2話 お姉ちゃん
「……ぅ」
まだ寝ていたい体に、ぐっと力を入れる。
「………ここ…は」
真っ白な天井…自宅じゃない。
茜の部屋は古い、木造の……
「!?誘拐だ!!」
布団を跳ね飛ばし、目に入ったドアに飛びつく。
ドアは思ったよりもすんなり開いた。
「わ…」
部屋の外は、想像もしてない景色だった。
大きなシャンデリアと、大きな窓。
部屋がいくつも並んで、まるでお城みたいな…
「あっかねちゃん!!!!」
後ろから誰かに飛びつかれてびっくりしてると、その人はニコニコ顔を近づけきた。
「茜ちゃんっ?!覚えてる?お姉ちゃんだよ!覚えてない…よね?!」
グラグラと揺らされて、全く顔が見えない、声も聞いたことない。
「しらない…」
と思う。
「…そっか…」
やっと見られるようになった顔をまじまじと見てみても、やっぱり見たことない。知らない人だ。
「そうだよね!わからないよね!」
「う、うん。あの…ここ」
「でも大丈夫!茜ちゃんっ!お姉ちゃんは覚えてるからね!」
「え?どゆこと…」
「あ!そうだ!!」
考えようとした瞬間に腕を引っ張られる。
抵抗する隙もない、ぐいぐいと廊下を進んで階段を降りた。
「や、やめて!」
「瞬ちゃんがいれば一瞬なのにね!」
「なに?!」
ずるずると外まで引きずられていくと、見たことある景色が目に飛び込んだ。
「ここって…」
夢でよく見た十字路。
目の前には大きな坂、でも夢はいっつも坂は登らない。
登らないで左に曲がると……
…曲がると?
「思い出した?」
にっこり笑う『お姉ちゃん』の後ろに、白くて大きな建物が見えた。




