表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アドミラル~魔法艦隊の艦長に転職したら、彼女(提督)ができました~  作者: 九重七六八
第1章 パンティオン・ジャッジ ~魔法王国メイフィア編
21/122

決戦!第4魔法艦隊~エアズロック空戦(七)

いよいよ、本格決戦!地形を利用して敵艦隊との戦力差を埋めようとする主人公ですが・・・。

「提督、下方から強力な上昇気流が発生!浮遊石が!」


 そう副官が告げると同時に第4魔法艦隊提督リリム・アスターシャが乗る旗艦フォルテシモが激しく揺れた。


 岩が次々と艦体に当たるのだ。当たるだけならまだしも、巨大な岩に衝突した巡洋艦は真っ二つに裂け、岩と岩に挟まれた護衛駆逐艦は爆発して粉々になっていく。


「駆逐艦ウイル・スミス、爆発炎上。巡洋艦メゾピアノ撃沈、戦列艦ガダニーニ、大破」

「こ、こんなことって!」


次々と味方艦が破壊されていく。


「すぐさま、この空間から離脱しなさい!」

「無理です!移動しながら、交わすのは不可能です。魔法防御を固めてやり過ごすしかありません」

「巨大な岩相手では、その魔法防御マジックシールドは役にたたないわ。離脱です。避けきれない岩は砲撃で破壊しなさい!」


 リリムはそう叫ぶ。目の前で僚艦である戦列艦カンタービレに巨大な岩がぶつかり、なすすべもなく爆発したのを見て、半狂乱であった。


「提督の言う通りです。あんな岩が相手ではシールドが持ちません!」


 艦長のマネージャー女史がタウンゼット大佐に言った。タウンゼットは迷った。リリムの言うことも分かる。火力の強大な戦列艦なら、ぶつかる岩を破壊して安全地帯まで脱出できるかもしれない。だが、それは傷ついた僚艦や火力の劣る巡洋艦や駆逐艦を見捨てるということになる。


(さらに…この状況を作ったのが敵ならば、移動先には罠があるはずである。だが、敵艦隊は浮遊石群の中に身を潜めていて、分艦隊と戦闘をしたはずであり、こちらに現れるとは思えなかった。


「やむを得ません。旗艦フォルテシモ及び残存艦隊は、P-1空域に急速移動。邪魔な岩は各自、最大の魔法攻撃で破壊して進路を確保します」


タウンゼット大佐はそう全艦隊に命令する。


 だが、現実はこの経験豊富な軍人の予想を上回っていた。上昇気流に煽られる浮遊石の嵐を避け切った第4魔法艦隊に向かって、4方向からの攻撃が行われる。


「三時、九時、六時の方向から魔法魚雷他数、十二時の方向から魔法弾!」

「シールド全開!」


 マネージャー女史の命令が届くやいないや、凄まじい衝撃で彼女もリリムも倒れこむ。ようやくこの空間に逃げ込んだ護衛の駆逐艦と軽巡洋艦が魚雷の直撃をくらって爆発炎上する。


「フォルテシモ、被弾!第1主砲、第3格納庫爆発炎上!」

「他の艦は?」

「この空間に逃げ込めたのは、駆逐艦レイ、軽巡洋艦マンダリンですが、直撃を受けて戦闘不能です」


「そんな…旗艦以外、全滅なんて!」

「リリム提督、まだ、諦めるのは早いです」


「タウンゼット大佐?」

「してやられましたが、敵は巡洋艦1隻と駆逐艦3隻に過ぎません。こちらは被弾して小破したとはいえ、戦列艦です。火力はこちらが優っています」


 タウンゼット大佐のいうことも最もだった。不意を突かれて被弾したものの、第2撃目は魔法防御壁を展開したので、その攻撃を軽く弾き飛ばした。


 現在は45センチ口径の二門の主砲が雷撃系の魔法弾を放ち、駆逐艦の接近を阻んでいる。


「敵はこちらの防御壁を破ろうと至近距離で攻撃してくるはずだ。落ち着いて狙えば、一撃で撃沈できるはずだ!」

「主砲の斉射準備できました!」


「ライオットレベル4、放て!」




「ライオット来ます!」

「回避」


 フィンが短く叫ぶとカレラさんが巧みに船を操り、雷撃の光弾をギリギリでかわす。あのパワーでは、巡洋艦のシールドは一撃で吹き飛ぶに違いない。回避が唯一の方法であった。


(ここまでは驚きの経過だわ。これはスクープだわ。だけど、一挙に形勢は逆転だわ。フォルテシモは一級の戦列艦。火力はハンパないわ。まともに戦っては勝てるわけがない)


 レーヴァテインに座乗しているメイフィアタイムス記者のラピスは、浮遊石の嵐で敵艦隊の戦力の90%を葬った第5魔法艦隊の戦略に驚きを覚えたが、まだ、勝ったわけではないことも理解していた。まだ、第5魔法艦隊は不利なのだ。


 現にレーヴァテインの放つ主砲の攻撃は、すべてフォルテシモのシールドに弾かれてしまっている。そして、フォルテシモの主砲から放たれる雷撃を受ければ、それで終わりなのである。


 一応、パンティオン・ジャッジでは、旗艦の艦橋には絶対防御魔法の刻印が打たれていて、魔法攻撃の直撃はすべて無効にする仕掛けになっていた。だから、提督と同じ空間にいればいきなり戦死することはないのだが、戦列艦から放たれる凄まじい砲撃にラピスは体が硬直して顔が引きつっていることを自覚していた。


(この状態から、どうやって勝つのよ?策はあるの?)



 平八は待っていた。いくら平八やフィンの魔力が高くても触媒なる戦艦の攻撃力が低くては、戦列艦のシールドを破ることができない。破るのは距離を縮めて、威力を増すしかないのだが、攻撃が激しすぎて近づくことは不可能であった。


「なら、この作戦しかない!」

「旦那、あれを使うのですかい?」


 トラ吉が頭の中で話しかけてくる。平八はレーヴァテインをかすっていく雷撃の光弾にいちいち目を閉じながら、それでも勇気をもってこういった。


「ああ」


 実のところ、平八は分厚い戦艦の運用マニュアルを見て、使うことのできる魔法を学習したのだが、その中から選んだ魔法が今から使おうとしているものなのだ。


「フィン、魔力の放出はいい?」

「はい」

「ナセル、あの魔法を発動する時には、攻撃に使う魔力エネルギーを全て防御に回す」


「了解」

「パリムちゃん、タイミングは一瞬だよ。ドンピシャで頼む」

「はい」


 レーヴァテインはフォルテシモの主砲をかわしつつ、主砲の能力が効果を現す距離まで近づいた。この距離ではレーヴァテインが展開する魔法シールドは消し飛び、カレラさんの巧みな操艦でかろうじてかわしていた。


「ウルド、被弾!火災発生」


プリムちゃんの状況報告に、副官のミートちゃんが、


「護衛駆逐艦は、敵の主砲の射程距離外に脱出。それでよいですか?提督」


とフィンに確認する。フィンちゃんは短く、


「承認します」


といい、すぐさま、3隻の駆逐艦を脱出させるが後退中に護衛駆逐艦ベルダンディに被弾して大破してしまう。レーヴァテインも魔法防御が消し飛び、船体の右と第2副砲が吹き飛び、ダメージが蓄積していく。


「艦長!これ以上、ダメージ食らうとやばいぜ!」


ナセルが悲鳴を上げる。


 だが、平八は動じない。艦橋は守られているという安心感もあったが、それよりも唯一の勝機をつかむために集中していた。後にこのエアズロック空戦をドキュメンタリータッチで描き、魔法王国メイフィアの優れたジャーナリストに送られるウルズ賞を見事にGETすることになるラピス・ラズリ記者は、この時の平八の姿を


「まるで獲物を待つグリフォンのような鋭い目をしていた」


と書いた。


「ナセル、泣き言を言うな!敵の魔法防御を破って、ダメージを与える。でないと、リリムちゃんはアレを使ってこない!マジックミサイルを連射だ。攻撃魔法の力を集中して、敵艦にぶち当てろ!」


「簡単にいうけど、1発でいいんだな?なら、やってやるぜ!」


手に汗握る砲撃戦。敵の戦列艦のマジックシールドを打ち破っても分厚い装甲を破壊するには相当パワーがの必要です貧弱な火力の巡洋艦で、どう勝つつもり?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ