3話:帰還した勇者は全国で戦えるのかもしれない
ゲームが楽しい今日この頃
6限にある体育程やるきの出ないものはない。それに・・・
「はい。それでは始めまーす。えーではチーム分けするんで男女3ずつで組んでもらえるか」
仕方ねえ、朝頼まれちまったし東雲んとこに行くか。そうとなりゃ頼れる友達を誘わねえと
「おーい。颯斗、煉牙やろうぜ」
「おっけー」
「構わないけど、女子はどうすんの?」
「それは俺に策があるから付いてきな(キリッ)」
颯斗ともう一人、いかにも根暗なオタクにしか見えないこいつは後藤 煉牙。実は高スペックな頼れる良い奴。
さてさて、肝心の東雲さんは・・・
「バレー部の俺達と組まねえ?」 「是非、俺達と」 「東雲さん。僕達とお願いします!」
あーあ。大人気なこって。まあ、あの整った容姿、良家のお嬢様とくれば引く手あまただろうな。ま、今回は約束果たす為にもあの中に突っ込んでくとするか。
「よお、東雲。俺達と組もうぜ。」
颯斗も煉牙も少し驚いていた。そりゃそうだ。俺が東雲を苦手に思っている事を知ってるからな。
「あ、うん。桐生くん宜しくね」
たくよ、東雲も少しくらい周り見たらどうかね。そこのバレー部の男子がめっちゃ睨んできてるんだが。東雲を誘うって時点で男子から標的にされるのは目に見えてたから別に大丈夫なんだが、この状況に俺を立たせるのがあいつの策略だと普段の態度から拭えない疑惑なんだよな。
「おい待て。先に声をかけたのは俺達だ。勝手に彼女を連れていくのはやめろ桐生」
「ほお。言うねえ。まるで自分達が選ばれて当然みたいな態度だな。お前さなんか勘違いしてねえか?俺に声かけられるまで決めかねてて俺は即決だったって事実だけで勝手にって言葉はお門違いだぜ」
「それでも、俺達にもまだ権利はあるはずだ」
「日本語くらい正しく理解しなさいよ脳筋。あ、それとも日本語分からねえのか」
「ちょ、おま」 「蒼矢?」 「桐生くん?」
「てめえ、捻り潰されてえのか?この場で恥晒してやっても良いんだぞ」
「クククッ」
「なにがおかしい!!」
「いやいや、口上戦で負けた終いにはスポーツマンシップをゴミ箱に捨てちまうなんてな。おかしい所しか無いだろ」
と、そこへ
「いやー、青春って良いねー。おじさんはもう女の子取りあうなんてしないから見てて微笑ましいよ。正論を受け入れられない小さい器の男子と何でかは知らないけどめっちゃ煽る男子じゃ埒が明かないよ。てなわけで授業の最初としてエキシビションマッチを急遽やろうかね。ルールは15点先取で勝ち。デュースは無し。みんなも見たいだろ。上手い奴らの戦いをさ。君たちもそれで良いね?」
「俺はそれで良いです」
「俺も異議無しっす」
やべー、俺この人尊敬しそう。一番いい形で纏めてくれたんじゃねえか。ただ、同時に一つ気になる。始まる前に聞いとくか。
「先生、先程上手い奴らって言いましたよね?自惚れじゃないんですがその中には帰宅部の俺も含まれてますよね?なんで上手いなんて思ったんです?」
「単純だよ。君が仮にもバレー部を相手に怖気づいてないからさ。僕も彼のやり方は嫌いだ。姫を救う王子様になってこい」
「ただの空元気かもしれませんがね。てか、案外ロマンチストなんすね。とりま頑張ってきます」
コートに立つと名前すら覚えてねえバレーの奴が
「おまえみたいなカスは本気でやってやる価値もねえ。ラブゲームにしてやるよ」
「確かになー。授業以外でやった事無いんでどこまで出来るかは正直分からねえけど、その言葉そのままそっくり返してやるよ」
ここで引くわけにはいかねえ。異世界の王女様にも守りたいと思った人や物は守り切るのがカッコいい男性だなんて言われたし。約束を守る努力はしないとな。
「つうわけで颯斗、煉牙。少しだけ力貸してくれ。後でスポドリ奢ってやるから」
「良いぜ。本気で何かやる蒼矢は珍しいしな。」 「僕もウォーミングアップだと思って頑張る事にするよ」
ちょうどいい機会だ。異世界では戦うたびに魔法フル活用だったし魔法無しで俺の身体能力がどんなもんなのか確かめるとするか。
「それじゃ、プレイボール!」
掛け声とともにサーブが打ち込まれる。そして俺は違和感を感じた。
(あれ?バレー部のレギュラーってこんな遅い球しか打てねえのか?なんだよ。折角楽しめると思ったのに)
だが颯斗と煉牙は
「おい、嘘だろ」 「こんなに早いのか」
ギャラリーのクラスメイトも
「やっぱバレー部ってすげー」 「こんな早いのかよ。あいつカッコつけたけど大丈夫か」
「かっこいい!」
そして後ろの2人が取れず先制された。
「へぇ。こんなもんか。おい。颯斗、煉牙。お前ら前頼む。後ろは俺に任せろ」
「あ、悪い。蒼矢」 「ごめんね。じゃあ、頼んだよ」
「あー、そうじゃねえ。俺はあれ取れるってのが分かったから」
言い方間違えたまずい。責めるつもりは無かったんだ。2人ともすまん。
そして2投目。コートの端を狙ってきたか。あれは入るな。コントロール力の高さは流石って所か。ま、取れないわけがねえけど。
「おい、颯斗。そっちに飛ばすぞ」
「おーけーだ」
レシーブした球を丁度真ん中あたりに持ってくる。流石颯斗だぜ。
「煉牙行けるか?」
「蒼矢のスパイク見たいから譲るよ」
「任せとき」
イニットで計算して地面が凹まないレベルで打ってみるか。何事もやってみよう。
「そーらよっと」
そして少しの静寂。次に口を開いたのは颯斗と煉牙だった。
「お前、、、今何した?」 「え?スパイク、、、だよね?」
そしてバレー部の奴はというと
「嘘・・・だろ?見えなかった。完敗だ。これ以上やっても勝てねえ。先生。降参します」
「ん?諦めるのか。まあしゃーねえわな。俺もまともに見えなかったし。なんかあっけなかったが、まだチーム組めてない奴らは早く組め。授業に戻すぞ」
そして組み終わり、チャイムが鳴る。
「そんじゃ終わりだな。教室に帰ったらすぐ着替えるように。そんじゃ解散」
こうして帰還一日目の学校は終わりを告げる。




