表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48歳元外科医、転生先でハズレスキル『術野の目』を武器に医術なき王国を立て直す  作者: ヲワ・おわり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/60

第二十四話 若者の反発

全70話完結予定です。毎日5話ずつ、12時・15時・18時・21時・23時に投稿します。

ここまで読んで「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

本工事が始まった。


試掘で水脈を確認した後、本格的な水路の開通工事に入った。ボロスが「二週間はかかる」と見積もった。


「人手が必要だ」とボロスが言った。


「クルト、使用人で工事に来られる人間を集めてもらえますか」


クルトが「承りました。三人は動かせます」と答えた。


翌日、ボロスが若手職人二人を連れてきた。ハンスともう一人、エリンという二十代前半の職人だった。


エリンが工事現場を見回して、俺の顔を見た。「子供の言うことを聞かなきゃいけないのか」と言った。小声だったが、聞こえた。


俺は何も言わなかった。


ボロスが振り返った。


「俺が認めた。それで十分だろうが」


それだけだった。エリンが黙った。クルトが「若様の目は俺も最初は信じてなかったです」と余計なことを言いかけたが、ボロスの目線で止まった。


工事が始まった。


ボロスが全体の指揮を取り、職人二人が掘削を進める。クルトと使用人が土砂の運搬を担う。俺は定期的に「術野の目」で掘削方向を確認してボロスに伝える、という分業になった。


「このまま拳一つ分ほど右に角度を変えてください。岩盤の亀裂がそちらに走っています」


「分かった」とボロスが職人に伝える。


自分の役割に集中できる。これが分業の良さだ。俺は掘れない。ボロスは水脈が見えない。クルトは重いものを運べる。それぞれがそれぞれの強みで動いている。


昼の休憩時、バルカ村の子供たちが近づいてきた。


男の子が「お兄ちゃん、何してるの?」とクルトに聞いた。クルトが「水を出してる」と答えた。「水はどこに行くの?」「村の水路に行くんだ」「そしたら何になるの?」「水が使えるようになる」「ご飯が作れる?」「そうだな」


男の子が「じゃあお兄ちゃんは俺たちのご飯のために掘ってるの?」と言った。


クルトが「まあ、そういうことだな」と言った。


男の子が「ありがとう」と言って走り去った。


クルトがそちらを見ていた。俺はそれを見ていた。


「騎士になって良かったと思える日が来るとは思わなかった、と昨日言っていましたが」と俺は言った。


「今日も思ってます」とクルトが答えた。


エリンが午後から、掘削の向きを確認した後、「……確かに、指示通りに掘ると岩盤が出てくる」と言い出した。独り言のような声だったが、聞こえていた。


何も言わなかった。


グレゴリオが工事を毎日見に来ていた。「若様、本当に来てくれた」という言葉を、毎日繰り返した。同じ言葉だったが、毎回少し違う意味に聞こえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ