妃ちゃんは偉いわねぇ。ちゃんと返事出来て。じゃあみんな、新幹線乗りましょうか」


女子って海ってなるとこんな朝っぱらから元気なんだなぁ。詩歌ですらこのテンション。俺は気力がもつのだろうか・・・言っても2日前には警察に連れてかれて挙句戦わされたからなぁ・・・


女性はタフだ。俺が帰ってくると母も姉貴も揃って泣いて抱きしめてくれたが、そんなのは最初だけ。帰ってくる途中で拾ってきたと來妃を紹介した瞬間。本当に刹那だった。可愛いと言ってそっちに構いに行ってしまわれた。來妃は何がなんだか分からない様子だったが、まるでライオンが好物を見つけたかのような獰猛な目をしていたが、來妃は特に気にすることもなく普通に会話を交わしていた。一瞬センチになったさ。詩歌もほぼ変わらないんだから。俺高校卒業したら家出ようかな。俺なんかいなくても変わらない日常だろう。


「そういや、來妃のホテル代って?」


「そこの支配人が友達でね。息子が拾ってきた行き場のない子なのって言ったらサービスで泊めてくれるらしいわ」


「ナイスコネ」


てな感じで俺はもうなんとも思われていないのだ。近所の人達も凸守達がどうやったのかは知らんが、俺が完全無実という認識になっていて、恐れてた事態は回避されたのだから戦った意味はあったと思っておこう。


さて、あの敵前逃亡してた土師なんとやらさん達は風の噂で知ったが、土御門家は解体。全てが土師に統合され、めでたしめでたし的展開になったとさ。ま、いざこざがすぐに無くなる訳ではないだろうから安定するのには古い思想を持つおじさんズがある程度一掃されるまでは時間がかかるだろう。


新幹線の車内では良い席を取ってくれてたお陰で快適だ。いや、快適すぎる。女性4人組(つまりは俺以外)はめっちゃ楽しそうに話してる。俺?そうだよ!ぼっちだよ!という訳で外の景色でも見ながらあいつらと念話でもするかな。


『てな訳でいきなりぼっちになってセンチな僕を慰める会を始めます』


『いや、長い・・・』


『聞いただけで想像が付きますね。面倒くささ』


『マスターが寂しくないように尽力いたします』


『というよりさ?私達も同じ新幹線乗ってんだから移動してくれば良いんじゃないか?マスター』


『お、それ良いな。って待ちな。なんで乗ってんだよ』


『私達も旅行行くから』


『・・・俺の居ぬ間に旅行・・・だと?』


『鬼の居ない間に洗濯をするわけではないですが・・・』


『私が宝くじでバカみたいに儲けましてね。今私の手元には50万以上はありますよ』


『は!?いつの間に!?』


『一口200円の奴を一口だけ買って必ず万以上があたるように未来予知をするのです。これが大当たり大当たり。いやー儲けましたね』


『ちょっとその話詳しく』


という訳でバレないように移動する。






「よ、お前ら」


「おや?これはこれは家族旅行に来て見事ハブられてしまった唯一の男、私が敬愛する桐生蒼矢様ではないですか」


「ハダル、お前は俺を泣かせたいのか?泣くよ?」


「公衆の面前でギャン泣きはご遠慮を。ささ、こちらへ」


4人席に手招きされる。


俺は小さくなったベラを膝に乗せて座る。


「さて、ではお話しましょう。我々が旅行なんぞしている理由を」


「え?遊びたいからじゃないの?」


「それは第二の目的です。最大の目的は蒼矢様もお気づきかと思いますが、此度蒼矢様の宿泊なさるホテル。この近くに不穏な気配を感じ取ったためです」


「不穏な気配ね・・・あれの事か?」


はい、嘘つきました。全く知りません。不穏?來妃みたいのは感じないんだけどな・・・


「あー・・・全く知らなかったというお顔ですね」


え?バレた?完璧なポーカーフェイスだったはず・・・


「主人よ、其方の嘘ついてる顔は何かと分かりやすいぞ?ライラもよく気付いておったし」


「・・・俺ってそんなに下手?」


「失礼ではありますが、そこそこの観察眼をお持ちの方であれば分かるかと」


「同感だな」


「うわ。凄いショック」


ちなみに話を纏めると、地震の前兆には鯰が暴れるという伝承があるがあれに似ているのだとか。つまりは、それが気になったから調べに行くついでに旅行でもしようねって事らしい


「そういう事なら俺は不干渉だ。何かヤバい事態ならこっそり呼んでくれ」


「御意」


「そんじゃ戻るわ」


「そうですか・・・蒼矢様はぼっちに戻られるのですね・・・この老骨はとても悲しく思います」


「・・・お前じゃなかったら殴りかかってる所だぞ?」


「冗談ですよ冗談。魔族ジョークってやつです」


やっぱりこいつは読みにくい。だからこそ頼れるダチなんだが。


その後はこっそり戻ると姉貴から「そういえばあんた静かね。混ざる?」とか言われたから「到着まで後10分も無いのに今から?」と返したらあっそと返されてまたぼっち。


女の園に堂々と入って良いのは女性受けの良い可愛いショタだけだ。それ以外は凍てつくような視線を浴びるだけ。ならここは大人しくするに越したことは無い。


もう一度言うぞ男子諸君


可 愛 い シ ョ タ だ け だ。


さて、それから少し黄昏てると到着するというアナウンスが入る。降車の準備をする。來妃の荷物は元から少ないけど俺が持ってあげる事になっている。


持って分かった。もう一人分は余裕だなこれ。詩歌のでも持ってやるか。


「詩歌、荷物持つぞ」


「大丈夫。持てるから」


「弟よお姉さんのにも」


「おめえは運動部の意地見せろ」


「ちぇっ、はーい」


「蒼矢、あなたいつからそんなに逞しくなったのよ」


「俺も高校生だしな。そろそろひ弱なままじゃね」


「あら、カッコイイじゃない」


妙にニヤニヤしてる詩歌には後で笑うなと言っておこう。


送迎バスがあるようなのでそれに乗り込む。


今度も俺はまた一人。本当に孤独やわ。いや、これを耐え抜けば俺は孤高の存在に?


と思っていると


「すいません。お隣良いですか?」


「どうぞ」


年は・・・20代前半だろうか・・・そんな年齢の女性が声をかけてきた。


なんだか存在感がある人だが気のせいだと思い、窓の外を眺める。


そしてバスは出発する。

























これは蒼矢が靄に呑まれ、帰還したその後、神達の対話・・・


「桐生蒼矢、流石ね。私の美貌を前に理性をあれだけ保つのね。どこぞの神様たちじゃあっさり籠絡できたのになぁ」


「舐めてもらっちゃ困るねアマノウズメ。僕の世界で育った勇者は手強いよ?」


「あら?異世界の神が何の用?」


「聞きたいことがある。ちゃんとした返答が帰ってくればそれ以上は何も聞かないさ」


「・・・何?聞きたい事は」


「蒼矢に、いや、僕の友達に何故こうも干渉する?僕達神は世界が終わる、世界に急激な変化が起こって危険な状態になってしまうまでは干渉できない筈だよ?何故蒼矢にあそこまで干渉をする?」


「そうね、、、一言で言うなら好きな子にちょっかい出したくなる感覚かしらね」


「君が?何人もの男神を手玉に取ってきた君が・・・本気で好きになったと?」


「ええ。彼はね、私の理想になれる男だからよ。困ってる人は放置できない、かと言って敵は鏖殺って事もまずしない。それでいて可愛い所はあるし面白いし、このまま育て上げれば神にしても文句は無いような逸材よ?」


「それを最高神天照が許すとでも?その計画をやりたいなら彼女達に話を通すべきだ」


「そんなのどうとで」


「そして蒼矢はそんな事を望まない」


「・・・・・・」


「彼は神になる事を望まないよ。仲良い人たちは輪廻の輪に入る。そして新たな命として流転する。それをずっと見届けたいような人間じゃない。自分だけが永遠を享受するなんて絶対拒むだろうから」


「・・・何故そう言い切る」


「単純だよ。永劫の時を生きる僕の生きざまを話したからさ。彼には永遠の命なんて持ってほしくないよ。勇者で神?悠久の時をそんなレッテルに縛られ続ける事が幸運とでも?君が考えを変えないなら僕がそれを阻止する」


「どうやって?」


「何もしていないとでも?」


「まさか!!」


「もうこっちの最高神には話を()()()()()通したからね。君の信用はもう無いと思って良い。最高神を無視して続けられるならやってみてくれ」


「この!クソ野郎が!」


「鍍金が剥がれたね。さて、僕は世界の管理に戻るよ。それじゃ」


リントヴルムはその空間から消える。


そこには焦り、憎み、怒り、負の感情に包まれた女神が項垂れているのであった。

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