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54話:巴蛇

すみません。もう一話戦闘はもう一話続きます。

驚いた。本当に驚いたとも。まさか、目の前であんなグロ展開になるなんて思ってなかったから。あの場に立ってた人達よく吐かなかったな。俺も戦い始めた時は血を見て嘔吐してたからそう考えると彼らの胆力ヤバすぎる。


ちなみに冷静に状況を分析してたので今後俺達がどうこの怪物と戦っていくかの計画は練っていた。まずはなんとしてもこの場所から遠ざける事。これが最優先。召喚陣のあたりでは例外なく力が強くなる。そこから如何に遠ざけて弱体化させるか。これがセオリーだ。だが、俺は嫌な記憶をここで思い出した。異世界で戦った事があるんだが、56回核を破壊しないと倒せない化け物がいた。こいつを倒した時はみんな揃って4日は動けなかった程に苦戦を強いられたんだが。


あんなハイスペックな奴じゃなければいくらでもどうにかなる。それに、見てみないと分からないが、ある特定の攻撃手法じゃないと厄介な攻撃をオートでしてくるタイプも知っている。出来る事なら武人肌タイプの単純に強いだけが良いんだけど・・・


「マスター、お待たせしました。間に合いましたか?」


「お?リッタ!ナイスタイミング。そろそろ出てくるぜ」


「こいつは・・・蛇の異形だな」


「グロニス、お前まだ体も見えてないのに分かるのか?」


「ああ、私の父が地底湖の大蛇だったんでね。ある程度までなら気配で分かる。それに最上級に分類される奴らじゃなきゃ威嚇すりゃ私に平伏するだろうよ」


「グロニス・・・お前、凄かったんだな」


「それは煽りと受け取って良いのか?っとふざけてる場合じゃないな。急速に胎動始めやがったか。20秒もすりゃ出てくるな」


「そういえば、なんだか饒舌だった彼らは逃げたようですね」


「戦場で生き延びるならある程度は臆病な方が良い。さて、俺達も戦闘態勢に入るか」


「はい、マスター」


「了解だ」


程なくして咆哮が上がる。竜の咆哮は戦意喪失の効果があるがこいつも同じ類か。ん~?天道さん・・・チビってませんか?あれ。


「ダッサ」


「同感だ」


うわ、女子から引かれてるよ。自分でやりだしたんだから尊厳くらい保ってください。


「な、なんだこれは!?馬鹿な!こんな強力な者を喚ぶはずは・・・」


「・・・なあ、あいつ今なんて言った?」


「私には想定と違う事が起きていてわちゃもちゃしてるようにしか見えませんね」


「同感だ。というかこれって私達が止められなかったら・・・」


「この世界終わる!?」


全員でハモッた。


「ベラとハダル急がせた方が良いのでは?これは流石に負けるわけにはいかなくなりましたよ?」


「ああ、見えてる。この粘液みたいな体は例外なく銃火器効かねえだろうな。オリハルコンの剣も通らない自信しかしないわ」


「あれ?確かマスター、どっかの村で剣教えてた時、一流の剣士は切りたい物は切り、切りたくない物は切らないんだとか言ってなかった?」


「・・・俺が一流だなんて一言も言ってないもん」


「マスター、可愛い」


と、ここでハダルから連絡が入る。


『ご主人様、こちらは制圧完了しました。召喚された怪物も掃討出来ましたが』


『ナイッス!そんじゃこっちに来てくれ。本格的に神話級の奴だわ』


『へえ、神話級ですかぁ・・・神話級!?ご主人様がそういうなんてもう歩く天災じゃないですか!それはそうと何かお土産いります?』


『おっほほーい、暢気じゃぜぇ。っていらんわ!はよこい!』


『了解です』


『いきなり出来るお兄さん感出すなよ・・・』


「ハダル達はなんと?」


「終わったから向かってくれるとさ。合流できそうだから良かった」


「おいおい・・・ちょっと目を離してたのはあると思うがこれはデカすぎねえか?」


「ざっと10メートルは越してますね」


「これ市民に隠しながらとか不可能やろ。そして、対人戦闘はやつらに任せたけど対人戦闘起こってないから実質俺達だけじゃん戦ってんの!帰りに炭酸でも買ってこ。やってらんねえわ」


「お付き合いいたします」


「私もだ」


「さて、やるか」


ここに臥竜山の戦いは開戦した。








一方の耀厳達は


「何!?お前らも知らなかった!?」


「本当なんです!まさかあんな奴を喚ぶなんて思っても無かったんです。もう土御門に忠誠とか無理なんで一緒に逃げましょう?」


「いや、しかしこいつは放っておくには危険なんだが・・・凸守様、私となら退治できますかな」


「無理だ。あんなの俺が何人いても勝てないだろう。貴様の最盛期であっても不可能だ」


「え、それじゃあ、蒼矢君が負けたら・・・」


「本格的な非常事態宣言だろう。それも世界的な」


「頼む蒼矢君、勝ってくれ」


土御門と土師両勢力共に震えながら固唾を呑んで見守っていた。













この時、この山付近に住んでいた人たちはこう言うのだ。


「突然、なにかの鳴き声が聞こえたと思ったら体の力が抜けたんです。それから少しして地響き、轟くかのような悲鳴のような咆哮、近隣の人は誰もが皆何が起こっているのか分からなくて祈ることしか出来ませんでした。しかし、1時間もしないうちに無くなったんです。あれはなんだったのか、今となっては分かりませんが私達はあの声を、音を知っています。信じるか信じないかはあなた次第です」


そう、臥竜山の戦いは都市伝説なのだ。正体不明の現象の数々。正体不明であるからこそ浪漫に駆り立てられた者達はこの山に集う。真実を見つけようとするのだ。


その真実がこの物語である。






「よっしゃ、まずは一発拳で」


「ちょ、あんなドロドロに猛毒でもあったらどうすんだよ?」


「そん時はそん時だ!」


拳は効かなかった。溶けるような感覚も無い為、毒は無いと思ったんだが


「草は溶けてる。つまりは毒はあるけど毒物耐性レベル6には効かないんだな」


「私達は揃ってレベル4ですが試してみます?」


「いや、今はやめておこう。弱体化させてからの検証でも良いだろう」


「お、お前は!桐生蒼矢か?正気か?そんな化け物とやり合うなど」


「うるせえ!元はと言えばお前が蒔いた種なんだから自分で回収しろや!出来ないなら寝てろ!」


そう言って木に激突させる。気を失ってくれたようだ。


「しっかし、こいつは一体何なんだ?だいたいは伝承として広まってる奴の筈だが」


「黒くてデカい蛇・・・こっちの世界の伝承調べとけば良かった」


「誰か頼れるご友人は?」


「頭いい奴らに片っ端から聞くか。電話しながらでも勝てるだろ」


という訳で颯斗と相楽に連絡を取ったが分からないと言われた。


「後は・・・東雲なら分かるか?」


あんまり気は進まないがやるしかない。


「もしもし東雲か?俺だ、桐生だ」


「き、桐生君?いきなりかけてくるなんて珍しいわね」


「聞きたい事があってな。お前だけが後は頼りだ」


「え?私だけが?」


「ああ、黒くてデカい蛇。この怪物に心当たりあるか?」


「黒くてデカい・・・もしかして!ちょっと待って。本取ってくるからかけ直すね」


「お?おう、分かった」


そう言って切られた。


とりあえずは


「遠ざけるか。物理が聞かないなら物体全部の座標移動しかないな。ベクトルマスター!」


これも俺のオリジナル。ベクトルっていう概念が分からないと魔力があっても使えない代物だ。


「おし!300メートルは離せたか。みんな、俺に続け。畳みかけるぞ」


「はい!」


「おう!」


移動中に電話がかかる。


「もしもし」


「あ、桐生君?私の知識だからあくまで参考でね?中国の巴蛇(はだ)って奴だと思うの」


「巴蛇?」


「うん。象を飲み込めたりする大蛇なんだって。黒い蛇って記述もあるのよ」


「ドロドロ属性なんてあるのか?まあ、良いや。とりあえず情報ありがとう。参考になった」


「う、うん」


「そんじゃ」


「あ、またね」


電話が切れて合点がいった。


「そういう事かよ。つまりあいつは巴蛇は巴蛇でも人間が怪物と思う要素を具現化した想像上の怪物。つまるところ、伝承通りの体躯でさらに強化されたパターンか」


「という事は、何が起こるか予測が付かないという事ですね」


「本当に厄介だな」


「ああ、俺達5人じゃなきゃな」


後ろから迫る気配に気付いていた。


「主人、待たせた」


「この老骨には厳しい速度でした」


「よし、これで全員揃ったな。じゃあ、あれ倒すぜ」


「了解!」


蒼矢と使い魔4人。集結した今、2回戦の幕が上がった。

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