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アドミラル~魔法艦隊の艦長に転職したら、彼女(提督)ができました~  作者: 九重七六八
第1章 パンティオン・ジャッジ ~魔法王国メイフィア編
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決戦!第1魔法艦隊~サンビンセンテ空戦(弐)

ついに第1魔法艦隊が動く。その報を聞いた主人公は、どういう作戦を取る?手に汗握る、艦隊戦が今、幕を開ける・・・。

「やはり、第5魔法艦隊は動かないようですね。彼らも馬鹿ではありませんね。この戦場では、先に動いたほうが負けと思うのは正しい判断です。しかし、正しい判断をしていただけでは、戦いには勝てません。ねえ、シャルロット少尉?」


 そうマリーは机上の地図を見ながら、副官の若い少尉(といても、マリーより2歳上だが)に同意を求めた。シャルロット少尉は、マリーの意図することがよく分かっていなかったが、とりあえず、相槌を打ったが、たぶん、賢い王女は自分がちんぷんかんぷんなのを知っているだろうと思った。


「マリー様、こちらから仕掛けましょうか?」


 そう言ったのは、この戦いのためにマリーが抜擢した副提督のルイーズ少将であった。彼女は25歳。国軍の女性士官であったが、マリーにドラゴン退治の作戦案をいくつか提出し、マリーにその非凡な才能を認められた。


 中尉からいっきに少佐に引き上げられ駆逐艦の艦長として、マリーのドラゴン10番勝負に参加し、一頭退治するごとに目覚しい活躍をし、わずか2ヶ月で戦列艦オーフェリアの艦長を拝命していた。マリーは彼女に分艦隊の指揮を任せるために副提督サブアドミラルの称号も与えていた。


「そうね。ルイーズ、作戦案通りにあなたの艦隊を反時計回りに移動。第5魔法艦隊の背後を襲いなさい」


「はい。マリー様」


 マリーは右手に広大なサンビンセンテの浮遊島を眺めながら、次に第5魔法艦隊が取る作戦を予想していた。


(戦術の基本は、相手に選択肢を与えないでこちらの思うように動かすこと。彼ならこの方法しかとらないでしょうね。唯一、勝機を見出す方法ですから…)


 やがて、ルイーズ少将のオーフェリアとそれに随従する艦が船首を変えて、移動していく様子をその美しい青い瞳に映し出した。


「さあ、こちらも進撃します。シャルル新艦長、指揮を取りなさい」

「は!マリー様」


 シャルル・ギョーム・アンドリュー大尉、今は1つ位が上がって少佐になっていた。平八たちが出港したあとに、マリーに請われて、旗艦コーデリアⅢ世の艦長に大抜擢されたのだ。


(リメルダはどう思うだろうなあ?でも、あの平八くんと戦えるのは悪くない。妹にふさわしい男か、兄の自分が確かめてやろう)


「コーデリアⅢ世、前進せよ。護衛艦は所定の位置へ」


 決勝戦開始から2日後、8時30分にまずは、第1魔法艦隊が仕掛けた。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「なんだって?第1魔法艦隊が動いた?」

「はい、リメルダ様からの情報です」


 通信担当のプリムちゃんが、そう伝える。第1魔法艦隊は艦隊を2つに分けて、1つは反時計回りに、もう一つは時計回りに進路を変えたというのだ。戦力を分けるのは下策と平八は言ったが、うまく噛み合えば、前後に挟み撃ちをかけることができる。第1公女マリーはその可能性にかけたのかもしれない。


(となると、時間差をかけての各個撃破が基本戦術だが、どちらを叩く?)

平八は考えた。


「ミートちゃん、敵の艦隊の移動スピードから、この空域に達するのはどのくらい?」


「そうですね。敵も全速力で移動していますから、およそ2時間半というところでしょう」


「こちらがどちらか一方に急進したら、何時間後に戦闘になる?」

「1時間半ってところでしょうか?」


となると、片方を4時間以内に撃破すれば、各個撃破ができる。だが…あの完璧パーフェクトなマリーがそんな簡単に各個撃破させてくれるのか?と思わんでもなかったが、ぐずぐずしていては、2軍に挟撃されてしまうのだ。選択の余地がない。


「敵艦の数は?半々か…」

「そこまでは、まだ、ブルーピクシーでは分析できていない模様です」


「あ、トラ吉さんより、入電です」

「よし、つなげ」



「あーあー。旦那、朗報ですぜ。時計回りにこちらに向かっている艦隊は旗艦コーデリアⅢ世と巡洋艦1隻、護衛駆逐艦5隻のたった7隻だ」


「じゃあ、残りの20隻が背後から?どういうことだ?」


 平八たちの索敵能力が高いことは、マリーのことだ織り込み済みだろう。となると、少ない方、しかも、旗艦がある方に先に攻撃をかけてくるのは当然である。


「コーデリアⅢ世は、防御力は史上最大と言われています。その船でこちらの攻撃を支える自信があるからでしょう。でも、私たちにはデストリガーがある…」


 そうミートちゃんが言った。封印が解かれたレーヴァテインがフィンの魔力で発射するデストリガーは火炎系の魔法弾で、「バーニング・ストライク」と名づけていた。演習で1度使ったことがあるが、その威力は戦列艦を一瞬で撃破できるレベルであった。


「ミート。私はできるだけデストリガーを使いたくありません」


そうフィンが珍しく厳しい口調で言い放った。これには平八も同感であった。できるだけ、使いたくない。相手マリーは封印して戦っているのだ。こちらも正々堂々と戦いたいとは思う。


 それでも、負けてしまうかもしれない時には最後の切り札としてデストリガーを使うことは否定しない。だが、第5魔法艦隊がデストリガーを使わざるを得ない状況に追い込んだマリーには、きっと何か作戦があるに違いなかった。


「明らかに敵は誘っているけれど、ここは相手の土俵に上がるしか方法はなさそうだ。フィンちゃん、目標はマリー王女の旗艦コーデリアⅢ世、全艦隊に命令してください」


 平八はそうフィンに告げた。フィンはコクリとうなずいた。確かに、それしか選択の余地がない。


「全軍、半時計回りに全速で移動せよ。目標、第1魔法艦隊旗艦コーデリアⅢ世!」

 

 第5魔法艦隊の23隻は全速力で、移動を開始した。時間との勝負である。



「第5魔法艦隊、こちらに向かってきます。全艦隊23隻を確認」


 索敵担当からそう連絡を受けるとマリーは、護衛に残した巡洋艦ナイトメア、駆逐艦のレイス、ファントム、Fの無人艦を提督の席のパネルで動かし、陣形を作り始めた。あと2隻の有人駆逐艦は、偵察に出してある。


「第一試験はパスね。ここで2つに分けてきたら興ざめしてしまうところでしたが、やはり、2個艦隊を僅かな戦力で撃破してきただけのことはあります」


「でも、マリー様。敵は戦列艦4隻を含む23隻の艦隊です。いくらこの船(コーデリアⅢ世)が強いとはいっても、さすがに厳しいのではないでしょうか?」


 そう副官のシャルロッテが懸念を示した。いくら防御力に定評があるといっても、戦列艦の集中砲火を浴びれば、押し切られないとも限らない。ましてや、相手にはデストリガーがある。いきなりぶっぱなされたら、それこそジ・エンドである。


「そうね。時間との戦いでしょうね。いくらわたくしでも、戦いが始まって何時間も耐えることは難しいでしょうね。ただ、デストリガーについては、いきなりぶっぱなすなんてことはしないでしょうね。ローザならともかく」


(もちろん、使ったとしても対抗策は考えていますわ。どう出るのでしょうね?異世界のへいはちは…。第2試験、第3試験を見事パスして欲しいですわ)


「マリー様、、あと30分程で、敵艦隊の前衛部隊と砲撃戦を交えます」


「よろしいですわ。全艦隊に第1種戦闘配備。総員に告げます。パンティオン・ジャッジ決勝戦としてふさわしい戦いになるように各員の健闘を期待します。これは今後続く、世界を守る崇高な戦いの第一歩に過ぎませんが、大切な一歩です。このサンビンセンテの地にマリー・ノインバステンと共に戦ったということが、すなわち英雄であると後世の人々が称える戦いにしましょう」


マリーはそう戦う兵士に演説をしたのであった。


わずかの艦船で、第5魔法艦隊を引き付けるマリー様。今回は圧倒的な戦力で迫る主人公たち・・・。艦隊戦の智謀が交錯する。

それにしても、お兄ちゃん、マリー様に抜擢されたけど、妹の敵になるなんて、躊躇しないなあ・・・。

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