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アドミラル~魔法艦隊の艦長に転職したら、彼女(提督)ができました~  作者: 九重七六八
第1章 パンティオン・ジャッジ ~魔法王国メイフィア編
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決戦!第4魔法艦隊~エアズロック空戦(六)

やっと魔法艦隊同士の戦いが始まります。数で劣る主人公たち第5魔法艦隊は、エアズロックという空中に浮かぶ浮遊石が密集する地帯に隠れて戦います。戦いを制するには、まず地形から・・・といいますが・・。

「リリム提督。第5魔法艦隊はマグナ・カルタ東方の浮遊石地帯エアズロックに布陣しているとの情報が入りました。先行している偵察駆逐艦からの報告です」

「なるほどね。敵も考えたようですわね」


 そう艦長のマネージャー女史が答える。リリム・アスターシャが乗る旗艦フォルテシモの艦長はリリムが最も信頼している担当マネージャーであり、あとの乗組員は戦い経験が豊富な傭兵や国軍の軍人を採用している。


「タウンゼット大佐。エアズロック周辺のことはご存知?」


 リリムに尋ねられた初老の軍人は、第4魔法艦隊の参謀として請われて、このアイドル公女のサポートをしている。彼自身が彼女のファンであることが志願理由であり、パンティオン・ジャッジで勝てば、ドラゴンとの死闘があることも見越しての参加だ。本気でこの崇拝する歌姫を英雄にしたいと考えていた。


「提督閣下、エアズロックは大小数万の浮遊石が密集している場所で、通常、空中艦は近づきません。風の具合で浮遊石がどのように動くか予想できず、浮遊石にぶつかる恐れがあります」


「そんなところに潜んでいますの?」


 リリムは呆れてそう言った。本来なら、挑戦者たる第5魔法艦隊が向かってくるべきなのに、一向に動かないから、こちらから出てきたのに、敵はそんな戦いにくい場所にこもって穴熊のように出てこないのだ。


「戦力はこちらの方が上です。突入して殲滅すればよいのです!」

「ダメです。提督。浮遊石の間隔がせまく、戦列艦では危険です」


 そう大佐は進言する。巡洋艦クラスならともかく、全長300mを超す戦列艦では、岩に衝突する可能性があった。


「では、どうすればよいのです?高いお金を払っているのですから、プロの技を見せていただきたいですわ」


 タウンゼット少佐は、パネルに映った第4魔法艦隊と浮遊石地帯に身を隠している第5魔法艦隊のおよその位置をポインタで差し、作戦案を説明した。


「突入するのは、軽巡洋艦、護衛駆逐艦の6隻です。これを分艦隊とします。指揮官は軽巡洋艦アンダンテ艦長のバッジョ少佐に任せましょう。敵を発見後、分艦隊は機雷を散布し、敵艦進入路を限定し、敵艦隊を追い立てます」


「どこへ追い立てるのですか?」

「浮遊石地帯上空です。上空9千メートルで浮遊石帯は終わっていますので、我々、戦列艦を含む大火力の船で敵の頭を抑えるのです」


「なるほど、見事な作戦ですわ」


 リリムは感心すると、すぐその作戦案を実行するように命じた。敵である第5魔法艦隊の戦力はこちらの半分以下である。隠れている鎧をはがして目の前に出てこさせれば、全く問題なく撃破できるはずだ。



「敵、二手に別れて、一方は浮遊石地帯に侵入してきます。侵入中の艦艇、6隻。軽巡洋艦1隻、駆逐艦6隻」


 そう索敵担当のミートちゃんが告げる。平八の予想した通りの行動である。


「フィン、侵入してきた敵の戦力はこちらを若干上回っているが、魔力ではこちらが上だ。やれるよね?」

「は、はい」


 魔法艦隊どうしの戦いは、艦の性能が大事ではあるが、実は操る提督なり、艦長の魔力でその差は逆転できることもある。例えるなら同じ威力のファイヤー系の攻撃魔法でも、魔力が多ければ連射も聞くし、長く撃てる。魔力が枯渇すれば、攻撃もできない。今回のように数は相手が倍でも、魔力がそれ以上であれば挽回はできないことはなかった。


 平八は先攻させ、岩の隅に隠れていた高速駆逐艦ウルドをフィンに操らせ、敵艦隊に悟られぬよう、魔法で位置を特定させぬようにして敵艦隊の後方に待機させていた。敵の後方に魔法機雷をばらまく。これはファイヤーボムの魔法で、触れたら大爆発を引き起こす厄介な機雷だ。


同じく、ベルダンディ、スクルドの2隻にも上空方面への出口と進行方向の出口も機雷で防ぎ、下方向のみルートを残した。隠密行動していた3隻を戻すと、浮遊石地帯の中心にある広いエリアの上空から、侵入してきた敵の分艦隊に一斉に砲撃を仕掛ける準備に移る。


「レーヴァテイン主砲を準備、下方の9時から3時の方向へ移動しつつある敵艦隊を撃つ。主砲魔力エネルギー充填。魔力を変化…。タイプ「風」エアカッターを発動」


攻撃担当のナセルが状況を確認する。


「防御長、魔法シールドはどうか?」


副官のミートちゃんが、パリムちゃんに確認する。


「シールドレベル3、4、5…上がりうつつあります」

「フィン、主砲副砲の3連射後、高速駆逐艦は敵艦隊に突入。ゼロ距離魚雷攻撃で、敵を下へ撃ち落とす。指揮をお願いします」


「了解です」


 フィンは目の前の魔法による3次元モニターで、平八の作戦案をシュミレーションしている。うまくいけば、平八の作戦通りになるだろうと確信していた。


「敵艦隊、まもなく予定空間に侵入」


 感知の魔法で敵艦隊の距離を計算したミートちゃんは、前方を指差した。浮遊石の間から、敵艦隊が1列になって進んでくるのが見えた。こちらのアンチ魔法シールドがまだ効いていて、敵はまったく気づいていない。視覚的にも岩の影に隠れていて見つけることができていない。


「主砲、副砲とも準備O.K.です。エアカッターレベル10いつでも撃てます」


「よし、レーヴェテイン、出撃。岩から出ると同時に攻撃をする。合図は提督が」


 そう平八はフィンに言った。コクりとうなずくフィン。二人だけにしか分からない合図だ。この戦闘が彼らの長い長いウェディングロードになるのだ。


高速巡洋艦レーヴァテインと護衛の駆逐艦が一斉に岩から飛び出した。第4魔法艦隊分艦隊の真上である。

「主砲、副砲…てーっつ!」

フィンが提督の指揮棒を前方に指した。ナセルがボタンを押す。主砲から青い光球が発射され、それが渦を巻くように高速で軽巡洋艦アンダンテに直撃する。


「艦長!敵です!直撃が来ます!」

「ど、どこからだ?」

第4魔法艦隊の分艦隊の指揮を任せられたバッジョ少佐は、敵の姿が発見できないことにイラついていたが、そのイラつきもすぐに解消された。レーヴァテインから放たれたエアカッターは、魔法防御壁を破り、艦橋に直撃する。エアカッターは船体を鋭く切り裂き、破壊するため、着弾したところの機能が破壊される。4発命中したところは、艦橋司令部と主砲、そして、艦を浮遊させる中枢部分であった。やがて、切り裂かれたところから、火災がおき、徐々に下降していく。護衛していた駆逐艦も最初の砲撃で2隻が被弾して、同様に下降していき、残りの3隻も突入してきた4隻に至近距離から魔法魚雷を直撃され、同じようにコントロール不能で下へ落ちていく。


「敵6隻、海面に向かって下降中。まもなく、予定高度に入ります」

ミートちゃんがそう平八に告げた。作戦の第2章が開幕する。実はあらかじめ、高度100mのところに火属性の機雷を散布していた。そこへ敵の分艦隊が落ちていく。機雷の海に飛び込んでドカン!というわけだが、それだけではなかった。

「フィン提督、火属性の魔法ナパームボムを使います」

平八が許可を求める。

「承認します」

フィンがそう言った。この作戦を平八から告げられたとき、この場面で使う魔法を選択したのはフィンであった。ナパームボムは、使いどころの難しい火属性の攻撃魔法で、これ自体に破壊力がある魔法ではない。広範囲に火炎を広げる効果があり、今回のように広範囲に散布した機雷に点火するような場面では効果が期待できた。

「艦長、ナパームボムレベル5発射準備できました!」

「第1主砲より順次、放て!」

平八が命じる。主砲から放たれたオレンジの軌跡が、機雷に到達するとすぐさま引火し、次々と爆発する。第4魔法艦隊分艦隊6隻は、この機雷群の爆発に巻き込まれていく。すさまじい爆発音と高熱の炎が沸き起こる。

「カレラさん、レーヴァテイン、急速離脱!」

平八の命令でレーヴァテインは、上空から下へ向かっての急降下を止めて、放物線を描くように上昇しつつ、浮遊石地帯を離脱していく。フィンも3隻の駆逐艦を同じように離脱させた。すさまじい爆発と共に起きた高熱は空気を暖めて、急激な上昇気流を起こす。その風は浮遊石を上へと押し上げた。



軽く三倍以上の敵艦隊をどう撃滅するのか・・・。平八の戦いぶりをとくとご覧アレ??

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