39話:俺の夢
ここまで2章です。
今日は修行を相楽と堂本達に付けてもらった次の日。つまり、修了式の日である。
「ええ、皆さん。この夏は羽目を外したくなるとは思いますが、怪我だけは・・・」
と、恒例のありがたーい話を教頭からいただいてます。中学までと文面ほとんど変わらないのって凄いと思う。
チラッと見ると伊藤は寝ていた。まあ、眠くなるよな。そこ日差し当たるからよく分かる。
さて、今日が学校最終日。学校で何かをやりたい帰宅部は今日がラストチャンス。
今日登校する時に武装した男達が学校の周りをうろちょろしてるのを見かけた。しかも射程距離良い感じの高そうなライフルっぽいのもあったし。どうせ学校に俺は見たんだ!なんて言っても取り合ってくれないだろう。
という訳で昨日習った技を応用して罠をしかけてみたのだ。具体的には「乾燥」という漢字に意味を持たせて、悪意を持った奴らが敷地として定義した場所に入った瞬間に体の水分蒸発を始めるものだ。
ちなみに監視はベラに任せてある。小さいから見つからないだろう。
壇上では校歌斉唱の為に起立を促すアナウンスが入った時だった。
『主人、成功だ。奴ら急に活力を失いだした』
『よし!これで習得って事で良いよな』
『昨日習った技の応用を小一時間で生み出した奴を不合格に出来る人間はいないんじゃないか?』
『さて、後は八岐大蛇(笑)をどうするかだな。多分そんな仰々しいものじゃないし』
『そこは私には分からないから他の奴に任せるとして、今こいつらの身分証見たが、色んな国籍混じってるな。なんでこんな高校狙うんだろうか』
『お、情報サンキュー。そんじゃ一ヶ所にそいつら纏めといてくれ。後で話聞きに行く』
『了解』
その後、彼らはベラ達が今住処にしている異世界での俺の家に運び込まれたらしい。俺の居場所に仇なしたとか言って暴走するなよ?みんな
校歌は本気で歌えない。何故なら、歌聖のジョブ持ちの俺が本気で歌うと目立つからだ。という訳で口パク作戦決行である。みんな真面目だからこういう時とにかく口を大きく開けようとするだろう。だがな、本当にバレないやり方は適度に口を開けておくだ。普通の生徒を演じるのが正解。このやり方は教師が声出してるか見回りにくる状況以外は通用する。
ほら、全然バレない。これは勝った・・・は?声が小さいからもう一回?先生がマイク使ってるんだからそこは許せよ。本当大人ってのは不平等だとしみじみ思う。
そんなこんなで夏休み前最後のホームルームが始まった。今回の宿題はそれぞれの教科がドリルなら20ページ分。歴史とかはレポートか。A4に6枚も書くの?これさえ無ければ初日に終わってたな・・・
それと最後に先生が連絡事項を話す。
「休み明け3週間後は前期期末テストだ。ここ落とすと成績危ういのもいる。夏休みは上を目指したい奴とこの後配布する成績表でヤバいと思った奴は念入りに勉強しておくように。それじゃ、成績表配布終了次第解散にするから番号順に取りに来い」
俺の成績表はオール5とはいかなかった。美術とかいう教科が4。本当芸術は難しい。2年は音楽だからそこではオール5も夢じゃないな。
他はこれと言った一喜一憂する内容も無かったので鞄に仕舞おうとした。すると、人の成績を見に来る野次馬に捕まった。
「よお、高得点の蒼矢君。どうだった?」
「蒼矢の5ばっかりなんだろうな」
「桐生君の成績表を次回のテスト対策の参考にさせてもらうわ」
東雲・・・俺の成績じゃなくてやり方知らないと成績は上がらないぞ?
「おらよ、見ても良いけど破るなよ?」
「お、サンキュー!」
見て一同絶句する。
「美術以外オール5・・・だと?」
「嘘・・・美奈の3と4ばかりとは大違い・・・」
「美術は受験に影響しない・・・つまり東大目指せる頭脳って事?これは・・・完敗ね」
「完敗も何も俺達競ってたか?」
残念ながら俺はトップの大学には行かない予定だ。一日12時間の勉強は流石にしたくない。1日5,6時間で受かれそうなら行きたいが。
「気にしないで。満点宣言してたあなたを勝手にライバル視してただけだから」
「別に、自分がどこまでやれるのか知りたいからやってるだけなんだがな」
よく言われる。勉強は誰かと切磋琢磨する事でより本気になれると。だが俺には魔法という切磋琢磨する対象がいた。魔法を極めると記憶の補助、思考回路の活性とかいろいろ出来るし、極めただけ自分の利になる。ちなみにサポート無いと学年10位くらいだと思う。え?それでも凄い?そんな事を言ってくれてありがとう。
「そういやさ、お前ら夢ってなんかあるの?」
「夢?」
颯斗がいきなり聞いてきた。本当に突拍子も無いが俺にはこの質問が刺さった。少し前に俺将来何やりたいんだって考えたけどしっくりくる答えは出せなかった。こんな事を聞かれるって事はそろそろ真剣に考えろって神の思し召しか?リンはこんな事考えろっては言わなそうだし、この世界の神か。俺の女性運上げてくれ。なんでそこは改善しないのに試練だけ与えるんだよ。あれ?こう考えると人生ってクソゲーじゃないか?
「美奈はOLさんになりたいかな」
「私は父の会社を継いでもっと大きくしてみせるわ」
「俺は海外で活躍したいんだよな。煉瓦と蒼矢、詩歌ちゃんは?」
「僕は宇宙の研究がしたいかな」
「私はのんびり過ごしたいですね」
「俺は・・・無いかな」
「え?」
みんなの声が重なる。
「まだ見つからないとでも言うのかな。これと言って無いんだよな」
「そっか・・・まあ、この夏に何かあるかもしれないし見つかったら教えてくれな?」
俺は曖昧にしか返事出来なかった。
「夢は分からないけど、こっちは早急に片づけないとね」
俺は今手頃な廃校を見つけ、誰にもバレないように忍び込んだところだ。そして俺の目の前にはベラが捕まえた男達がいる。
「よう、うちの学校にちょっかい出してたのはあんたらで良いんだな?」
「お、お前は・・・?」
「ここはどこだ!」
「あんたら2人以外は何言ってんのか分かんねえからあんたたちに聞く。目的はなんだ?」
「それを喋るとでも?」
「それを喋るような奴がテロ紛いの行為なんざ出来るか!」
「ま、ですよね」
実は言語翻訳の魔法も使っているので本当は何を言っているのか分かるんだが、俺が分からないという方がそいつらが何かしら喋ってくれるだろうと思ったのだ。
今の所は「まさか捕まるとは・・・」とか「仕事を失敗するなんて不覚だ」とか言ってるからもう少し泳がせとこう。
「そんじゃ、聞き方を変える。誰に誰を襲えと言われたんだ?」
「何を言う?変わってないじゃないか。黙秘する」
「ああ。黙秘だ」
「黙秘を咎めはしないが、賢明な判断を期待するよ。そこに見える窓から放り投げても良いんだからな?」
「お、おい・・・マジで言ってるのか?人殺しだぞ?」
「ここが何階かは知らないが落とし方によっては本気で死ぬぞ?まさか殺すなんてはったりじゃないのか?」
「お前らみたいな生きる価値を喪失したクズを殺すのに何を容赦すれば良い?命は尊い?それが真実ならなぜお前らは銃火器を持ってあの学校に行った?お前らの命は蜚蠊、いや生物以下だと何故分からない?人目の無い所にいる理由もきちんと考えろよ?」
2人が息を呑む。
と話してる最中に別の一人がこう言った。
「テンドウにどう言えば・・・」と。
テンドウ・・・どっかで聞いたような・・・
まあいっか。情報は手に入れた。
「最後に聞く。お前らの仕事の事を全て話せ。そうすれば五体満足で解放してやる」(主人公です)
「・・・・・・・・・言えない」
「・・・・・・・・・俺達も信頼で成り立つ職業だ。やはり言えない」
「そうか。なら時間切れだ。ま、お前らの依頼主がテンドウというのは分かっているから話すってんならこっちとしても最良だったが・・・こうなったら仕方ないよな?」
「は?テンドウ?何故知って・・・あ!」
「ハハハ、事実だったか!最後に勝つのは俺だったって訳だ。ん?なんだその顔。もう分かったんなら助けてくれよなんて顔だな。図星だろ」
コクコクと頷く。
「でもな、お前らの態度は信頼できねえんだよ。だから言った通りにやらせてもらうぜ」
他の仲間に英語で伝えたようで青ざめた顔で「NO~~」「Wait!Wait!」と叫びだした。
夕飯を食べ終わって音を遮断する魔法を使い、ベラ達に報告する。
「聞いてみたが依頼人はテンドウと言うらしい。ベラとハダルは覚えあるか?」
「テンドウ・・・どっかで聞いた気はするけど・・・」
「もしかして土御門とやらの首領では?その辺の記憶に該当があります」
「そうだよ!土御門じゃん。またあいつらかよ・・・って待て?あそこには相楽いるんだぞ?なのに襲撃って頭湧いてんのか?しかも土師の堂本もいる。頭悪すぎねえか?」
「あの装備からして標的は主人だろう。それだけ敵視されてるという事だ。気を付けなければ周囲に被害が出るな」
「マスターに危害?万死に値しますね。総員命を持って償わせなければ・・・」
「総員かは知らないけど、そろそろ調子に乗りすぎも度が過ぎると思うんだよね。足くらいは切り落としても文句言われないんじゃないの?マスター」
「君達過激だね・・・まあ、四肢欠損は置いといて、もしも俺の身内、友達に手を出すようなら潰しにかかる。ただ、法治国家な以上、あまりに凄惨には出来ない。その時は俺一人じゃ無理だ。力を貸してくれ」
「勿論」
「勿論にございます」
「マスターの御心のままに」
「了解」
今ここに日本という国を一夜にしてアトランティスのように沈められる5人の化け物が結託したのだった。
拙い文章のこの小説を読んでいただけている事に本当に嬉しく思います。
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!




