↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/120

17話:戦闘2,3日目の記録

今回は少し長いです。

今日は数学Ⅰ、Aと国語だ。


どっちも問題は無いが文理両方というのはなかなか疲れるものだ。


今日も今日とて勉強したかどうかの駆け引き合戦は行われている。


だが昨日と違う点をあげるとすれば昨日よりもみんな余裕がありそうな顔をしているのだ。


地理という難関を経験した彼らにとって、ドリルの解き方、先生が授業中に書いた板書を覚えるだけで解ける数学はとってもイージーモードに思えていた。国語も地理と同じく暗記教科ではあれど、問題が馬鹿難しいとは到底考えられないので緊張が無いのだ。


まあ、これが後のテスト返却で痛い目を見る生徒の誕生に一役買うのだろうが・・・


蒼矢も真面目に数学のドリルを復習している。クラスには煉牙が来てはいるが両者共に干渉もせず真剣だ。


途中、窓の外から視線を感じてはいたが、数学で満点を取れないと学年3位は危ういから気にしていなかった。


そしてテストは始まる。


数学のテストは攻略に必要とされる武器(公式や考え方)が自分にどれだけ装備されているかの勝負となる。


そして、この数Ⅰのテスト最難関にして最終問題は証明だ。


まだ1回目のテストだからそんなに難しくはなかったが、それでも教科書を始めとした教材をきちんと覚えていないと出来ない証明問題だった。


そして2時間目、数A。


こちらは確率が主なテーマだ。


蒼矢には瞬時に確率を求める方法があるが今回は勉強の成果もあってか使わずに済んだ。しかし、一個の計算ミスが答えを狂わせる世界。見直しは必要。念入りな見直しの末に戦い抜いた。


3時間目、国語。


主に現代文を中心に展開されるこの戦場を突破するために蒼矢はある対策法を考えていた。それは、『自分がその話の登場人物になりきる』である。


傍から見れば冷静に文章を見つめているようだが、彼の脳内では即興寸劇が繰り広げられていた。


「なあ、直子。本当に・・・行っちまうのか?」


「何度も言わせないで!私には夢があるの!でもあなたはそれを応援してくれないじゃない!」


「それは・・・」


この時次の主人公が言うべき言葉・・・どれだ?俺なら・・・俺なら・・・あークソ分からん!!周りの女性たちに疲れててろくに恋愛感情なんて持ってこなかったのが失敗だった。向こうの世界ではモテるやつは強さがあって実績がある。端的に言えばこれがモテる要素だった。だが、こっちの世界の女性はどういう所を見せれば惚れやすいのかなんて知らない。恐らくそれをこの後ろに台詞として入れてあげれば良いんだろう・・・考えろ・・・考えるんだ俺。


とりあえず周りの女子たちに同じシチュで声をかけるとしたらを考える。東雲は多分あっさりさようならって言っちゃうから論外、伊藤はまずこんな夢の為とは言えどっかへ一人旅立つシチュエーションが想像出来ない。姉貴は・・・逆に一人でどこへでも行きそうな気がする。香坂が一番ありそうだ。あいつになら・・・俺にも夢はあるんだ。俺もそれは譲れないになるかな。あ、選択肢に無い。ダメだこりゃ。


俺ってやっぱり女性運無いせいでこんな交友関係しか築けなかったのかな。ダメだ。この問題は諦めようか。ん?諦める?このシーンは諦めない言葉が正解だ。選択肢は4つ。諦める系の1は除外。3はまず文脈に合っていない。とすると2か4だ。2は「それでも俺はお前と一緒にいたい」4は「俺にも夢がある。夢が叶ったら会いに行くからその時までに叶えといてくれ」こうなったら・・・よし勘だ。適当に2だ!これは貰ったな。


ここで悲しい事実をお知らせしよう。その先の話では直子があんたみたいな優柔不断な奴とはやっていけないとフッてしまうのだ。なので答えは2なのだが、こんな適当な答えでも当たってしまうのがテストの怖いところである。


そして3日目。テスト期間の最終日。この日は世界史、生物、日本史だ。完全暗記科目を最終日に持ってくるこの高校はやり手のような気がする。脳の疲労がピークに達している俺達への追い打ちだ。だが、だがしかし!ここで諦めては学年3位は夢のまた夢。大丈夫。俺は7年も文の交渉と武の戦闘面の両方で戦ってきた。華麗に完璧なフィニッシュを決めてこそ桐生蒼矢だろう。


世界史は簡単だった。生物もうろ覚えではキツイだろうが、初日に魔法に頼ってしまった以上もう使ってはいけないと全力で覚えてきた。だから大丈夫。全部解けた。


そして・・・


「そんじゃ最後だな。お前ら頑張れよ」


日本史の降臨である。今回は古代(旧石器~大和朝廷)が範囲だ。正直興味がほとんど湧かなかったので無理やりにでも興味を出すために遺跡をはしごして行った先で「ここに住んでいた人々よ、貴方たちの住んでいたこの場所はどうして滅びたんだい?」と周りに人がいない事を確認してから呟くことで浪漫を感じるという手法でモチベーションを保っていた。


その結果と思いたいが今の俺は某通信教育の漫画みたいに「分かる、、、分かるぞ!問題がまるで○○のようだ!!」というアドレナリンがおかしい状態になっている。


そして終戦の時が来た。


「そこまで。筆記用具を置いてくれ。回収しに行くから」


皆の口から安堵の溜息が聞こえる。俺も背もたれに体重を預ける。程なくして燐子先生が入ってくる。俺は上位に食い込むのは確定だろうと思っているのでもう呼ぶことにした。


「みんなお疲れだったな。そんじゃ明日からのスケジュールだが、明日は採点の為休みだ。だが、簡単なレポートは書いてきてもらうから明後日の登校までにやってくるように。今年は諸事情で体育祭は中止だが、その代わりにクラスで代表者5名をそれぞれ選出しバドミントン、テニスのシングルスを種目とした簡易な球技大会を行う事になった。得意な奴は立候補を考えといてくれ。金曜のHRの時に決める。他に質問が無ければレポート用紙を受け取って解散だ」


レポート用紙を受け取ってから東雲と合流する。


「そんじゃ帰るか」


「そうね」


テストの事とか明日はネトゲ三昧とか言って本当に学年3位なんて取れてるのかしらと馬鹿にされながら歩く。


そして駅の辺りまで来ると


「あら?亜矢じゃない。帰りかしら?」


声をかけられる。亜矢って事は東雲の知り合いか?


「母上。今帰るところですが、何故このような所に?」


「そこのパン屋さんの味が好きでね。買いに来ちゃったの。ついでに散歩も兼ねてね」


は?母上?どうみてもお姉さんにしか見えないのだが?あの、うちの姉貴あげますんで代わりに僕の姉として


「桐生君?なんだかくだらない事考えてるでしょ」


「ん?いや、別に。それよりも、初めまして。桐生蒼矢と申します」


「あら、ご丁寧にありがとう。亜矢の母親の綾菜です」


姫さんには負けるがその胸囲は驚異の感情を覚える程だった。そしてこの若々しさ、見れば分かる。額の辺りは化粧ほぼ無しでこのハリツヤ。恐るべし。


「よく亜矢から話は聞いています。しつこく言い寄る男子から守ってもらったそうで。ありがとうね」


「感謝していただけるような事でも無いですよ。私も気軽に話せる女子は東雲さんともう一人しかいないので私も狙っていただけです」


「あら、そうだったの。亜矢も格好良かったと頬を赤らめて言っていたので満更でも無かったようですよ?」


「ちょっと!?そんな事」


「え?でも事実だったじゃない」


そうして秘密をバラしかけた母親と仲良く話し始める。なんか俺邪魔だよな。女性の空間に男性は不要だとかつて学んでいる。ここは帰るとするか。


「それじゃ、僕はこの辺で。買いたい新刊もあるので」


「あ、そうなの。またお話しましょうね」


「はい、その時は喜んで。では失礼いたします」


そうしてホームへと向かう。さて、見えなくなった所で聴力強化を使うとするか。


「お母さん。本っ当にあんなこと言わないでよ。打合せにも無かったじゃない!」


「あははは。普段敬語が抜けないのに思わず素になっちゃったわね。これからも素の亜矢でいてくれると嬉しいわ」


「はぁ~。まあ良いか。それで、お母さんには桐生君はどう見えたの?」


「そうね、まず第一に何故だか知らないけど彼は引き際を心得ているわ。それから私を見て全く視線が左右に逸れなかったのも気にかかる点ね」


「どうして?」


「自慢では無いけれど、今通り過ぎた人は私をずっと見てたでしょ?自分が男性からすると情欲を掻き立てる存在なのは把握しているわ。だからこそ不思議なのよ。何故彼は私に向ける視線が平然としてられるのか。思春期の男の子としては異常ね。そしてこれは亜矢、あなたが彼を狙う上で最大の障害よ」


「なんでそんな事も言えるの?」


「亜矢。落ち着いて聞いてね。彼が貴女に抱く感情は何も無かったの。いや、何も無かったは少し違うかしら。ただの友達で終わっていたわ。つまりね、今の貴女の容姿も抜群のスタイルも何も意味を成さないから本当に手強い相手よ。貴女の容姿に何も思わないなんて何か彼にしたんじゃない?」


「何かって・・・」


「それは私には分からない。だからこそ、他の彼と関わりのある女子生徒を観察するのよ。そうすれば、亜矢に興味が無いのか、同級生の女の子に興味が無いのか分かるわ」


ここまで聞いて俺は聞くのをやめて帰路につく。この会話からするにあいつが・・・親が出張るくらいなんだ。真実だろう。


だが、これを聞いても俺の心は冷静に波風も立たなかった。






心底面倒くさそうなことになっていると感じただけだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。