ゾンビと私と息子-3
その日の夜、このコロニーの長に呼び出された
呼び出された原因は分かっている
昼間、身体能力の高いゾンビを平野さん夫妻と3人で撃退した
頭を破壊した
その際に、わずかだが左腕を負傷してしまった
本当に小さい傷で、普段ならこの程度の傷ならば、治療もしない程度の傷だ
ゾンビから受けた、この傷で呼び出されたのだろう
私は長の部屋の前に着くとノックをしてドアを開けた
「お疲れ様です楓さん」
「お疲れ様です長さん」
長に勧められ椅子に座る
長の後ろには、ボディガードらしき若者が立っている
「昼間の件、報告を受けました」
「ゾンビ撃退は良かったのですが、ご自身が怪我をされたとか、、」長は、眉を下げ残念な顔をしながら言った
私は左腕のシャツをまくり
「確かに傷を受けましたが、ほんのかすり傷です」
「問題有りません!」
私は、長の目を見て左腕の傷を見せながら、言い切った
実際、ゾンビから受けた小さな傷は、既にかさぶたになっている
「楓さん、私はこのコロニーの長」
「もし。貴方のように訓練を受け戦闘力の高い貴方がゾンビになってコロニーの内部で暴れたら、ここは終わりです」
「だからと言って、その傷がゾンビ化するか私には分かりません」
長は、私の目を見て言い切った
長は、後ろに立つ若者を指差し
「この者を、楓さんの側に置きます」
「もし、楓さんがゾンビ化したら」
「この者が、楓さんを殺します」
「または」
「この者の判断で」
「もし、楓さんが人間の生活をしていてもゾンビ化の傾向が現れたら」
「このコロニーから出ていって貰います」
「その際には、修二君を置いて行ってもらいます」
最愛なる若が、自身の命に代えて私と息子の修二をゾンビから助け「修二を頼む」と託されたのに、私はゾンビとなり修二を一人にしてしまうのか、、、
私は眼の前が真っ白になり、フラフラしながら修二の待つ自宅に戻った
自宅に戻ると
「おかえり、ママ!」
私は出迎えた修二を、思いっきり抱きしめた
「痛い、痛い、ママ痛いよ」
「ごめん、ごめん」と言いながら、修二の頬にキスをした
「ママ!後ろの人は誰?」
「新しい恋人?」
私は振り返ると先程、長から言われた若者が居た
「私の愛する人は、君と君のパパだけです!」
「この人は、私達を警護する人です!」
「えーと名前は、、」
「田中玲央と言います」
「レオと呼んで下さい」
レオは軽く頭を下げた
レオの腰には、大きめなナイフが鞘に収まりベルトに吊るされているのを私は見た
「レオさんは、ゾンビから私達を守る為に暫くの間、一緒に生活します!」と修二には言ったが、実際は私から日本国王継承者の修二を守るかコロニー内に居る異物の駆除が正しいだろう
「レオさん寝る時は、そちらのベットを使用して下さい」
と、若が使用していたベットを指さした
「いえ、お構いなく」
「私は床に腰を下ろして寝ますので」
と、レオさんは言った
修二を寝かしつけ、夜が深まる頃
私はレオさんとテーブルに向かい合わせで座り話した
「私は、お世話になったコロニーの人々を傷つけたくない」
「私は愛する人との子どもを傷つけたくない」
「私はゾンビになった姿を子どもに見せたくない」
「レオさん、、」
「もし、私にゾンビ化の傾向が発症したら」
「修二には内緒で教えて欲しい」
「修二が寝ている間に出ていくから」
「わかった」レオさんがつぶやく
「もし、ゾンビになった私がフェンスの外をうろついていたら」
「私の頭を射抜いて殺して欲しい」
「そして、その遺体を修二に見えないように隠して欲しいです」
「わかった、約束する」レオさんがつぶやいた
「もし、私がゾンビになり修二を傷つけようとするなら」
「修二の目の前でもかまわない」
「私を殺して」
「わかった、約束する」レオさんがつぶやいた
私は「ありがとう」と微笑んで言い、修二の隣に戻った
修二に体を寄せると、指を噛み声が出ないよう泣いた




