41話:仮説は立証される
相楽のいるショッピングモールというのは学校から40分歩けば着くような所にある。つまり、家からは遠い訳だ。普段は利用しようなんて思わないから滅多に行かない。
ベラと共にショッピングモールにテレポートしてきた。どうやら服を買いに来ているようなのでそのフロアをブラついていればいつかは会えるだろう作戦である。
さて、歩き始めて10分。一周した。どこにもいなかったんだが?と思っていると
「なあ、主人。あそこに見えるのはゲームセンターなるものでは無いか?」
「ん?そうだな。行きたいのか?」
「見つからない事だしゲームとやらをやってみたいのだ」
「まあ、100円か200円なら良いか。でも、その小ささだと出来なくないか?」
「ふふ、安心せい。認識阻害と記憶低迷をかけてよし、人化!」
すると紫の長髪のスレンダーな女性が横に立つ。
「おま、こんな事出来たのかよ」
「出来るとも。人里に忍び込むには持ってこいだからの。さて、行こうじゃないか主人」
「はいはい」
やるのは某太鼓ゲーム。転移前は高難易度コースなんて半分もノルマ乗らなかったけど動体視力上がった今ならどこまで出来るかな。
うーん・・・なんというか下手だ。単音は繋がるのに3連になると一定のリズムで複数回が出来ない。これフルコンボ出来るだけで凄いと思う。段位受ける人って本当に凄いんだなって思わされる。一応クリアは出来たな。
3曲終わったところでベラはバテたようだし。てか、こいつ終始え?とかは?とかで出来てなかったな。そろそろ捜索再開しようかと思って振り返ると
「あ、桐生君。こんにちは」
相楽がいた。横には彼氏の毒タイプ大森 豪もいる。
「よお、奇遇だな」
「そうだね。そちらの方は?」
「あーっと」
「ハジメマシテ、ベラトイイマス。ニホンハジメテナノデソウヤニオシエテモラッテマシタ。ニホンゴフナレデスミマセン」
カタコトの日本語で合わせてくれる。ナイスだ。
「ベラさんね。ナイストゥミーチュー。真綾です」
「マアヤ、ヨロシクネ」
「俺は豪って言います。宜しく」
「ゴウ、ヨロシクネ」
さて、この毒男がいなければカフェにでも入って話進めるんだが・・・さてどうするか。
「あ、そうだ豪。桐生君と学校の事で話したい事があるの。その間に今日使う物のリスト渡すから買ってきてくれる?」
「彼氏差し置いて別の男ってのは傷つくぜ」
「豪だからこそ頼めるのよ」
「そう言われちゃ仕方ない、行ってくる。なるべく早めには戻るよ」
「うん。お願いね」
そう言うと豪はどっかへ向かった。
「さて、桐生君。どっかでお茶しない?聞きたい事あるんだけど」
「俺も聞きたいことがあるんで丁度良いぜ。ベラもオッケー?」
「モチロン」
「なら行きましょうか」
俺の暗号どうやら解いたらしいな。じゃなきゃ人が比較的いない方なんて行かないだろう。
席に着くと瞬時に声が外に漏れないように相楽が術式を張り巡らす。
「ねえ、あれは本当?豪に毒を盛られたって」
「ああ本当だ。幸い俺は毒の耐性は持ってるからピンピンしてるけどな。しっかしあれ解いたのか」
「馬鹿にしてるとしか思えないわね。理論はシーザー暗号。一般的には3文字ずらすだけどあれは四文字前にずらせば答えとなる」
手紙を机に出す。
ゼキ タエレキチヲノ ベシラロント シララゼキコエレ
テキリ レワ
「この一番最初を4文字前にするとゴウってなるわね?同じ要領でやると
豪 信用するな 毒盛られた 蜘蛛も豪関与
蒼矢 より
って伝えたかったんだと思うんだけどどう?」
「大当たりだよ」
「正直に言うなら信じたくないの。でも、彼氏なのに彼があなたに毒を盛った事を否定できないのよ」
「俺はてっきりこんなデマをなんでとか言われるかと思ったんだけどな」
「アノ、ワタシイナクナリマショウカ?」
「あ、ごめんなさい。聞いてて楽しい話じゃないよね。どっか行ってる?」
「ウーン・・・ゲームセンターマタイキタイデス」
「あ、そうなのか。なら、1000円渡しとく。早めに終わらせるから待っててくれな」
「リョウカイ!」
そうして退店する。まあ、念話でこっそり会話は続けるから良いんだが。
「桐生君がこんな話に最初は連れてくるっていう時点で彼女も何かあるのね。まあ良いわ。それで信じられない根拠だったかしら。さっき、私が買い物行っててって言った時に彼あっさり意見を呑んだと思わない?」
「まあ、そうだな。少なくとも一度自分の彼女を救ってると認識してるとは言え、自分を除け者にして男と話すなんて俺が彼女持ちだとしたらあんまり了承したくないかな」
「そう、それがおかしいの。更生プログラム受けてるって事は話したでしょ?あれ受ける前は私を第一にしてくれてた。でもね、今はなんか違うの。まるで私だからじゃなくてこの私だからみたいな感じと言うかなんというか・・・」
「それだけで愛する人に猜疑心は持たねえだろ?他にもあるんだな?」
「うん。私が豪にね、プログラム受けてる時に何があったのかを話したの。そしたら、土御門家の不手際、いけない所を話してそれをダメだよねって言うたびに苦い顔をして睨んでくるの」
「プログラムね・・・その更生プログラムってのはなんなんだ?」
「詳しくは知らない。けど、受けたどんな人もこう言うのよ
前 の 自 分 か ら 生 ま れ 変 わ れ た
ってね」
「なんだろうな、良い言葉のように聞こえるけど不気味だな。」
『ベラはどう思う?』
『音ゲームやりながら答えるのって難しいなって間違えた!あ、私も奇妙な話だとは思うぞ』
『楽しんでるようでナニヨリデス』
「ねえ、連絡先交換しても良い?」
「ん?EINEならもうしたろ?」
「そうじゃないの。電話番号も。土御門に良い感情を持ってないあなた以外信用できない。かと言って天ちゃんに相談なんて出来る訳ない。桐生君は言ったよね?俺はお前を救ったんじゃないって。そうやって時には冷たくしてくれる。そんな人が良いの。だって、そういう人って助けるってなった時に全力で助けてくれるから。もしも、もしも・・・だけどさ?助けてって言ったら助けてくれる?」
「・・・その条件が仮に俺の女になるだったとしてもか?これからの人生俺に全部捧げろって言ったらどうする?」
「・・・・・・いやな女っては言わないでね?桐生蒼矢君。あなたにならこの身、捧げます」
「本気って訳か、まあ良いぜ。なら宣言しないとな。桐生蒼矢は汝、相楽真綾を全力で助けるとここに誓う」
「なんだか様になってるね。言ってくれてありがとう。お陰でもう大丈夫だわ」
「・・・そうかい」
嘘だろう。俺が強い事は知っている。でも、土御門をよく知ってるから助かるのは無理と思っているんだろう。
凄くイラつく。俺の言う事を信じようともしないし諦めようってこんな段階で思ってるのも腹立つ。だから
今度はお前を救ってやるよ
次回、久々にリッタさん登場です。




