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48歳元外科医、転生先でハズレスキル『術野の目』を武器に医術なき王国を立て直す  作者: ヲワ・おわり


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第十九話 古代という謎

全70話完結予定です。毎日5話ずつ、12時・15時・18時・21時・23時に投稿します。

ここまで読んで「続きが気になる」と思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

「古代の異端スキル」


その言葉を手帳の端に書いてみた。書いてから、消した。


ガブリエルの手紙には続きがあった。「偶然見つけた文書の断片で、全文は読めなかった。禁書庫に入れられているものかもしれない。詳しくは分からないが、兄上の顔が浮かんで、とりあえず送った」という後書きがあった。


ガブリエルらしい、衝動的な書き方だった。でも確かに、重要なことを見つけていた。


「異端」という言葉が、教会の文脈で使われるのは重い。治癒の独占を守るためなら、教会は何でも「異端」と呼べる。でも、「古代の」という接頭語が付いているのが気になった。教会が独占を始めたのは、かなり前のはずだ。


ミリアに手紙の内容を一部話した。


「俺のスキルに関係する古い記述が見つかったらしい、という程度の話だが」


ミリアが「どんな内容ですか」と聞いた。


「術野の目について、古代の記録に何かあるらしい、とだけ。詳しくは分からない」


「神学院には、触れてはいけない本があると聞いたことがあります。禁書庫というものが」とミリアが言った。「薬草師の間でも、教会が特定の薬草の使い方を禁じているという話がある。古い知識が教会によって管理されている、という話はよく出ます」


「禁書、か」


「ガブリエル様は安全ですか」


「注意するように手紙に書く」


返信を書いた。「もし安全なら、もう少し詳しく調べてほしい。ただし危険を冒すな。分かったことがあれば少しずつ教えてくれ。兄より」


封をしながら、「古代医師団」という言葉が頭に浮かんだ。


(術野の目が古代のスキルだとしたら、以前にも同じものを持つ者がいた。彼らは何をしていたのか。なぜ「異端」と呼ばれるようになったのか)


前世で四十二年間、消化器外科医として患者を見てきた。その経験が転生後のスキルとして形を変えた、と自分では理解してきた。しかし、それだけではないかもしれない。


「古代の医師たちが同じスキルを持っていたなら、彼らも同じ使い方をしていた。人の体だけでなく、構造物や土壌を診ていた。そしてそれが、教会に封じられた」


「レオン様?」とミリアが言った。


「一人で考えていました。すみません」


「考えていることを全部話してくれなくていいですが、表情が変わっていたので」


「……俺のスキルには、自分で思っていたより深い歴史があるかもしれない。それだけです」


ミリアが「それが分かった時、何か変わりますか」と聞いた。


「何も変わらない気がします。直したいものを直す、という気持ちは変わらない」


「では今やるべきことをやるだけですね」


「そうです」


ヨハンが「若様、手紙はいかがでしたか」と廊下で声をかけた。


「少し考えることがありました」


「若様の考えることは、いつも普通の方とは違いますね」とヨハンが微笑んだ。「でも若様が考えていることは、いつも誰かの役に立つ方向に向かっています。それはよく分かります」


俺は苦笑いした。


「ヨハンに見透かされると、居心地が悪い」


「失礼いたしました」とヨハンが頭を下げた。その顔は笑っていた。


翌日、ミリアが「バルカ村に一度行ったことがあります」と言った。「薬草を集めに。でも老人と子供しかいなかった。あそこは消えそうな村です」


「最後の村だ。行ってみよう」


「大丈夫ですか。疲れていませんか」


「疲れています。でも、行かなければならない村です」

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