曰く、其の少年は5000年駆けて街へゆく

　どうやら、長生きしすぎた人間は化け物と大差ないようで。
　17歳の少年、館大介（やかた・だいすけ）は幼少期から不治の病におかされていた。若くして「あとはもう神頼みしかすることがない」と悟った彼は、毎日のように神様に病の回復を祈りつづる。その甲斐あらず、死にぎわに「もっと長く生きたかった」との想いを遺して、静かに目を閉じた。そして、暖かい光に誘われ目を開けると、そこは鬱蒼たる森の中。見渡せば、見たことも聞いたこともない巨大な草木が生いしげっている。とつぜん、脳内に語りかけてきた守護天使の話によれば、なんとここは異世界！？　なになに……毎日祈りつづけたおかげで転生できた！？　しかも、不老不死！？　「いや長生きしたいと願ったけれども！　それはやり過ぎだろ！」しかし、そんな喜びも束の間、襲いかかってくるこれまた巨大な怪物たち。刹那、大介の戦いに明けくれる日々がはじまった。「死なないけど、死にたくない！……死ぬのはイヤだ絶対に！！！」後悔をのこして死んでいった前世の自分と同胞の無念を知るからこそ、大介は不老不死でも死にたくない！！！　そして、月日は5000年が経過した頃、ようやく森を抜けた大介は……心身ともに極限まで鍛えあげられていた……！
　これは、平穏で豊かで健康的なスクールライフを夢見る少年、大介（御年5017歳）とその仲間たちの物語。