100話:似た者親子
祝!100話達成!
だからと言ってこれという物は無いんですけど・・・
これからも引き続きよろしくお願いいたします。
時刻は8時30分過ぎ。母さん達には友達の家行ってくるとだけ伝えてきた。
ま、実際は父親の家に来たんだが。
とりあえずでインターホンを鳴らす。
「お、来たか」
そんな声が聞こえてドアが開く。
「休みぶりだね」
「だな。まあ良いや、上がれよ」
対面するように座る。しかし驚いた。父さんからはそんな猛者っぽい何かは感じなかったから。
「蒼矢、音遮断出来るか?」
「ああ、出来るよ」
「頼んだ」
外部に声が漏れないようにする。
「さーてと、まさか親子そろって異世界組とはな。蒼矢はどんな風に生きたんだ?」
「俺?俺は・・・」
無限の魔力を持っていて、魔王を倒さずに平和を実現してきた事。大切な人を失ったこと、好きな人が出来た事、色々話した。30分以上。
「お前は・・・そうか。目の前で失いたくない人を失ったのか。辛かったな。でも、なんだか割り切ってねえか?」
「いや、割り切れてなんかないよ」
「そか・・・ま、割り切るつっても、忘れて良いわけじゃない。ちゃんと心の中には留めておいて、それでも前を向く。それがその人の生きた証を残しながら出来る最大の供養さ。そういう点ではお前は強いかもしんない。女にフラれてもすぐ立ち直れそうだ」
「ガチで好きな人なら結構落ち込むと思うけどな。ま、彼女なんざ作る気はないから当面は杞憂に終わると思うぜ?」
「そんな悲しい事言うなよ。高校とか大学のうちだけだぜ?毎日のようにイチャイチャ出来んの。そういう時に女の悦ばせ方ってのは学んどく方が後々良いと思うけどな」
「息子にそんな遊び人になってほしいとは驚きだわ」
「ま、お前は昔女の子にこっぴどくやられたしな。焦らなくてもいいけど、いつまでも女はいらないだと許してくれないぜ?世間様の目ってのは」
「面倒ったらありゃしねえな。それで?親父はどんな旅してきたんだよ」
「俺か。俺は、パーティーの中でも目立たないポジションだった。俺にはただ一つ、不屈の精神ってのしかなくてな。どんなピンチの時にもどうにかしようとする姿勢に長けているなんてスキルだったからほとんど役に立たなかった。でもまあ体術だけはお陰様で出来るようになったから帰ってきてからは強かったのなんのって話。お前、体術出来んのか?」
「体術も剣も向こうではトップクラスだった」
「かぁ~、羨ましいねぇ~チートじゃねえか。でもま、その力を守るために使うってんなら俺からはなんも言わねえ。それと・・・何か危ない事に首ツッコんだら相談しろよ?母さんにはどうにも出来なくても俺ならどうにかなるかもだからな」
「なんで俺がそうなるって思うんだ?」
「ん?同じ境遇の父親と息子。とる行動なんざ手に取るように分かるよ。・・・お前なら気付いてたんだろ?あの大江山にヤバいのがいるって」
「ヤバいの?あー、友になったから平気だ」
「俺の想像を越えやがる。その友がお前を呼んでる気がする。帰りに顔くらい見せていけ」
「ああ、そうするよ」
そのままの足で伊吹に会いに来た。
「いるか?」
「いるよ。久しぶりだね」
そこにはあの時と変わらないイケメンが立っていた。
「さてさて、蒼矢君。君はとんでもない事をしたようだね」
「何か悪いか?」
「いや、凄いなと思うだけさ。そこまで危険を顧みない、悪い言い方をすれば自分の命を無駄にしようとしているようにしか見えないんだ。大人になるとそんな無鉄砲な事は出来ないからそう否定的になってるのかもしれないけどね」
「別に助けたいから助けただけさ。それを否定してくるんだから警察ってのは流石だなってね」
「アッハッハ、皮肉だね?僕が君に言いたいことはただ一つだ。占いで出たんだよ、君の近くに黒い星がいるのがね。注意しなよ?そいつはどうやら・・・既に君に目を付けているかもしれない」
「思い当たる節があるんだよなー。忠告ありがとな。この一件終わったらまた顔見せに来るよ」
「うん、待ってるよ。気を付けてね」
時刻はもう10時。ここから飛ばして20分もかからない。早急に帰ろう。
「ただいま」
「おかえりなさい。それで?どこ行ってたの?」
「・・・バレてます?」
「当たり前よ。お友達と遊びに行ってそんなに何か抱えてそうな顔して帰ってくるなんておかしいもの」
「もうちょいポーカーフェイス練習しないと・・・姉貴起きてる?」
「起きてるわ?何か話?」
「ああ、詩歌にも伝えるべきだから少しだけ時間を貰いたいんだ」
「え?石橋先生が危ない人?」
「やっぱりね。だと思った」
「え?何?何があったの?」
「今日さ、救急車来てたじゃん」
「うん」
「あれうちのクラスの男子でね、剣道の終了時に突然呼吸困難になったんだよ」
「そうだったの・・・知らなかった」
「わざわざ話すって事はもうなぜかは見当ついたのね」
「ああ、あの短時間で俺が治せた時点でこれしかない」
「ん?治した?」
「うん。どうしたの?姉貴」
「いや・・・そうよね。蒼矢は異世界行ってるもんね。ナンモオカシクナイヨネ」
「あー、混乱させて悪い。簡単に言えば金縛りだ」
「金縛り?」
「ああ、間違いないよ。幕末に名前だけは出るその技は、多対一最強とされた暗示術。その名を」
[秘伝・操躯の術]
「これしか無いと見ているよ」
「聞いたことだけはあるわ。自分より弱い人ほどかかりやすいって。」
「ああ、この技の恐ろしい所は一度かかればまず解く事は不可能。解くにはそいつより強い奴の発する剣気を当てることでしか解けないとかいう強くかかりすぎたらあっさり死ねる技だ。今の学校だと俺と詩歌はかからないかな。相楽と堂本も・・・いや微妙だな。強くやられたらかかるかもしんない」
「石橋先生ってそんなに強いの?」
「ああ、あれだけの強さなら異世界に飛ばされても即日冒険者としてやってけるレベルには強い。俺の敵じゃないけど・・・普通に考えて恐怖だ」
「優しそうな人なのに・・・」
「優しそうに見えるその姿が本当かは別問題だろ?俺の経験則上、優しそうな高い地位の人は9割以上が腹黒いぜ」
「ほとんどか」
「まあイケメンな方だし姉貴が狙いたいってなら止めはしないが俺からすれば素手でどうにかできるレベルの強さが無いならあまり関わらないほうが良いぜ。あいつは・・・ヤバいにおいがする」
「ね、狙うって・・・まあ確かにカッコいいけどでも・・・」
「ていうかさ?なら蒼矢が強くすればいいじゃん」
「俺?」
「うん。蒼矢が育てればお姉さんも1ヶ月あれば少なくとも軽いレベルならかからないでしょ」
「・・・あのな?0を1にするのと1を5にするのでは難易度が違いすぎる。ちょっと二の腕触ってみろよ。バレーボールやってるとは言えだぞ」
「ふむ、、、じゃあ失礼して」
「へ?ちょ!」
「おー・・・柔らかい・・・良い揉み心地ですな」
「だろ?それを剣に耐えられるレベルだなんて・・・放課後は全部剣の時間になるぜ?」
「あ、でも剣教えてくれるならありがたいかも」
「え?なんで?」
「2年も剣道やるから」
「・・・・・・・・あれ?これノーって選択肢消えてない?」
そう言って盛り上がっている所で割り込みが入る。
「ところでさ?剣なんてどこでやるのよ。ウチじゃ無理よ?」
「・・・どうしましょう」
「リンから貰ったあの空間使えば良くね?」
「え?使えるの?」
「ああ、給水場とかいろいろ整備しとくからやるか?尚、俺の秘密を知るもののみに限る」
「秘密って言うほど隠せてないよね」
「そうね。何せこの家だとお父さん以外全員知ってるし」
「父さんも知ってる・・・あ!!」
自分の失言に気付いた。詩歌も呆れてる。
「え?いつの間に教えたの?」
「あ、いやその・・・電話で」
「・・・嘘ね」
「嘘だね」
「嘘下手だね」
「・・・実はさっき父さん家に行ってきたんです・・・それ伝えに」
「・・・は?あんた、、え?こっから何百キロと離れてるのよ?」
「まあそれは・・ほら・・・魔法あるし?余裕余裕」
「・・・うちの息子・・・大丈夫かしら」
「まあ、こんな強い人から教われるんだから良いって事に私はするわ」
「蒼矢のその詰めの甘さが怖いよ・・・」
何故だろう・・・心配していたはずなのに心配されてしまった。
あ、この後ある時を境に蒼矢君がまた暴走し始めますのでご期待ください。
(え?もうしてる?)




