高速巡洋艦レーヴァテインの秘密(弐)
すみません、大ミスで前回と同じ文章を載せてしまいました。こちらが修正版です。
「東郷平八艦長、今度の作戦はどうするのですか?」
会議室を出るとすぐメイフィアタイムスに記者ラピスが平八に絡んできた。本当は提督のフィンに聞くべきだが、フィンが寡黙で話しベタキャラであることを知っているので、必ず平八に取材するのだ。
「ノーコメントよ、艦長」
そうミートちゃんが牽制する。
(ノーコメントと言ったって、作戦なんか決まっていないだろうが!)
心の中でそう思ったが、女性に優しい平八としてはラピスを無視できない
「戦力差がありすぎて、作戦なんて思いつかないよ。ラピスさん、なんかいい案ない?」
見事な切り返しである。こう言われてもただの新聞記者に過ぎないラピスは、答えようがないはずだ。だが、ラピスはこう答えた。
「そういえば、ハウザー教授が言っていましたわ。レーヴァテインを設計したハメル氏が鍵だって」
「設計した?ハメル氏」
平八は聞き返した。
「オリバー・ハメル。メイフィアでは有名な空中艦の設計士よ。独特の設計思想で面白い空中艦を他数製造しているわ。まあ、変人で有名で正当な評価をされていないけど」
そうリメルダが補足した。
(なるほど…)
平八は少し思うところがあった。ナセルに向かって、
「ナセル、一度、レーヴァテインのマニュアルや設計図を見ておかしな点がないか調べてみてくれ」
「へえ?おかしな点だって」
「ああ。考えても見てくれ。パンティオン・ジャッジに出場する艦隊の旗艦が、ただの巡洋艦のわけがないのだろう。そもそも、世界を救うヒロインを決定するのがこのパンティオン・ジャッジの目的なら、フィンちゃんだってその資格があるはずだ。ドラゴンを倒す性能が備えられていてもおかしくはないだろう?」
「そう言われればそうだな。初めは単に第5魔法艦隊だから…と思ったが、旗艦は与えられるのだから、平等なはずだ。いくらなんでも、ドラゴンに歯が立たないような艦を与えられるわけがないよな」
ナセルはそう言って、もう一度、マニュアルとレーヴァテインを調べて見みることにしたのだった。
「ハメル氏でしたら、クロービスの郊外に住んでいるわ。よろしければ、わたしが案内してあげてもいいわ」
そうリメルダが平八を誘う。首都クロービスまでは定期便で3時間の距離である。今日中に行けないことはない。
「へ、平八くんが行くなら、わたしも行きます!わたしもその設計士に会ってみたいですし…」
そうフィンちゃんがリメルダを見て言う。リメルダは「あげてもいいわ…」と恩着せがましいセリフをはいた割には、さりげなく平八の隣、いつものポジションにいる。フィンは何だか面白くない。
「あら、提督は艦隊の補修やら、次の戦いの準備で忙しいのではなくて?」
「い、忙しくありません。それはミートに代行してもらいます」
「え?フィン、何、言ってるの?わたしに押し付ける気?」
ミートちゃんはそう言ったが、フィンの目を見て(こりゃ、だめだ!)と思った。
(艦長をライバルと二人っきりにはさせられないわよね。仕方がないか…)
「それに中古武器店で新しい装備を購入する必要があるから…だから…」
小さくなるフィンの声。しかし、息を吸って思いきって言葉を続ける。
「私も平八くんと一緒に行きます!これは第5魔法艦隊提督としての命令です」
リメルダは何だかおかしくなった。どうやらフィンも平八に首ったけのようだ。平八もフィンが好きと言っているから、完全に相思相愛である。入り込む余地はこれっぽっちもないのだが、それでもリメルダは平八のことを諦めきれないと思った。初めは軽い気持ちで愛人でよいなどと言ったが、愛人になるのもかなり難しそうだ。
結局、フィンと平八、リメルダに従者のトラ吉、ナアムが同行することになる。
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「ヴィンセント、マグナ・カルタに行くって聞いたけれど、第5魔法艦隊の偵察にでも行くの?」
王宮でマリー王女は従兄弟のヴィンセント伯爵にたずねた。この伊達男があんな田舎の町に行くなんて、いくら偵察でもマリーには不可解であったのだ。
「いや、マリー。ちょっと野暮用でね」
「はは~ん。あなたのその態度、また女ね!」
マリーは呆れて思わず天を仰いだ。この重要局面にこの男は本当にどうしようもない女好きである。
「また女って、人聞きが悪いな。今度は本気なんだよ。マリー」
「あなたの本気って、全く信用がならないわ。わたくしもあなたの幼馴染ですから、あなたのその性分、よく理解しているつもりですから」
実際、幼少の頃からマリー王女はヴィンセントと遊んでいたので、この男がどれだけ女たらしか知っていた。ヴィンセントの方が3つ年上で、「お兄様」などと言って慕っていたマリーであったが、ヴィンセントに飽きられて捨てられた女の子たちのことを見聞きする度、(コイツは女の敵)とこの面に関しては軽蔑していた。
だが、危険を顧みず、自分の旗艦の艦長を引き受けてくれたことや、旗艦の艦長たるにふさわしい魔力には感謝し、期待していた。
「あんな田舎、用事が済んだらすぐ戻るさ。今日中には楽勝かな。それより、マリー、いっぱいファイルを広げて何しているんだい?」
「ああ、これね」
マリーが呼んでいるファイルやテーブルに広げられているファイルは、他国の艦隊の情報であった。妖精族、機械族、霊族とこのトリスタンに存在する種族の艦隊の情報である。
「まだ一戦もしていないのに、もうメイフィアの代表になって他国と戦うつもりなんだ。君は可愛い顔しているのに、随分と計算高いね」
「あらあ、そういうヴィンセント伯爵様も第5魔法艦隊に勝った気でいらっしゃる。マグナ・カルタはフィン・アクエリアスの実家がありますものね」
マリーにはヴィンセントのターゲットが誰だか分かっていた。
「勝つのは想定内というのは君も同じでしょ。そもそも僕は第5魔法艦隊が第3魔法艦隊に勝てるとも思っていないけどね。君も二つの艦隊のどこが出てきても勝つつもりなんでしょ?」
「一番の強敵のリメルダがいなくなったのです。わたくしが負ける可能性はほぼ0ですわ」
「大した自信だ。それで、メイフィアの代表として、次に戦う相手についてはどう分析しているんだ?」
「そうですわね。まず、妖精族ですが今回は王位継承争いで王族、貴族に内紛があって国内のパンティオン・ジャッジがまともに行われていないわ。一応、代表は妖精族女王ローエングリーンが率いるそうだけど、今回は戦力不足は否めないわ」
「なるほどね。内紛で力が落ちているとは…世界の危機に妖精どもは何をやっているのやら。他には?」
「機械族は年々レベルを上げているけれど、所詮は直接打撃しかでいない艦隊。こちらの魔法防御さえしっかりしていれば、問題ないでしょうね。機械族は数で押してくるだけですから、わたくしたちの敵ではないわ」
「じゃあ、霊族がライバルってわけだ」
「そうですわね。今回はこの霊族、静けさの世界に眠る霊族のプリンセス、スリーピングビューティがライバルとなるでしょうね」
「スリーピングビューティって、いい女か?」
「さあ?ビューティっていうのですから、絶世の美人でしょうね。但し、霊族ですから足がないですけど」
「そうだったね。いくら美人でも、足がないと楽しくないね。残念だけど。まあ、艦隊戦のことで君と話はしていたいけれど、もうそろそろ時間だ。僕は失礼するよ」
そうヴィンセントは言って、王宮から姿を消したのであった。
魔法族の代表が決まったら、次に他の種族との戦いもあるようですね。バトルは続く??




