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48歳元外科医、転生先でハズレスキル『術野の目』を武器に医術なき王国を立て直す  作者: ヲワ・おわり


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第六十話 司祭との対話

ガーランド司祭が宿を訪ねてきたのは、翌日の夕方だった。


「お一人で来られましたか」と俺は言った。


「一人で来たかった」と司祭が言った。「正式な話ではないので」


部屋に通した。燭台を一つつけた。司祭が椅子に座った。


「あなたに反対し続けてきた」と司祭が言った。「書状を送った。調査団に同行した。あなたの活動を止めようとした。しかし、私は間違っていたかもしれない」


俺は何も言わなかった。


「公開実証では、手を出しません」と司祭が続けた。「大神殿の立場から何かをする、ということはしません」


「ありがとうございます」と俺は言った。「感謝はしません。見ていてください。それで十分です」


司祭が少し止まった。


「あなたは、私を責めないのですか」


「責める言葉がありません」と俺は言った。「三十年間、知っていて苦しんでいた人間を責めても、何も変わりません」


「……なぜ今は動けると思ったのですか」と俺は聞いた。


「あなたが来たからです」と司祭が言った。「あなたが直すと言い続けるのを見ていました。橋が直った。水が戻った。農地が変わった。調査団が来ても記録で答えた。あなたが止まらなかった」


「それが」


「それが……私も、やっと、自分が間違っていた場所を直せる気がしました」


俺はしばらく何も言わなかった。


(ガーランド司祭は最初から、直す機会を待っていたのかもしれない。しかし動く理由が見えなかった)


「三十年間、苦しんでいたのですね」と俺は言った。


「苦しいとは思っていませんでした」と司祭が言った。「ただ、重かった。ずっと重かった」


「少し軽くなれそうですか」


「……なれそうです。少し」


司祭が立ち上がった。出口のところで振り返った。


「あなたが正しいかどうかは、私にはまだ分かりません。ただ、あなたが止まらないことは分かります。それだけで、見続けることができます」


「それで十分です」


司祭が出て行った。


夜、ミリアが王都に着いた。


「お疲れ様でした」と俺は言った。


「三日かかりました」とミリアが言った。旅の埃が服についていた。目が明るかった。「薬草は持ってきました。先生に確認していただかないといけない量があります」


「先生は止めてください」


「では何と呼べばいいんですか」と、ミリアが言った。


「レオンで構いません」


「……それはさらに難しい」


しばらくしてから、二人で宿の外に出た。夜の王都を歩いた。


「怖いか」と俺は言った。


「少し」とミリアが言った。「教会の治癒師と同じ患者を診て、比べられる。うまくいかなければ、これまでの全部が否定されるかもしれない」


「そうです」


「そんなにあっさり認めるんですか」


「事実なので」と俺は言った。「怖いですか」


「怖い。でも直したい気持ちの方が大きい。お母さんの墓に行った時も同じでした。怖いけど、正しいことをしなければという気持ちが先に来た」


「それで十分だ」と俺は言った。


石畳に二人の足音が響いた。


(手術前夜と同じ静けさだ。次の日に何が待っているか分かっている。でも何をすべきかも分かっている)


公開実証まで三十日。

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