反省とお客さん
書き足し終わりました!
今、ぼくとガットさんはジックに武器を没収されて、別々の結界の中で正座になって閉じ込められている。リュウタはジックの横で飛んでいて、目の前にはジックが仁王立ちで立っている。
「これを見ろ!一体どうしたらこんな風になるんだぁ?ちゃんと説明してくれるんだろうなぁ!」
裏庭はガットさんの攻撃で壁が破壊されて、地面は穴だらけ、木が燃やされて辺りがめちゃくちゃになっていた。
「ガァー!誰だ俺の家を壊した奴は!グハァ!」
ガットさんが入っている結界が押し潰される。
「テメェだろうが!ふざけてんのか!潰す!」
「痛だだだぁーーー!!!」
「ガ、ガットさん!」
「竜が俺の頭を叩いて起こすから見たらいきなり壁が爆発して、飯が台無しになっただろうがぁ!どうしてくれるんだぁ!てかテメェのせいで寝込んだんだぞ!食べ物の恨みは恐ろしいからな、覚悟しろ!ゴラァ!!」
ジックがキレてる。食べ物の恨みは恐ろしいな。気を付けよう。
「いや~。楽しくってつい本気になっちまったんだ。ガハハハ!ガッハァ!」
「ガ、ガットさん!」
ジックは無言で更に結界を押し潰していく。
「分かった!分かった!俺が悪かったから、だから結界を緩めてくれ!死ぬ、死ぬ!」
「チィ」
結界が元の大きさに戻った。ガットさんは助かった。
するとジックがぼくの方を向いた。
「んで、テメェは何でこんな風になるまで止めなかったんだ?え?」
普通なら結界を簡単に壊せる筈なのに何故か壊れない。というかジックが怖くて壊せられない。
「えーと。ガットさんに冒険者の教育で一撃当ててみろって言われて。火の玉からずっと逃げていたら、なんだか段々逃げる事が楽しくなっちゃって・・・」
ジックの顔は笑っているが、怒っている。めっちゃ怒っている。
「ほー。要するにテメェはコイツを挑発して楽しんでいたという訳か・・・同罪だ!潰れろ!」
ぼくの入っている結界が潰れていく。潰れる!
「ギャー!!!」
するとジックの後ろにあったガットさんの大剣から炎が巻き上がり火の玉が出てきてジックに攻撃した。ジックは結界を張って攻撃を防ぐ。リュウタはもブレスで火の玉を吹き飛ばす。
大剣が勝手に動いて、ぼくが入っている結界にぶっ刺さって破壊した。そして大剣から火の玉が出てきてぼくの膝の上に飛び付いてきた。
一瞬燃える!と思ったけど燃えてない?あれ、暖かい?
火の玉を見ると目が合った。手や足がある。なんだか妖怪◯ッチに出て来るジ◯ニャンみたいだ。
なんだこれ?妖怪?
「ウィルス!助けてくれ!」
ガットさんが火の玉妖怪を呼んでいる。
「君、ウィルス君って言うの?」
すると頭の炎が激しく燃えて嬉しそうにスリスリしてくる。めちゃなつかれている。
「ワハハハ!止めてよ、くすぐったい!ワハハハ!」
「珍しいな精霊か」
精霊?この子が?・・・ところで精霊ってなんだ?妖怪じゃないの?どう違うんだ?
「そうだ!ウィルスは俺が四十年間一緒に戦ってきた相棒にして中級の火の精霊だ!」
「その割には全然助けてくれてねーじゃないかよ」
「頼む相棒!助けてくれ!何でレンだけ助けて、俺は助けてくれないんだ!レン、お前ウィルスに何をしたんだ!」
そんな事言われても・・・ぼくが知りたいよ。
「ほら、ガットさんが呼んでるよ。助けてあげて」
火の玉妖怪ことウィルス君は首を横に振って喋った。
「ガット、ワルイ。ハンセイ、ヒツヨウ」
「ウィルス~~」
ガットさんが泣いた。
ごめんなさいガットさん。助ける事が出来ないぼくを許して下さい。
するとウィルス君がぼくの手を噛んできた。
「オマエノホノオ、ウマイ。モット、タベタイ」
痛くないけどくすぐったい!
「ワハハハ!分かった、分かったから!はい"ファイヤーボール"」
ドッチボール位の大きさのファイヤーボールを出すと、ウィルス君は美味しそうに食べる。
「ウマイ、ウマイ」
どうしてなつくんだ?そういえば、いつぼくのファイヤーボールを食べたんだ?あっ!もしかして!
「もしかしてウィルス君って、ぼくがガットさんにファイヤーボールで攻撃した時の大剣で食べた?」
「ウン。ガットヨリ、ウマカッタ」
「ウィルス~~~!」
ガットさんは十分に反省して。ジックに出してもらった。そしてガットさんとウィルス君は裏庭の掃除。ジックとリュウタは穴の空いた二階の壁と部屋の掃除。ぼくは皆のお昼ご飯を作る。
今日は迷惑をかけてしまったので、肉を大量に使った豪華な料理にした。
よし、あとはお皿に盛るだけ!
するとガットさんと同じ位の歳の男性が来た。一人が金髪で整った髭を生やした気品のあるオーラを放つ人と青髪に少し白髪が混じったガッシリした体型の人だ。すると青髪の人が話かけてきた。
「よう、ガットは居るか?居たら呼んで来てくれないか、大事な話があるんだ」
「分かりました」
ガットさんの友達かな?まあいいや。
裏庭に行く。
「ガットさん。お客さんが来てますよ。何か大事な話があるって言ってます」
「分かった、今行く。相棒悪いが用事ができた。後は任せたぞ」
「ウゥ~!ガット、ズルイ!」
ガットさんは逃げるように裏庭の掃除をウィルス君に押し付けてお店に入って行った。
「よう、ヘンリー、レイスお前らどうした?俺に何のようだ?」
「ガット、なに風の噂でお前の店に飛びきり上手い酒があるって聞いたから来たんだよ。後あれだ」
「おお、分かった。レン悪いが少しの間上に行ってくれないか」
「ガットさん昼ご飯持って行っていいですか?腹ペコ二人が待っているので」
「おお、いいぜ」
「わーい!ありがとう!お昼ご飯ガットさんのおかわり分もあるから!じゃあね!」
ぼくとリュウタとジックの分の昼ご飯を二階に持って行く。
お店には三人になって席に着く。ガットが話出した。
「で、酒が目的で来たんじゃないんだろう二人共。本当は何しに来たんだ?」
「いつもの相談だよ」
「あの話か」
「ええ、ここ一年で子供の数が激減している。我々も出来る限りの権力を使って見習い冒険者制度を創ったり、見回りをしているが・・・行方不明が後を絶たない。一体どうなっているんだか分からない」
「お前んとこの新しい見習いか?」
「おお、そうだ。それがどうした?」
「初めて見る顔だったんで気になっただけだ。その見習いは大丈夫か?行方不明になったら直ぐに言ってくれ」
「それなら大丈夫だ!さっきまで戦ったが、強かったぞ!ガハハハ!」
「だからお前服が汚れていたのか」
「それによ、聞いてくれよ二人共・・・俺の相棒のウィルスが・・・ウィルスが・・・俺よりもレンになついてベッタリなんだよ!どおしてなんだ!うおぉぉ!俺を慰めてくれ!」
「泣くな気持ち悪い!離れろ!」
「それにしても珍しいですね。契約者以外の者には姿さえ見せないというのに。精霊は気まぐれでしかも邪悪な心の者に敏感で攻撃をする。逆に清らかな者には憑いてしまう精霊特有の性質ですからね。こればっかりは仕方ありません」
「うぅ」
「それにしてもガットと戦って大丈夫なのか?そのレンっていう見習いは」
「レンは凄いぞ!俺とウィルスを相手に互角で戦ったんだぜ!ガハハハ!」
「はぁ?!お前と互角って!お前は元A級冒険者だろうが!嘘をつくな!」
「そんな事言われても本当の事だ」
「怪しいですね。だが精霊がなついているという事は悪い者ではない・・・。他に隠している事や変な所とかありますか?」
「変な所?う~ん?そうだ!料理が旨いんだよ!」
「りょ、料理?」
「そうなんだよ!変わった料理を作るんだが、めちゃくちゃ旨いんだ!お前ら食ってけよ!酒も出すぜ!ガハハハ!」
「まあ、一応食ってみるか」
「そうですね」
ガットはキッチンから料理を二人に出す。
「見たことない料理ですね」
「それじゃあ、いただきます」
二人がレンの料理を食べる。
「うう、う、うっめぇー!」
「確かに美味です!」
「だろ!」
二人はペロッと食べてしまった。
「ふー。旨かった!」
「ご馳走様です」
「ほら、酒がまだだぞ。飲め飲め!ガハハハ!」
「エールではなくワインですか」
「俺あんまりワイン好きじゃないだが。本当に飛びきり上手いのか?」
二人がワインを飲む。すると一口飲んだ瞬間、固まった。
「っ!」
「うっ!」
二人はグラスを置いて、顔をテーブルに向けて深くタメ息をついた。
「お、お前どうした!ワインが、ま、不味かったか。すまん違う酒を出す!」
「違うんだガット・・・お前は本当に酷い奴だ」
「ええ、本当に酷い。なんでこんなに美味いワインを私達に教えてくれなかったんですか!」
二人のおじさんがガットを責める。
「そんな事言われても、俺も昨日飲んだんだ。お前達が初めて客でワインを出したんだ。文句を言うなよ」
「どこで買ったん!教えろ!」
「分かった!分かったから!揺らすな!えーと、たしかレンが言ってた・・・サリーだ、スラム街のサリー商会だ!そこでワインが売っている!」
「あのババアの?」
「それを本人の前で言ったら殺されますよレイス」
「おっと、つい口が滑った。悪い悪い。見た目より年食ってるんだよなあの女」
「それは種族が違うので仕方ありませんよ」
「それじゃあガット。ちょっと用事ができたんで帰るわ」
「もう行くのか?今後の方針やレンの事はいいのか?」
「ああ、ワインが無くなる前に買いに行くんでな!じゃあなガット!」
「料理とワインありがとうございます」
二人のおじさんは店を出て行った。
「あの仕事に真面目な二人が相談を放って酒を買いに行くなんて珍しいな。まあいいや、俺も飯を食おう」
* * *
『アヒルの宿』を出たおじさん二人はサリー商会に向かう。
「いや~。美味かった!あんなに美味い料理は久しぶりだ」
「そうですね。私も仕事が忙しく、ちゃんとした食事を食べていなかったので、本当に美味でした」
「たまにガットの立場が羨ましいぜ」
「私も思う時はあります。あまり人の来ない宿屋に一日中ダラダラ過ごしたいものです。しかし残念ながら我々には重要な責務がありますからねぇ、ギルドマスター殿」
「そう言うお前だって王国聖騎士長様じゃあねーか」
「王国聖騎士長と言ってもただのお飾りですよ。今は若者の指導を中心をしていますが、最近の若者の向上心がなくて困っています。貴方の所はどうなんですか?」
「俺の所も同じだ。直ぐにバテるは弱音を吐くは、根性なしばっかりなんだ」
「そういえば、貴方のギルドの冒険者がポイズンタイガーを倒したと聞きましたが本当ですか?」
「あぁ、『荒野の月』っていうC級冒険者パーティーが倒したんだが、変なんだ」
「変?どういう意味ですか?C級冒険者がAランクの魔物に勝ったんですよ。大金星じゃありませんか。どうしたんですかそんな顔をして、ギルドマスターとして喜ばしい事ですよ」
「それが本当なら確かに嬉しいが・・・何故か毛皮と魔石がない状態でしかも内臓や骨が分けられていたんだ」
「それは奇妙ですね」
「だろ。それにポイズンタイガーは猛毒で、専用の道具がなけりゃ触ることも出来ない筈なんだが、もっと可笑しい事に毒袋以外はキレイに浄化されていたんだ。俺も流石に聞いたんだが、あいつら明らかな嘘をついて『倒した』の一点張りで全然口を割ろうとしなかったんだ。今回はポイズンタイガーを倒したという事にしてオオメに見る事にした」
「恐らく何らかの事情があるのでしょう。しかし、倒した者が何者なのか気になりますね」
「わからん。だが話を聞く限りでは集団ではなく、少数精鋭だろう。冒険者でいうランクのA級もしくはS級に相当する実力者だな」
「今後、その事について国王様に報告しないといけませんね」
* * *
『アヒルの宿』の二階で昼ご飯を食べているレン達。
「へ、へ、へっくしゅん!!!」
「うお!飯にかけるな!汚ねーな!」
「ごめん、ごめん!グス。誰かぼくの噂でもしてるのかな?・・・いや気のせいだよね」
ありがとうございます(о´∀`о)ノ




