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48歳元外科医、転生先でハズレスキル『術野の目』を武器に医術なき王国を立て直す  作者: ヲワ・おわり


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第五十二話 大神殿の記録

「禁書庫への不正アクセス」という言葉が重かった。


エステルが持ってきた情報を整理した。大神殿が内部調査を始めている。ガブリエルが対象だ。拘束の可能性がある。さらにドレイク家が大神殿の一派と連携している。


(複数の問題が一点に集まりつつある)


ガブリエルが送ってきた手紙の内容は、古代医学書の一節だった。禁書庫の資料を筆写した。それが「不正アクセス」として記録されている。


「記録が証拠になる」という構造は、自分が使ってきた手法と同じだった。ただし今回は、それが弟への武器になっている。


父が「大神殿が次男を拘束しているなら、正式に抗議する」と言った。


「父上、それは逆効果になる可能性があります」と俺は言った。


「なぜだ」


「大神殿は内部調査中と言えば、外からの抗議を『情報漏洩』として処理できます。父上が動けば、大神殿は『ヴェルディア家が禁書庫問題に関与している』という名目を作れる」


父が「……では何もしないのか」と言った。


「急いで見えないものを切ると、傷が広がります。今は外から、大神殿が動きにくくなる圧力をかける方法を探します」


ヴィルが「王太子殿下への相談か」と言った。


「それが一番可能性があります。王太子は大神殿の上位にある王権の側です。王太子が問いかけを出せば、大神殿は答えを用意しなければならない」


「王太子殿下が動いてくれるか」


「前回の訪問で、一度話しました。今日、エステルが連絡を取ってみると言っています」


父が「……分かった。お前に任せる」と言った。今度は最初から声が穏やかだった。「急いでくれ」という言葉が続かなかった。父が少し落ち着いてきている。


「できる限り」


その日の夕方、エステルが「王太子殿下のご側近から、明日のご面会をご承諾いただきました」という知らせを持ってきた。


「動きました」とクルトが言った。


「動きました」


翌日の面会に向けて、整理した。ガブリエルの問題。大神殿の内部調査。ドレイク家の関与。それを王太子に伝えて、何を求めるか。


(大神殿が動きにくくなる状況が必要だ。王太子の問いかけは、それになれる)


その夜、窓の外から人の声が来た。


「東3区で建物が崩れた!」


クルトが立ち上がった。「若様、東3区というと……」


「以前、記録した場所です」


俺は上着を掴んで立ち上がった。

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