表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48歳元外科医、転生先でハズレスキル『術野の目』を武器に医術なき王国を立て直す  作者: ヲワ・おわり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/70

第六十七話 王太子の布告

翌朝、広場に再び人が集まった。


今度は布告のためだった。


エドワード王太子が前に立った。読み上げる声が広場に届いた。


「民間医療行為の合法化を宣言する。ただし教会の治癒魔法はその独立した役割を維持する。医学的行為と治癒魔法は、それぞれ異なる役割を持つものとして共存する」


神官の一部が「王権による宗教介入だ」と声を上げた。しかし「治癒魔法の独占は維持する」という部分を聞いて、声が弱まった。


(うまい)


王太子は「共存」という言葉を選んだ。対立ではなく、それぞれの役割の確認だ。教会を潰すのではなく、医学の隣に置く。その構造が大神殿の全面反撃を防いでいる。


ガーランド司祭が広場の端に立っていた。


静かに頷いていた。「これが答えか……」という表情だった。


三十年間、何かを待っていた人間が、ようやく答えを見た、という顔だった。


(あなたも長い時間がかかりましたね)


でも、答えが来た。それが全てだ。


ミリアが横にいた。布告を聞きながら、目を拭っていた。


「ミリア」


「お母さんが聞いたら、と思って」とミリアが言った。「この布告を。どんな顔をするかな、と」


「喜びますよ」


「そうですね」とミリアが言った。「喜びますよね」


父も長兄も、ガブリエルも、隣に立っていた。ヴェルディア家全員が揃っていた。


王都に来てから何ヶ月が過ぎたのか、数えていなかった。調査団が来た日から始まって、伯爵の越境があって、召喚状が届いて、王都に来て、鑑定院と戦って、ガブリエルが帰ってきて、公開実証があった。


全部が繋がっていた。


(前世の後悔の供養が、ここで一つ完成した)


救えなかった命たちへ、と前夜に思っていた。


今日、その答えが一つ出た。制度が変わった。仕組みが変わる。次の医師が生まれる準備が始まった。


「次は王立医学院を作らなければなりません」と俺は言った。


「もう次のことを」とヴィルが言った。


「直すべきことは続きます。今日のことは、始まりです」


「お前らしい」とヴィルが言った。


「そういう性質なので」


布告が終わった。広場が動き始めた。人々が話し合いを始めていた。何かが変わった、という空気があった。確かに変わっていた。


「術野の目」が動いていた。問題はまだ見える。王都にも。領地にも。王国全体にも。


しかし今日だけは、少し違う見え方がした。


(直した。一つ確かに直した)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ